朝から調子があがらない。
こういう時は、
友人の森ダイナマイトからもらったCDでも聴こう。

1972年に発表されたアメリカン・スプリングの『スプリング』というアルバムだ。

ブライアン・ウィルソンの当時の嫁さんだったマリリン・ウィルソンと、
その実姉ダイアン・ローヴェルの姉妹デュオのアルバムだ。
当然プロデューサーはブライアン・ウィルソン。

当時のブライアンはすっかり隠遁生活に突入し、
ドラッグに溺れマリリンとの夫婦仲は完全に形骸化していた。

そういう歴史を知らなくとも、
このアルバムからは未来とか希望というポジティブさが全く感じられない。
感じられるのは殺伐さのみである。

というと聴くのがヘビーになってしまうサウンドかというと、
そうでもないところがミソである。
フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドを
ペタペタさせたようなわけが分からない音は、
際立って特殊だし、
凄まじいまでのマヌケさが漂っている。

殺伐とマヌケという相反するサウンドを見事に一つにまとめあげたのだから、
やはり腐ってもブライアン・ウィルソンということか。

鬱々としがちながら笑いへ転嫁できるアルバムがこれだ!

ちなみに紹介するジャケットで、
際立って不気味な顔をした女性が、
ブライアンの元嫁マリリンである。

マリリンを嫁にチョイスした点もまたブライアンの常人には計り知れないところだといえよう。スパリゾート井上の魔性の火山