うちの息子、タローはちょっと変わった小学生。3年生なのに、大人顔負けの頭脳を持っているんです。

最近、家の近くの農業用水路で外来魚が大量発生して、生態系を乱しているというニュースを聞いて、いてもたってもいられなくなったみたい。

「お母さん、外来魚って困ったやつらなんだって。駆除しなくちゃ!」

目を輝かせてそう言うタローを見て、私は内心「また何か始めるのね」と苦笑しました。

次の日、タローは朝から道具箱を抱えて用水路へ。そして、なんとアメリカナマズが好むニオイを作り出して、罠を仕掛けてしまったんです。

「まさか、そんなことができるなんて…」

私は驚きを隠せませんでした。

数日後、タローの罠には大量のアメリカナマズがかかっていました。

「やったー!大漁だ!」

タローは大喜び。

でも、問題はその後。

「こんなにたくさん、どうするの?」

私の問いに、タローは自信満々に答えました。

「大丈夫!ちゃんと考えてるよ。一部は肥料にするけど、残りは…」

そう言って、タローはご近所の回転寿司屋さん「所寿司」のご主人に連絡を取ったんです。

「所寿司さん、アメリカナマズ、いりませんか?新鮮ですよ!」

なんと、タローは釣った魚を捌いて、所寿司さんに提供することにしたんです。

ご主人は快く引き受けてくださり、それ以来、月に一度くらい、私たちは所寿司さんで食事をするようになりました。

そして、そのたびに、ご主人はタローのために特別メニューを用意してくれたり、サービスしてくれたりするんです。

「タローくんのおかげで、新しいネタができました。ありがとう!」

ご主人の笑顔を見るたびに、私はタローの行動力と優しさに胸が熱くなります。

そして、心の中でつぶやきます。

「タロー、あなたは本当にすごい子ね。」


野原サクラ