私の息子、タローと三十八式歩兵銃

小学三年生の息子、タローは、生まれながらにして大人顔負けの知能を持っています。好奇心旺盛で、特に歴史と機械いじりが大好き。夏休みの家族旅行でサイパンを訪れたときも、美しいビーチよりも島の歴史に興味津々でした。

ある日、シュノーケリング中に、タローは海底で奇妙な物体を発見しました。それは、第二次世界大戦中に旧日本軍が使用していた三十八式歩兵銃の残骸でした。錆びついていましたが、タローは手に取り、その歴史的な重みに興奮していました。

タローは、持ち前の知識と技術で、なんとその銃を復元してしまったのです。銃の仕組みや歴史について、大人顔負けの解説を始めたので、私も夫もただただ驚くばかりでした。

私たちは、この貴重な発見を地元の戦争博物館に寄贈することにしました。博物館の学芸員の方々も、タローの知識と情熱に感心し、展示することを快諾してくれました。

数か月後、タローの発見は思わぬ形で脚光を浴びることになりました。大手フィギュアメーカーの海洋堂が、三十八式歩兵銃の精巧なミニチュアモデルをガチャポンで発売することになったのです。タローの発見と復元が、多くの人々に戦争の歴史を伝えるきっかけになったことを、私は心から嬉しく思いました。

タローは、この出来事をきっかけに、歴史研究の道を志すようになりました。彼の夢は、考古学者になって、まだ見ぬ歴史の謎を解き明かすこと。息子の成長を見守りながら、私もまた、彼とともに学び、新しい世界を広げていきたいと思っています。


野原サクラ