桜舞い散る頃、逡巡する心

淡いピンク色の桜の花びらが舞い散る中、私はそっとため息をついた。春風に乗って運ばれてくる花の香りは、どこか切なく、私の心を揺さぶる。

設計部の女子、田中みゆきの悩みを、夫に相談した時の言葉が頭をよぎる。「人生で縁がある人と出会える機会は本当に何回もない。今回が最後と思って、判断したほうがいいよ。」

みゆきは、今の彼と別れるべきかどうか、迷っていた。彼とは大学時代からの付き合いで、長い時間を共に歩んできた。しかし、最近は価値観の違いを感じるようになり、喧嘩も増えていた。

夫の言葉は、私の心に重くのしかかる。確かに、人生において運命的な出会いは限られているのかもしれない。しかし、みゆきが本当に望む幸せとは何なのか、私はまだ分からない。

桜の花びらが舞い落ちる様子を眺めながら、私は過去の自分自身を振り返る。私もかつて、同じような岐路に立たされたことがあった。その時は、周囲の意見に流され、後悔の念に駆られた。

だからこそ、私はみゆきには後悔のない選択をしてほしいと願っている。周りの声に惑わされず、自分の心と向き合い、本当に自分が求める幸せを見つけてほしい。

桜の花びらが舞い散る中、私はそっと決意をする。みゆきがどんな選択をしようと、私は彼女を支え、背中を押す存在でありたい。

たとえ、それがどんなに難しい道であっても、彼女が笑顔で歩んでいけるように。

桜の季節は、別れと出会いの季節でもある。みゆきにとって、この春がどのような意味を持つのかはまだ分からない。しかし、私は信じていたい。必ず、彼女にとって最善の道が開かれることを。

そして、いつか再び桜の花が咲く頃、みゆきが幸せな笑顔で語りかけてくれることを。