日本の木の家には畳がつき物でしたが今では和室が無い家のほうが多いです。
靴を脱いで生活する家の床に畳があると、板の感触とは一味違う柔らかさがなんとも心地良いです。
日本人の脳は足にもあるとも言われるほどに足の皮膚感は貴重な感覚の一つです。
フローリングから一段上がった和室の畳です。引き出しが組み込まれています。
公団住宅などの鉄筋コンクリート住宅の中に畳を寝室和室として残したまでは良かったものの、通風性が悪く、気密性が高い住環境で湿度の多い季節では特にカビやダニの温床になってしまいました。
そこで、住まい手のクレームに対応するため、畳に農薬系の防虫紙を畳の床の中や裏側に縫いこんだものがほとんどになりました。
さらに、畳床が無ければ虫も発生しないだろうと稲床の代わりに断熱ボードや合板などを使った表だけイグサの畳も現れました。
コストが無ければ予算に合わせていくらでも工業品の安い素材の畳が現れ、畳表も樹脂製のものまでつくられました。
柔道の畳表イグサは以前は七島イグサと呼ばれる琉球畳表を使っていましたが、今ではお金が掛からない樹脂製です。
農薬系防虫紙を使わないでダニを防ぐには畳床の材料である稲を約80度以上の熱風で処理することが行われています。
稲を織って床にした後に熱風処理することがほとんどですが、その場合ですと熱風によって床が変形することが若干生じます。
そこで、稲の段階で熱風処理する方法をとっているもの=ベイクアウト畳床があります。
その方法ですと床に織り込んでからの変形がほとんど無く、安定しているとともに、
有機栽培の稲を使ってもわずかに農薬が飛散して付着することが考えられますが、そのようなものもほぼすべて熱風によってベイクアウトできます。
防虫紙も使わずに、完全に近い無農薬で、型崩れしない畳床にすることができます。
そして畳表は熊本の無農薬イグサを使い、縁(へり)は木綿織物の自然な風合いの昔ながらですが、はるかにグレードアップした畳です。
決して高くならずにこのような本物の畳を使うことが可能です。