私の義母は痴呆症で、特別養護老人ホームに入居しています。たまの外出も、最近は億劫がるようになっていました。
そんなある日、ふと思いつきました。いつも一緒にいるロバのロバオくんを連れて行ってみよう、と。
ロバオに鞍をつけて、おそるおそる義母を乗せてみました。すると、どうでしょう。義母は少女のように目を輝かせ、楽しそうに笑っているではありませんか。
それ以来、ロバオとの散歩は、義母の日課になりました。ロバオのゆっくりとした歩みは、義母にとって心地よいようです。景色を眺めたり、道行く人に手を振ったり、とても楽しそうです。
ロバオとの散歩のおかげで、義母の表情はずいぶん明るくなりました。食欲も増し、よく眠れるようになったと施設の方にも言われました。
ロバオは、ただの動物ではありません。私たち家族にとって、かけがえのない存在です。これからも、ロバオと一緒に、義母の笑顔を守っていきたいと思います。
野原サクラ