ECCE HOMO エッケ・ホモ
ラテン語で『この人を見よ』と言う意味の言葉である。
これはキリストの処刑前に、総督ピラトが民衆に向かって発した言葉だとされている。
イエスの処刑に迷っていたピラトは、その最終判断を民衆に任せた。
『この人を見よ、あなた方は一体どうしたいのか?』と。
幾つかのやり取りの後、群衆は最後に声を揃えて叫んだ。
『十字架につけろ!』と。
イエス・キリストは貧しき人、病に苦しむ人、罪や心の重荷を負う人達と常に共にいた。
そしてそうした人々の中において奇跡的な力、神の力を現した。
イエスの活動の根底にあるもの、それは人々への惜しみない愛であった。
当時のユダヤの人々はイエスを熱狂的に受け入れ、そして最後は見放し、十字架につけさせた。
私たちは恋愛をしている最中にこんな言葉を使う事がある。
『死ぬほど愛している』と。
愛する子供を持つ親なら、子供がもし重病で死にそうになったなら、こう思う事もあるだろう。
『私の命に代えてもいい』と。
十字架につけられたイエスは、その苦しみの中でずっと想い続けたのだろう。
『私は死ぬほどに苦しみを受けても、あなたたちをずっと愛している』と。
《 エッケ ホモ・この人を見よ 》
神は私たちを愛し続けている。
そして、こう言い続けているのであろう。
『この人を見よ! この姿は私のあなたへの愛そのものなのだ!』と。