どうしても、ぼっち飯ができなかった。
高校の頃、いつも一緒にお昼を食べるグループがあったんですが、ある時期を境になんだか人付き合いに疲れてしまって、私はグループを抜けました。結構な大所帯グループだったので、ずっと気を張っていました。元々大人数が苦手だった私は、限界が来てしまったのです。抜けたと言っても、お昼を一緒に食べなくなっただけで、他の時間は一緒に過ごしていました。グループはいつも食堂に行ったり、教室以外の場所でお昼を食べているのですが、私だけ教室に残って別々にお昼をとるようになりました。高校生にもなると、結構みんな単独行動をしているものですね。誰かが一人で席に座っていてもたいして気にならないし、ぼっちだ~なんて一切思いません。でも実際に自分がぼっちになってみると、周りの目が気になって気になって、しんどかった。しばらくは自分の席で、一人で昼食をとる日々を過ごしていましたが、あまり長く耐えることはできませんでした。ある日、いつも教室で一人で過ごしている子が目に留まりました。嫌われたりハブられているわけではなく、ただみんなその子のことが掴めなくて仲良くしづらい、そんな子でした。あたしンちの石田みたいな感じ。その子に声をかけました。一緒にお昼食べない?と。毎日お昼の時間だけ二人で過ごし昼食が終わると、いつものグループに戻りました。私は酷いことをしました。彼女のことを利用したのです。自分がぼっちにならないが為だけに。聡明で、強くて、芯の通った素敵な人でした。時折、罪悪感につぶされそうになりました。こんな素敵な人なのに、私はぼっち飯を回避したい一心で近づいてしまった。誰にも影響されず、こんな邪な気持ちですり寄ってきた私を受け入れてくれた。汚い心の自分が横にいる、申し訳なくて、恥ずかしかった。賢い彼女のことだから、私の不純な気持ちにもきっと気が付いていたと思います。それでも、何も聞かず一緒にいてくれたことに感謝しかありません。彼女は毎朝教室に一番に登校してきて、誰より勉強ができて、すごく面白い感性を持っていました。ある朝教室に入ると、その子が一人でベランダにしゃがみ込んでいました。何をしているのかそっと覗き込むと、蜘蛛の巣を眺めていました。蜘蛛が今まさにせっせと巣を作っているところなのだと、嬉しそうに教えてくれました。ホームルームが始まるまでの数十分、おしゃべりすることもなく、ただ二人でずーっと蜘蛛の巣が出来上がるところを眺めていました。周囲の目なんて全く気になりませんでした。もう何年も前のことですが、今でもふと彼女のことを思い出します。彼女のように自分を持った人間になりたいと、心から思います。