サクラと逆コピー機

「ねえ、これ見て!」

夫が興奮気味に、一枚の紙を私に見せてきた。そこには、見慣れたはずの会社のロゴが、ほんのりと薄くなって印刷されていた。

「これ、僕が開発した逆コピー機で作ったんだ。インクを紙から吸い取るんだよ。だから、この紙はもう何回でも使えるんだ!」

夫の目は、まるで子供のように輝いていた。彼は今、大学で社会人留学をしていて、日々新しい技術の開発に没頭している。そんな彼が、最近特に力を入れているのが、この「逆コピー機」だった。

「すごーい!」

私は精一杯の笑顔でそう言った。正直、コピー用紙が何回も使えることよりも、夫が自分の研究に夢中になっている姿を見ていることの方が、私にとっては嬉しかった。

「しかもね、これ、ただの逆コピー機じゃないんだ。蒸気で紙の折れ目も伸ばせるんだよ。ほら!」

夫はそう言って、紙を機械にセットし、ボタンを押した。すると、機械の中から蒸気が噴き出し、紙がゆっくりと回転し始めた。数秒後、機械から出てきた紙は、新品のように真っ直ぐになっていた。

「すごい!まるで魔法みたい!」

私は心からそう思った。夫の研究は、いつも私の想像を超えてくる。それは、まるで魔法のような、夢のような技術だった。

「これがあれば、コピー用紙を無駄にすることもないし、環境にも優しいよね。それに、紙を折ってしまった時のショックも減るし、いいことづくめだよ!」

夫は嬉しそうにそう言った。彼の言葉には、研究者としての誇りと、社会への貢献への強い思いが込められていた。

私は、そんな夫の姿を誇らしく思った。そして、この逆コピー機が、いつか世界中で使われる日が来ることを、心から願った。


野原サクラ