「所沢戦争博物館、開館!」

今年の8月、息子がまた新たなことを始めた。

「所沢戦争博物館」

その名の通り、戦争に関する展示物を集めたオンライン博物館だ。

展示物は、息子がサイパンで見つけたという旧日本軍の潜水艦「イ号」のVR映像や、南部14式拳銃、38式歩兵銃、37式中戦車、零式艦上戦闘機など、彼が「過去に自分が再生した戦争の遺産」と呼ぶものばかり。

なぜそんなものを持っているのか、私にはよくわからない。

でも、息子はいつも何かを「再生」している。

壊れたおもちゃ、古い家電、そして今回は戦争の遺産。

彼にとっては、それが当たり前のことなのだろう。

終戦記念日の8月15日に合わせてオープンしたこの博物館は、予想以上の反響を呼んだ。

無料ということもあって、多くの人が気軽に訪れてくれたようだ。

中でも人気なのは、零戦や37式中戦車の運転シミュレーターらしい。

家の中でエアコンの涼しい風に当たりながら、パソコンやスマホで戦争体験ができるなんて、時代は変わったものだ。

「お母さん、見てみて! こんなに人が来てるよ!」

嬉しそうに報告する息子の顔を見て、私も嬉しくなった。

彼が夢中になれるものがあるのは、母親として幸せなことだ。

でも、同時に少し複雑な気持ちもする。

戦争は、多くの人々を傷つけ、悲しませた出来事だ。

それを「再生」して展示する息子の行為は、果たして正しいのだろうか。

そんな疑問が頭をよぎる。

しかし、息子はこう言った。

「戦争を忘れないために、僕はこの博物館を作ったんだ。過去を知って、未来を考えたいんだ」

彼の言葉に、私ははっとさせられた。

戦争を風化させないこと、それが彼の願いなのだ。

彼のやり方は、もしかしたら少し変わっているかもしれない。

でも、彼の思いは本物だ。

だから、私は彼の活動を応援することにした。

所沢戦争博物館が、多くの人に戦争について考えるきっかけを与えてくれることを願っている。


野原サクラ