桜の塩漬け
春の日、七歳の誕生日に、私は母と公園に桜を見に行った。満開の八重桜は、まるでピンク色の雲のよう。その下で、母は風に落ちた桜の枝を見つけた。
「あら、なんて綺麗!」
母は落ちた枝を拾い、丁寧に花を摘み取っていく。そして家に帰って、花を塩漬けにした。
「これは、何か特別な料理に使おうね。」
母はそう言って、塩漬けの花を大切にしまっておいた。
数ヶ月後、母はパート先の小料理屋で、その塩漬けの花を使った料理を作った。それは、桜の香りがほんのりとする、上品な一品だった。
「これは何の花ですか?」
初めてその料理を食べたお客さんは、皆口々にそう聞いた。
「これは、春に私が公園で拾った桜の花を塩漬けにしたものです。」
母はそう答えると、桜の花がどのように料理に使われているのかを説明した。
お客さんたちは、母の料理に感動し、小料理屋はますます人気になった。
秋になると、母は今度は紅葉の葉を使って料理を飾った。紅葉の葉は、料理に彩りを添え、さらに美味しさを引き立てた。
母の料理は、見た目も美しく、味も格別だった。板前さんたちも、母の料理にはいつも感心していた。
「お母さんの料理は、本当にすごいね。」
私は、そんな母が誇らしかった。
母は、いつも自然の素材を活かして、美しい料理を作っていた。そして、その料理は、多くの人を幸せにしていた。
私は、これからも母の料理を食べて、母の愛情を感じていきたい。