私は夜歩きが好きです。

太陽が燦々(さんさん)と降り注ぐ

眩しい日中が少々苦手というのもありますが、

自然にしろ、

街中にしろ、

人間にしろ、

そして

其処に立つ自分自身ですら

暗さ故に

その姿の全てを見渡す事の出来ない状況に

なにやら神秘性を感じます。

日本を代表する往年の映画監督のひとりである市川崑監督は

スクリーンに映る俳優に強い陰影を付けることで

人間の心の奥に秘めている部分の

謎や曖昧さを

表現したと云われています。

市川崑監督がまだご存命だった頃、

本人ご出演のドキュメンタリー番組で

その話を聞いた私は、

それは日常目にするありとあらゆる風景にも言える事だなと思いました。

昼間は特に気にせず通り過ぎてしまう様な風景も、

ひとたび夜になれば

大きく違った表情を見せます。

よく知り得る場所ですら

暗くなると

「あれ？そこに何があったかな？」と、

記憶を辿る事もしばしば、、、。

とある精神心理学の本に書いてありましたが、

人間は「見えない，わからない」

という事に対して

ある種の恐怖を感じるのだそうです。

そしてその恐怖を払拭(ふっしょく)するために

色々と自身の持ち得る知識で何とか結論付けようと頑張ります。

他人に聞いたり、自身で調べたり

想像力で作り上げたりと奮闘し、

ある程度納得出来ると

それが例え本当の正解で無くとも

初めて「安心」がやってくるのだとか。

しかし

幾ら考えたり調べたりしても

答えが出ない事も数多くあります。

そうなると

「わからない」＝「恐怖」だったものが、

「恐怖」＝「神秘」

と、変換されるそうです。

これには大いに納得！！

実際、古代の人々は

人知を大きく超えた力を持つ動植物、

天災や気象現象を、

全て神や悪魔の所業と位置付け崇めていた訳ですから。

自然界で少し例を上げるなら、

小さな蛇より大蛇、

小石より巨石、

水溜まりの様な池や小川より

大きな滝や濁流、洪水、荒れる海、

簡単に立ち入る事の出来る山より

険しい高山や冬山、活火山等々、

現在、

昔に比べて色んな事が科学の力で解き明かされてきましたが、

私は個人的に

「わからない」を敢えて暴かずに残しておくのも良いのでは？と考えます。

例えば雪男やUFO、怪奇現象と呼ばれる

不思議な出来事の数々、

現代でも謎とされているこれらの正体は

私も大変興味深いですが、

それらを全て科学で結論付けてしまっては

せっかくの「わからない＝神秘」が、

この世から消滅してしまい、

これから生まれてくる沢山の人達が

退屈しそうで面白くありません。

勿論私も面白くありません。

やっぱり

「よくわからないモノ」が

山ほどあってこそ、

想像力、探求心が育つように思えます。

そういう観点からいくと

夜歩きというのは

「見えない」「わからない」が満載で

創造性を養うのに持ってこいなのでは！？

という気がしますが、

その辺りは

実際どうなのでしょう？

取り敢えず

これだけぐだぐだと話を膨らませておいて

取り上げていた話題の焦点が

私にも段々わからなくなってきたので、

そろそろ夜歩きの写真でも

見ながらこの話を終わりにしたいと思いますが、

ひとつ前のブログ記事でも取り上げた

神社や寺院といった神域とは

また一味違った雰囲気で魅了してくれる

何気無い夜景が、

取材旅の帰り道、

疲れた身体に

いつも心地好い栄養をくれた事だけは

よくわかりました。

異世界の入口の様なトンネル

房総半島にある小湊鐵道の複数の駅舎達、

本当にこの淡い光が良く似合っていました。

▲

この場所で写真を撮っていた時、

付近で「ホォ～ホォ～」と

フクロウの鳴き声がしていました。

静かな夜の雑木林では

街中では到底聞こえることのない

そこに住む生き物達の小さな小さな会話も

楽しむことが出来ます。

▲

こちらは本来隠さねばならぬ場所である筈が、夜の方が格段に目立つという滑稽さ。

それにしても

古い男子トイレは

何故にこうまで外から丸見えなのだろうか？と、いつも疑問に思います。

▲

時々、全く違う路線が混じっています。

こちらは群馬県桐生市から栃木県日光市足尾町を結ぶ

わたらせ渓谷鐵道からのひとコマ。

タイトルにもある

街灯と外灯の違いについて。

「街灯(がいとう)」とは、

基本的には公共の道路、場所等を照らす

照明の事を指し、

「外灯(がいとう)」とは、

建物に備え付けられた照明を指します。

私の写真で言えば

電柱等に設置され

道路を照らしている照明は「街灯」、

駅名標や駅舎、建物の出入口の照明等が

「外灯」という事になります。

▲

山間部の帰路では

夜中になると

しばしば野生動物に遭遇します。

鹿は車のヘッドライトへ突進してくる場合もあるので

夜間、人気の無い山道を走行するときは

十分に御注意くださいませ。

夜景には

色んな光があり

各々に良さがありますが、

どんな照明器具も

お月様には敵わないかもしれませんね。

「お月様」＝「神秘」

金乃助

夜景を彩る街灯と外灯