Beautiful Delilah | Each Kinky Things

Beautiful Delilah

1曲目:Beautiful Delilah
作曲者:Berry 時間:2分07秒
キー:C

 記念すべき1曲目は、御大チャック・ベリーのカバーです。ちなみに「デリラ」じゃなくて「デライラ」ね。
 後に異様なまでに増大した作家性を発揮するレイ・デイヴィスでさえ、デビュー・アルバムではカバーを入れるというのはご時世だったのでしょうか。

 ベリーじいさんのファンの方ならご存知と思いますが、この人は曲によって力の入れ具合が全然違います。歌詞はけっこうベリー節というか、きれいなオネエチャンについて歌うんでもひと味違うというか……とにかくいいんですけど、オリジナルの演奏はちょっと気の抜けた感じで、ギターもボーカルも単調です。

 しかし! このキンクス版はその辺をビシッとギターバンドらしくきめています。ステージでよく演奏していたからか、演奏もこなれていて、アルバムのトップにふさわしい勢いがあります。

 個人的には、ブリティッシュ・ロックとは
「イギリスの若いもんがアメリカの実際とか空気とか社会とかを知らないまま、純粋にアメリカの黒人音楽をコピーしようとしていたのに、そもそもの立脚点の違いにより、違う種類の音楽になっちゃった。それに自覚的だったかどうかは別にして、その違いっぷりが思わぬ効果を醸し出したもの」
と思っています。
 この曲なんかはその好例かなと思いますね。
 ただし、明らかに無自覚(つまり本人たちは完全な黒人音楽だと思っている人。違うし、その違うところがいいのに)ではなく、自覚的にやっているのがキンクスの凄いところです。
 だって、レイ・デイヴィスが好きなアーティストにいつも真っ先に上げるのが、何とビッグ・ビル・ブルーンジーサニーボーイ・ウィリアムスンですからね。恐らく早い段階で真似ができないことに気づき、独自の音楽に走ったのでしょう。

 しかし、このアルバムをリアルタイムで聴いた人は、よもや5年後10年後にああなっていくなんて、夢にも思わなかっただろうなあ……