糸と愛情

義父が亡くなった時、たくさんの毛糸のセーターが遺品として私たちのもとに届きました。夫は、それらを丁寧に洗い、縮まないように慎重に解いて毛糸に戻しました。

映画館やコンサートホール、静かなカフェなど、二人で出かける場所では、いつも夫の手には編み棒が握られていました。ドイツでは男性も編み物をするんだ、と彼はよく言っていました。

義父のセーターから生まれた新しい毛糸は、私の姉の子供たちのために、セーターや手袋へと生まれ変わりました。実家では、その温かさと丁寧な作りに、みんなが感嘆の声を上げていました。

編み物は、夫にとって単なる趣味ではなく、愛情を表現する手段なのだと思います。義父のセーターに込められていた愛情は、彼の編み棒を通して、新たな命へと受け継がれていくのです。

彼の編み物を見ていると、私も心が温かい気持ちになります。それは、愛情と手作りの温かさを肌で感じることができるからでしょう。

いつか私も、彼のように愛情を込めた編み物を作りたいと思っています。その時は、きっと義父も喜んでくれるでしょう。

編み物を通して、私たちは大切な人と繋がり、愛情を分かち合っています。それは、言葉では言い表せない特別な絆です。

これからも、彼の編み物を通して、義父の愛情を感じながら、家族と共に温かい時間を過ごしていきたいと思います。