サクラのエッセイ「N子の部屋、舞台裏」

娘のN子が始めたJ:COMのショート番組「N子の部屋」。地元で話題の人を招いて、N子らしい切り口でインタビューする番組だ。

今日のゲストは地元で人気の落語家さん。私も楽しみにしていたのだが、撮影準備は一筋縄ではいかない。まずは息子のタローの部屋の掃除から始まるのだ。

「まったく、この脱ぎっぱなしの下着!」

思わずため息が漏れる。食べ残しのお菓子の袋、読みかけの漫画雑誌。まるでゴミ屋敷だ。掃除機をかけ、拭き掃除をし、ようやく撮影の準備に取り掛かれる。

高級な機材は使わない。N子の部屋のコンセプトは「手作り感」。スマホと簡単な照明だけで、アットホームな雰囲気で撮影するのだ。

「お母さん、スマホの充電は?」

N子の声がする。慌てて充電器を探し、コンセントに繋ぐ。

「よし、準備OK!」

N子の笑顔を見ると、ホッとする。大変だけど、娘の頑張る姿を見ていると、私も嬉しくなる。

今日のインタビューはきっと盛り上がるだろう。N子の明るさと落語家さんの話術が、どんな化学反応を起こすのか。私もオンエアが楽しみだ。

番組の裏には、家族の協力とちょっとした苦労がある。でも、そんな苦労も、N子の笑顔で吹き飛んでしまう。今日もまた、N子の部屋から、笑顔と元気が届けられるだろう。

野原サクラ