「まさかウチのガレージが戦場になるなんて…!」

そう呟いたのは、つい先日のこと。

うちの旦那、太陽光発電の会社でバリバリ働いていたのに、突然会社を辞めて新しい仕事を始めたんです。それがなんと、旧日本軍のバイク、「九七式側車付自動二輪」の再現!

「え、なんで?!」って私もビックリですよ。だって、旦那は専門学校で自動車学科だったし、整備士の免許も持ってる。でも、まさかバイク、しかも旧日本軍の…って。

でも、旦那は目をキラキラさせて「男のロマンだ!」なんて言うんです。もう、呆れるやら感心するやら。

しかも、この再現プロジェクト、旦那だけじゃないんです。なんと、うちの息子、タローも参戦してるんです。タローはまだ小学生なのに、大人顔負けの知識と情報収集能力で、旦那をサポートしてるんです。

タローは毎日のように図書館や博物館に通って、九七式側車付自動二輪の資料を集め、インターネットで部品を探し出す。その姿はまるで小さな研究者。

そんな二人のおかげで、ついに初号機が完成!

ガレージから出てきたそのバイクは、まるでタイムスリップしてきたみたい。鈍く光る車体、サイドカーの重厚感。旦那とタローは誇らしげにそのバイクに跨り、まるで戦場に向かう兵士のよう。

そして、タローはなんと、このバイクを販売するためのウェブサイトまで作ってしまいました。

「戦争博物館に通販のページを作ったんだ!」

タローは得意げにそう言って、パソコンの画面を見せてくれました。そこには、九七式側車付自動二輪の写真と詳細な説明、そして購入ボタンが。

「え、ちょっと待って。これって…」

私は思わず言葉を失いました。まさか、うちの息子がこんなビジネスを始めるなんて。

でも、旦那は嬉しそうにタローの頭を撫でながら、「さすが俺の息子だ!」なんて言ってるんです。

もう、この親子にはついていけない…。

でも、どこかワクワクしている自分もいるんです。だって、こんな風に家族で夢中になれることって、なかなかないじゃないですか。

それに、旦那とタローの笑顔を見ていると、私もなんだか幸せな気持ちになるんです。

だから、私は今日も、このちょっと変わった家族を温かく見守っています。

もしかしたら、次はゼロ戦を再現すると言い出すかもしれないけど、それもまた楽しい思い出になるでしょう。


野原サクラ