3月27日、
僕は日本軽薄振興会のT島君と、
福岡ヤフオクドームに朝早く出かけたんだよ。



野球を観に行ったんじゃない。

ももいろクローバーZのドームトレック2016を、
観るために50間近のオッサン二人で出かけたのね。



井上がアイドルのコンサートに?

なんて、
思う人も多いことだろう。

事実僕も少し前までは、

「オレはロックの井上だ!」

って感じで威張っちゃって、
アイドルを完全にバカにしてた節がある。

そうして、
世界最高のアイドルグループ、
ビートルズを熱く語ったりしていたわけだから、
いってしまえばマヌケの国から、
無知を広めて回っていたようなもんだよ。

本当に本質をわかってないというか、
日頃から本質本質抜かしている僕が、
この体たらくだよ。

僕がももクロを意識し始めたのは去年だから、
いわゆるモノノフと呼ばれるももクロファンにいわせれば、

「尻の青いにわかファン」

ってところだろう。

ももクロって結成してもう8年ぐらいになるらしいんだけど、
まだオリジナル・アルバムは4枚しか発表していないんだよ。

だからさ、
気になりはじめてさ、

「さ~、ももクロを聴いてみよう」

なんて思っても、
結構簡単に歴史を遡ることができるんだよね。

僕は冷静な音楽探訪者だと自負しているから、
とりあえずオリジナル・アルバムを聴いてみよう、
って気分になっちゃったのね。

というわけで、
まずは2011年に発表された1stアルバム『バトル&ロマンス』を聞いたんだけど、
腰が抜けちゃったんだよ、
これがいいんだよ!



このビートルズの『ウィズ・ザ・ビートルズ』を意識したジャケットのライティングが、
なんかこのグループの決意の表れのようだったんだけど、
まさに名は体を表すじゃないけど、
ジャケはサウンドを物語っていたのね。

ビートルズをはじめとする、
多くのアイドル・グループのデビューアルバムがそうであったように、
瑞々しく、
元気で明るい内容になっているのね。

楽曲もももクロの代表曲ともいえる『行くぜ!怪盗少女』や、
『オレンジノート』さらに、
『コノウタ』といったライブの定番曲といえる名曲が、
ギッシリ詰まっているんだよ。

ポップだけどどこか異端な雰囲気がいいんだよね。

でも、
1stアルバムの中で、
僕がももクロの異端性を一番感じたのが、
『ミライボウル』という、
昭和のダンスホールを意識した、
ちょいとクレージーキャッツを思わせるコミカルな一曲なんだよ。

この楽曲の転調や変拍子の凄まじさったらないよ!

トッド・ラングレンや、



XTCのアンディ・パートリッジや、



オリジナル・ラヴの田島貴男の世界なんだよ。



つまり、
トッドやXTCや、
オリジナル・ラヴを正当に評価できる人なら、
ももクロには喝采を送れるはずなんだよ。

「変わったアイドルだな」

と思って1stアルバムを聴き終えた僕は、
一気に2ndアルバムの『5th Dimension』を聴いたわけ。



ジャケットから異常だよな。

アイドルでありながら、
顔を隠すって手法を取ってんだもんね。

まさに異端!

で、
アルバムを聞いた僕は気づいたんだよ。

1stアルバムの『ミライボウル』は、
偶然でも、
お遊びでもなかったってことにね。

この2ndアルバムでは、
アイドルに『ボヘミアン・ラプソディ』をやらせたようなもんだよ。

変拍子の連発は、
もはやパンクのごとき強暴性になってんだもん。

そこにラップやラテンなんかまで加えてきちゃうわけだもん、
このサービス精神の凄みみたいなもんはどうよ?

だからこそなんだろうけど、
1stアルバムのキラキラしたような、
バブルガムのようなポップス性が、
すっかり影を潜めちゃって、
これはまさにアイドル歌謡ではなく、
ロック作品なんだよ。

さらに布袋寅泰が楽曲を提供しているんだけど、
僕は基本布袋なんかも全然聴いていないんだよ。

でも、
ももクロに提供した『サラバ、愛しき悲しみたちよ』を聴いて、
僕は、

「あ、布袋も僕と同じでディーヴォとかB-52'sが大好きなんだろうな」

って気づいて、
少し嬉しくなっちゃったんだよね。

まあ、
その辺はももクロの話と違ってくるから、
機会があればまたってことで。

で、
2ndアルバムまで一気に聴いて、
僕はふと思ったの。

よく音楽評論家はさ、
過去の作品を評価する時に、

「10年先を行く音楽だった」

なんて、
マヌケな後出しじゃんけん的なことを抜かして、
悦に入ったりするじゃん。

僕が大好きな1967年に発表された空前絶後の名作、
『ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』なんかは、
常にそんなマヌケな評価がついて回るのね。



そりゃあ10年先を行く音楽を作った人は立派だと思うけど、
仮に10年先を行ってたとしても、
ヴェルヴェッツのアルバムで10年先を行くって、
1977年じゃん。

2016年の今から考えたら、
相当時代遅れってことになるわけじゃん。

ペケじゃん、
そんな評価!

そんな先鋭的なものがわかる音楽評論家なら、
そろそろ、
現在の時点で、

「5年先を行く音楽だ!」

って評価をしたらいいと思うけど、
そういう評価ができる音楽評論家を、
僕はあまり知らない。

で、
このももクロなんだけど、
彼女たちの音楽が5年先を行っているとは思えない。

ただ、
アイドル歌謡というくくりのせいで、
正当に評価されていない部分もあるようだけど、
彼女たちの音楽は、
10年後20年後の方が、
いろんな人たちから正しく評価されちゃうような気がしたんだよ、
2ndアルバムを聞いた僕は。

今ももクロをアイドルだからというくくりで聴こうとしない人は、
気持ちがわからんじゃないけど、
もったいない。

そして、
今年に入って発表された2枚のアルバム、
『Amaranthus』と、
『白金の夜明け』になるわけだよ。




この2枚の作品を、
流して語ることなんかできない。

これらは1枚1枚、
丁寧に語りたくなってしまう、
強烈なトータル・アルバムになっているので、
機会を見て、
じっくりこのブログで語りたいと思う。

一ついいたいのは、
この2枚のアルバムこそ、
ロック至上主義ともいえるロック原理主義者に聴いてほしい。

もちろん、
4作品を聴くに越したことはないんだけどさ。

そして、
アイドルがここまでやっているという危機感を持ってほしい。

それができない頭でっかちのロック野郎が、
現在のロックの衰退の要因だと思う。

そんなわけで、
僕はT島君とヤフオクドームに行ったんだけど、
その話はまた明日だね。

もうだいぶ喋っちゃったもんね。

ちょうど時間となりました~。
次の文演まで御機嫌よう~。



BGMはももいろクローバーで『ミライボウル』をどうぞ。