「タローったら、また変な物を作ってるわね…」
先日、息子のタローがまた奇妙なものを作り上げてしまった。以前、姉のN子と一緒にサイパンに行った時に見たという旧日本軍の38式歩兵銃を、なんとエアガンで再現してしまったのだ。しかも、ただのエアガンではない。細部までこだわって作り込まれた、まるで本物と見紛うほどの出来栄えだ。
「タロー、これどうするの?」
私は恐る恐る尋ねてみた。すると、タローは平然とこう答えた。
「うーん、別に。東大の友達がサバゲーにハマってるみたいだから、あげようかなーって」
そう、タローは不思議な能力を持っている。見たものを何でも再現できてしまうのだ。しかも、その再現度は驚くほど高い。
「でも、タローはサバゲーとか興味ないんじゃないの?」
「うん、別に興味ないけど、友達が喜んでくれるならいいかなって」
タローは相変わらず飄々としている。この子は一体、将来何になるのだろう。
私は少し不安になりながらも、タローの優しさと才能に感心してしまう。そして、ふと、タローが作った38式歩兵銃エアガンを手に取る友達の姿を想像した。きっと、目を輝かせて喜んでいるに違いない。
「タロー、友達にちゃんと使い方とか説明してあげてね」
私は念を押すようにタローに言った。
「わかってるよ、ママ」
タローはそう言って、エアガンを丁寧に梱包し始めた。
私は、タローの成長を少しだけ寂しく思いながらも、彼の未来に期待を膨らませずにはいられない。
野原サクラ