7/12(金)

iPhoneの動作が不安になってきたので買い替えることにした。新宿のApple Storeで受け取りをする。立ったままで接客を受けるのが立ちっぱなし苦手勢にはしんどくて、ずっと蟹のことを考えている。かに道楽の蟹の看板のガチ恋がいたらいいなと思う。蟹の看板の気持ちになったらかわいそうか。蟹の看板だってガチ恋されるために生まれてきたわけじゃないもんな。
iPhoneを受け取って、データ移行をしていま使っているiPhone買い取りをすぐやってもらおうと思ったが、立ちっぱなしでやるのは疲れるし店舗は混んでいるので、あとで送ることにする。

演劇を見るために知らない駅に向かった。洪水かよってくらい雨が降る予報だったが外れたようだ。傘をささないと微妙に濡れる雨に打たれてあまり入らないロッテリアにくる。どの飲み物がおいしいのかわからなくてアイスコーヒーを頼む。サイズはなにがありますか、ときいたら、普通サイズとメガだと言われて普通を選ぶ。カラオケ館みたいなシステムだと思う。280円でけっこう大きいし、味も悪くない。新品のiPhoneを持っていることが不安になってきて急にこころが警戒モードになる。いつもiPhoneを持ち歩いてるのにこういうときだけ不安になるのかよ、かわいいな、と自分のことをプラスに見ようとがんばってみる。手の皮が剥けている。薬疹を治療するうえでの副作用らしいのだが、じっと見てると具合が悪くなりそうなまだらに剥けていて、自分の体を変な模様にする病はほんとうにやめてほしい。でもそのくらい病!って感じがないと病院に行かないんだよな。

旭川にロッテリアがあったことを思い出す。ほとんど行ったことがない。旭川駅にケーキセットが350円とかで食べられる喫茶店があってそこにはよく行っていた(飲み物とケーキ両方を込みでの値段である)。高校生がその店にいるのを見たことがなかった。わたし以外みんなおばあちゃんとかおじいちゃんだった。あの店はいったいなんだったんだろう。夢?それともシンプルに喫茶店好きの原体験?

(このあと演劇を見て椿屋珈琲店に行って終電で帰りました)

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7/13(土)

あたらしいiPhoneにデータを移した。ラジオトークにログインし直そうと思ったけれどなんのSNSで登録していたかを忘れてしまっていて、いろんなSNSで入ってみたら全部に新しいアカウントができてしまって途中に戻るボタンがなかったため取り消しできず「DJあなご」「DJトクメイ」「DJトクメイ」のアカウントが増えてしまった。匿名がこの世に2人も増えた。あなごも増えた。うなぎも増やしたい。

ねむくてごろごろしている。合間に名古屋へ行くための荷物をつくっている。販売する本をどのくらい持っていけばいいかわからなくてスーツケースに入るだけ詰めることにする。当日本が売れて、スーツケースの余裕ができればできるほど名古屋の本屋さんで本を買えるので(お金を貯めておくという発想を持ってください)なるべくたくさんのお客さんに来てほしい。

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7/14(日)

きょうのナゴヤタンカマルシェのために、スーツケースがばーんってはじけないか心配なくらいぱんぱんに荷物を入れてしまった。ここに入れた本たち全部が売れたらすごいことだがそんなに売れたらびっくりしちゃうとおもう。売り切れを防ぐためにたくさん持っていくことにしたというかんじ。

ねむい。いまは朝の4:20。11時に着けばいいのにはやく行かなきゃ精神がはたらいて7:00に東京を出る新幹線を予約してしまった(名古屋着は9時前)。こうなったらモーニングをきめるぞ〜と気合いを入れているが家を出る前にもなんか食べないともたなさそうで、4:30に食べるご飯はなにご飯なんだろうってちょっと考える。朝の薬って4:30に飲んでいいのだろうか。
ねむいが寝なおしたらぜったいに新幹線をのがすので起きている。朝ごはんに最適なメニューが思いつかない。牛丼。牛丼…?冷凍の、ご飯にかけるだけてきな牛丼をもらったので食べてみようかなとすこし思う。正解かはわからない。食べてみる。お腹いっぱいになりすぎる。失敗した。でもうまかった。

(この後家を出て、新幹線に乗って、ナゴヤタンカマルシェに出て、平和園にいって、コメダ珈琲店にいってホテルに帰るのですがあまりに楽しかったので書ききれません!!!!)

うにさんがホテルへの道のりが不安なわたしに途中まで送ると申し出てくれる。ありがたく受ける。喋ってたら盛り上がってなんだかんだでホテルの目の前まで送ってもらった。ふたりともテンションが上がっていて、たのしい…短歌の話いっぱいできてうれしい…となっている感じがあってかなり良かった。明日は歌会!短歌のことばっかりやれてたのしい!と思ってホテルに帰り、服を脱いでパジャマを着ようと思ったらそのまま寝落ちしていた。全裸で寝たら寒いという当たり前の事実を得た。

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7/15(月祝)

低気圧でぐったりしてしまい、出掛けられなくてホテルにいる。
雨が降ってきてすこし楽になったので夕方にホテルを出て、歌会の会場近くですこし時間があったから大名古屋ビルヂング(名前がかっこよすぎるビル)のティールームに入る。知らない店でうれし〜!ムスレナティー専門店らしい。店員さんが超絶やさしくて助かる。アイスティーを頼んだらお茶請けがついてくる。飲み終えたら2杯目としてホットの紅茶が出てきて2杯出てくるのすごい〜〜〜!!!ってなる。なんならアイスティーの前に試飲の紅茶と本日の駆けつけ一杯みたいな紅茶をいただいている。ホスピタリティに感動しながら、あつあつの紅茶に苦戦しているうちに歌会の開場時刻を過ぎてしまい、あわあわしながら全員にDMを送る機能を使って過ぎますを伝えようとしたがエラーで送れず、走って会場に行ったらまだ誰もきてなくてセーフ。

歌会はとてもたのしくて、はじめて歌会に参加するひとが多かったけれどみんなたくさん話してくれてうれしい。歌会参加したことある組の方々に頼る場面あるかもと思っていたがいっぱいしゃべってもらって繋ぐとかをあんまりしなくてよくて(けれど最初に評してもらうとかはお願いして緊張させてごめんねでした!!)助かりました。
歌会の司会をするのはあんまり得意じゃないという意識でいたのだけれど、みんながやさしいのでいろんな意見がでてうれしい〜と思っていたらノンプレッシャーで終えられてなんかよかった〜〜〜という気持ちだけが残る。

打ち上げはイタリアン的なお店にいく。ピザをいっぱい食う。みんなの好きな歌人を聞いてほえ〜と思う。岡野大嗣の好きな歌をふたりが言い合う場面があって、わたしはそのどちらの歌もうろ覚えだったので、好きな歌を暗唱できることはすごいなと思う。

こないだ柴田葵さんとのトークのときに、
   桃色の片思い 揖保乃糸 いろつきの麺をよろこぶ大人になりたい/柴田葵『母の愛、僕のラブ』
がすらっと口から出てきて自分で驚いた。わたしはほんとうに短歌を覚えられない…でもこの歌はとても好きだからすらすら言えた…🫶

小田さんが石井僚一を布教していておもしろい。死なねーよを再販してくれって言っていて、どうだろうね〜と答える。わたしは石井ではないのでわからないけど、わたしの思ったことは話しておく。

ひとの考えてることがわかったら苦労しない、といつも思う。でもひとの気持ちがわからないからひととわかり合ってるらしきときこんなにうれしいんだなって思うことも最近はある。
たとえば、パン屋さんとカフェを巡っているとこんなにカフェを楽しんでくれるひとがいることがありがたすぎて嬉しくなってしまう。つぎにパン屋さんと会う約束を決めていない!名古屋から帰って通販の発送をひととおり終えたら連絡したい。

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7/16(火)

昨日はホテルで死していたのではやめに出かけようと思うが、10時よりはもうちょっと休みたかったのでチェックアウトを遅くしてもらう。12時にホテルを出る。昼時なのでお昼ご飯を食べに出てきた会社員がいっぱいいてくらくらする(わたしは労働をする人たちのスーツとか、就活生とか、ハイヒールとか、サラリーではたらくひとたちの象徴みたいなものが苦手である)。めちゃくちゃ晴れている。日傘ではなく雨傘しか持ってきていない。スーツケースを駅前で預けようとしたら上にのせていたトートバッグも預かってくれる。たすかる!!!

地下鉄を乗り継いで大津商店街に来る。アーケードだろうと思っていたらそうだったので日差しがやわらいですこしほっとする。
喫茶店はアーケード内(カネコアヤノ)ということで喫茶店に入り玉子焼きのサンドウィッチを食べる。だし巻きではなく、表面を強火で焼いて中をとろっとさせた玉子焼きに味付けはケチャップとマヨネーズ。うまい。家庭的な感じがする。爆音でジャズがかかっていて落ち着く〜と思っていたのだが、若いスーツ姿の女性たちが入ってきてこころがぎゅっとなってしまう。話の内容が職場の愚痴であることとかみんなが持っているような鞄を持っていることとか仕事ができそうなパンツスーツとかほんの少しの茶髪とかすべてが厳しくなってきてしまう。社会にコミットすることを諦めた自分が浮き彫りになることがしんどいという心情の方向をスーツとかハイヒールとかに置き換えているだけで、女性たちはなにもわるくない。申し訳ないと感じはじめる。この名古屋滞在ではじめて安定剤を飲む。大学生かなにからしい店員さんが清水駿平に似ていることを助けにコーヒーを急いで飲む。芸人さんに似ているひとがいるとわたしのこころがかなり助かる。映画ドライブマイカーもメンタルにくるシーンが多かったがドラマトゥルクのひとがフランツ土岐さんに似ていたのでほっこりできた(そして作品内においてもほっこりした役を担ってくれてありがたかった)。

仕事の連絡をしていたらだいぶ気持ちが落ち着いてくる。原稿を褒められたメールを読み返してにやにやする。やることがわりとあるが帰ってからなら慌てずにできることばかりなのでひとつひとつ片付けようと思う。
アクリルキーホルダーの発送がめっちゃあり、いっぱい注文いただいてありがとうございますの気持ち…!!帰ったらすぐ送ります…!!!

宮崎に行きたいので宮崎の歌会に行きたい気持ちがあることをツイプラで表明しておく。交通費…交通費どこから出すんだ…滞在はどうする…などいろんな問題があるが宮崎という土地に行きたいので行きたいなってことをとりあえず伝えておくこととする。

大須は古着とか雑貨がいろいろありますよと聞いていたのだが良すぎる古着屋さんを見つけてしまい、てろてろした柄シャツを2000円で買う。わたしは柄シャツがありえないくらい好きなので嬉しい。100均の300円バージョンみたいなお店でトートバッグを500円で買う。論理クイズみたいな値段設定だ。



THE CAT じゃないのよ

天むすを4個買ってこんなに食えるわけないだろって思ったけど(自分で買っておきながら!!!!)受け取ってみたら意外と小ぶりなのでいけそうな気がしてくる。帰りの新幹線でたべるかも。保冷バッグを持ってきて正解だった。

2軒目のカフェは韓国っぽカフェ(なんじゃそりゃな呼び方だがそういうジャンルがある)だったらしくて、普通にエスプレッソがうまいのにほんとうに無の会話をでかい声でしている女性が多くて、いいんだけど疲れてくる。

休みたくなったし暑いのでカラオケに入る。雨が降りそうにない。あきらかにまねきねこで撮ったとわかる自撮りをしてみておもしろい。



なんかのときにアー写としてつかいたい


iPhone15は画質が明らかにいい。ポートレートモードだと被写界深度の調整もできてすごい。



人と自分をごっちゃにしない、ということを考える。わたしはかなりそこがあやしい部分がある。昔はほんとうにわかんなくて、わかんないときはとりあえず共感しておこうみたいなところがかなりあった。ようやく意見を言えるようになってきたいま、以前よりは他人と自分の境界があると思う。そのうえで人を尊重できたらという気持ちがある。

雨が降り出して、電車もバスも通勤のひとびとで混んでいるらしい。タクシーを拾って乗った。何車線あるんだというくらい広い道だった。名古屋駅からすこし離れるとビル群による圧倒的な都会という雰囲気が薄くなるのがおもしろい。

なんだかんだで夕飯を食べる暇がなく(カラオケでポケットビスケッツを歌っている時間で飯が食えたのでは?)、アイスコーヒーだけ飲むことにする。すこしがんばって並べばぴよりんが買えそうだったが、がんばりたくなかったので並ばなかった。この旅ではなんとなくがんばらないで自然体でありたいと思っている。

よくわからないお土産を買う。近日会うひとには渡せるかも。長持ちするのをいっぱい買えばよかったけど変であることを重視して選んでしまった。

預けていたスーツケースを回収して新幹線に乗りこむ。
予約しておいた荷物置き場にでかいスーツケースが置いてあってどうしよう…となっていたら、どうも予約していないひとのものだったらしい。先に座っていた方が前の方の駅で「ここ空いてますか?荷物置いていいですか?」と聞かれて置いていいですよと言ったらしい(なんでだ)。そのためスーツケースの持ち主を知っていて、そのひとに返してくれたが、家族で座っていた席にでっかいスーツケースが戻ってきて揉めていた。揉められても困る。先に座っていた方は、寄せたら予約していないひとのスーツケースが入りそうだと思っているようで、わたしに寄せてほしいなの感じを出してくるが、そもそもスペースは予約制だしわたしのスーツケースはそこそこでかい(持ち込みOKのサイズではある)ので物理的にむずかしい。
最終的にわたしがぜんぶの悪者のような感じになって空気がぐじゃっとなり、ほんとうに勘弁してほしい。わたしは公共交通機関がほんとうに苦手だ。事実や実際の問題とは関係なく揉め事をそれぞれのこころの中で落ち着かせるためになんとなく誰かを悪者にして解決したふうになっていく空気が場を支配していることに意識が遠くなりそうだ。
自動車免許を持っていればなって思うが、自動車学校を中退しているくらいには運転ができないから仕方がない。やった上でできなかったので諦めるしかなく、公共交通機関さんによろしくお願いするしかない。

なるべくしっかり呼吸する。買っておいた天むすを食べる気になれない。新幹線が東京駅に着くまで1時間あり眠れる気がしない。わたしのスペースに傘がかけてあるため席をうしろに倒せない。それはわたしの場所ですと主張する元気はもうないのでただただ遠くを見つめている。安定剤を飲む。最後の最後で鬱日記になる予定ではなかったのでどんよりしていたら、わりとたすかる連絡が来てよっしゃあって思う。がんばるぞのきもち。
それとはべつに原稿を褒められたメールを読んでやる気を出して、個展のための短歌をつくりはじめる。

そうです。個展をやります。



きちんとしたフライヤーは来月頭あたりにアップします。もし助成金が取れていたらその旨を書かなくてはならないので、まだ正式なものがつくれないのでした。
50首のうちまだ1首しかできていなくて先が長すぎる。1/50。きのうおとといと話した笹井賞についての内容が自分に跳ね返ってくる。

やっていく。信じられないくらい長い日記になってしまってすいません。名古屋はあまり肩が凝らなくてわりあい好きな街だなと思う。混んでいる電車でもなんとなくみんなのやさしさのようなものがあって存在しやすかった。存在していることが許されていないように思うことが東京の電車ではままある。生きていていいと感じられるのはいいことでわたしは生きていていいと思った。

生を肯定された名古屋滞在、ありがとうございました。

帰りの中央線でわたしは徐々に西荻窪の体に戻っていく。西荻窪はとてもいいところで、東京のなかではたぶんいちばんわたしが暮らしやすい街だと思う。でもどこかで北海道を求めている部分がありそれが故郷ってやつなのかもしれない。

わたしにも故郷があって映画では最果ての地として描かれる/井口可奈『わるく思わないで』

いま、急に大きい声を出したひとがいてかなり驚いたが、発作的にそういうのが出ちゃうだけで、体調の不良ではないらしいと心配してやってきたひとに説明している。よかった。

安心したら、こわばっていた体が楽になってきて神経のとがりも落ち着いてきた。大丈夫で、わたしはやっていける。みんなもやっていけるといいなと思う。そういうことです。天むす食べちゃおうかな〜〜〜

つぎはひなちゃん!