徘徊に出かける途中で、ちょっと嬉しい場面に出会った。

ある家の前に、葬儀屋さんのマイクロバスと黒塗りの霊柩車。
今から告別式に向かうのだろう。

喪服のご家族を前に、嬉しいとは甚だ不謹慎ではあるが、亡くなった方の気持ちを思うと、私はとても嬉しくなってしまった。


私は仕事柄、患者さんを見送ることが年に数回あるが、病院を出た霊柩車の行き先の多くは斎場である。
住宅や家族関係などの事情から、ご遺体が病院から斎場へ直行する場合が多い。自宅で葬儀というのは難しい。私も父の時に斎場でお願いした。
ただ、事情が許すならば、短時間でも自宅に連れて帰って、葬儀までの時間を過ごさせてあげてほしいと思う。移動の手間を考えると躊躇してしまうが、亡くなる方というのは自宅への思いが強い。帰りたくても帰れなかった場所だ。だから最後に、少しでいいから、自宅のお布団に寝かせてあげてほしい。そして、病院の裏口ではなく、自宅の玄関から旅立ってほしいと思うのだ。


というわけで、自宅から旅立てる方を見て、ホッとしたというか、嬉しかった。亡くなったことは悲しみでも、見送り方に家族の優しさと温もりがあれば、それは幸せな旅立ちになるのではないだろうか。