「都会のビルで化石探し?!」
休日の朝、小学5年生の息子タローは、リュックを背負い、カメラを首から下げて意気揚々と出かけていく。行き先は、なんと都心のオフィス街。
「タロー、都会で何するの?」
私の問いに、タローは得意げな顔で答える。
「化石探しだよ!」
「え?都会で化石?」
私の疑問をよそに、タローは自信満々に説明を始める。
「都心のビルには、天然の大理石が使われていることがあるんだ。その大理石の中に、化石が入っていることもあるんだよ!」
そう言って、タローはビル街の写真を見せてくれた。確かに、壁や床に大理石が使われている。
「でも、どうやって化石を見つけるの?」
「よく観察すれば、大理石の模様の中に化石が見えることがあるんだ。今日は、それを写真に撮ってくる!」
タローの熱意に押され、私は送り出すことにした。
夕方、帰宅したタローは、大量の写真をパソコンに取り込み、分類し始めた。
「これは三葉虫、これはウミユリ…」
タローは、まるで研究者のように写真を分析している。
「すごいね!こんなにたくさんの化石を見つけたんだ!」
私の言葉に、タローは満足そうに頷いた。
「都会のビルにも、太古のロマンが眠っているんだね」
タローの言葉に、私も感動を覚えた。
今回の化石探しは、タローの好奇心と探究心の賜物。
「次はどんな発見があるかな?」
タローのキラキラした瞳を見て、私もワクワクが止まらない。
野原サクラ