地震が起きたとき木の家を守る構造ユニットの中にに「耐力壁」があります。
その壁を作るにはいろいろな方法がありますが、その一つが良く知られている「筋交い」(すじかい)でです。
この筋交いは日本の伝統的な木の家の中にはあまり使われていませんでした。
一般的に普及したのは関東大震災以降の西欧のトラス構造が取り入れられたことからです。
ただし、伝統的な工法にはなかったものですから、大工が中心の家づくりの中では、いわゆるつっかえ棒のような見方をされて、釘で何本かで留めればいいと言う程度の認識で、ついこの間までそのように作られてきました。
材料の大きさも厚さ3センチから4.5センチで、幅も9センチから10.5センチ程度の薄い曲がりやすいものです。
木の家づくりネットワークではこのような薄いものでは引っ張られたときにはまだしも、つぶされたときには曲がってしまうため採用していません。
この写真の筋交いの大きさは6センチ厚さの幅16センチあります。
柱の半分近くあるような太い「骨太筋交い」をお薦めしています。
また、筋交いは基本的には×印のように入れます。
地震による横揺れに対して、右から左に押すような揺れに対しては、右に傾いた筋交いはつっぱり棒のように働き、左に傾いた筋交いは延ばされたいように働きます。
その逆の力が加わったときには、それとは反対のメカニズムで機能します。
そのためには筋交いと柱や梁、土台がしっかりと留め付けられていることが必要です。
そこで直径12ミリのボルトと木痩せ(木材の乾燥が進むことで体積が小さくなること)した場合に地震時の揺れでボルトがしまる機構があるボルト用ナット=タイトニックを使って緊結します。
一般的に流通している金物です。木痩せがゼロではないことによる保険のようなものです。
写真の上の梁の垂直方向の高さ=梁成(はりせい)は33センチもあります。
下の柱と梁、筋交いが一体となって地震から木の家を守ります。
市販されている認定金物もありますが、なるべく外側から貼り付けるような金物を使わないで、木の中に埋め込まれるようなボルトを使い特殊な工法によらずに構造安全性を高めています。