こんにちは!
東京原宿クリニック院長の篠原岳です。
「外来の現場で、患者さんに何を一番最初にお伝えしているか」という実践的な内容をお話しします。
テーマは「お腹の不調と腸カンジダ」。
「腸カンジダ」と聞いて、ご自身で色々調べている方も多いかもしれませんね。
なぜ?「腸カンジダ」対策で迷子になる人
・お腹がパンパンに張る
・ガスが溜まりやすい
・便通が不安定(便秘だったり、下しやすかったり)
・肌荒れやニキビが治りにくい
・なんだか頭がスッキリしない、集中できない…
こんな症状に悩んでいませんか?
「もしかして、腸にカビ(カンジダ)が増えすぎているのかも?」
そう考えて、自己流で「カンジダ・クレンズ(お掃除)」や極端な糖質制限を試みる方もいらっしゃいます。
でも、ちょっと待ってください。
実は、そうしたお腹の不調は、小腸で真菌(カビ)が増えすぎる(SIFO)だけでなく、細菌が増えすぎる(SIBO)ことや、過敏性腸症候群(IBS)といった問題と、症状がそっくりで見分けがつきにくいのです。
研究でも、原因不明のお腹の症状に悩む方のうち、SIFO(カビ)とSIBO(細菌)が両方同時に起こっているケースは少なくありません。
また、「胃酸を抑える薬(PPI)」を長期間使っていることや、小腸の動きが悪いことが関係している可能性も指摘されています。
つまり、「私の不調は絶対にカンジダのせい!」と一つに決めつけず、全体的にアプローチするのが安全です。
自己流クレンズより先に!見直すべき「3つの土台」
当院(東京原宿クリニック)では、専門的なサプリやお薬を考える前に、まず生活の「土台」を整えることを最優先にしています。
なぜなら、この土台がグラグラだと、せっかく治療をしても効果が出にくかったり、すぐに元に戻ってしまったりするからです。
🍽️ 1)食:極端な制限より「質」と「多様性」
「カンジダは糖分が好きだから」と、自己流で極端な糖質制限(ごはん、パン、果物すべてカット!)に走っていませんか?
もちろん、お菓子やジュースなどの精製された糖質を控えることは大切です。
しかし、長期間の厳しすぎる制限は、かえって腸の粘膜を養う栄養が不足したり、ストレスで続けられなくなったりします。
大切なのはバランスです。
・質の良いタンパク質(肉、魚、卵、大豆製品)
・食物繊維(野菜、きのこ、海藻)
・発酵食品(納豆、味噌、お漬物など ※ご自身のお腹に合うもの)
・ポリフェノール(色の濃い野菜、果物など)
これらを無理なく、多様性(色々な種類)を意識して摂りましょう。
いわゆる「腸もれ(リーキーガット)」を防ぎ、腸のバリア機能を守るためにも、極端な食事は禁物です。
😴 2)眠:7〜8時間の「量と質」を確保
「寝不足はお肌の敵」と言いますが、実は「腸の敵」でもあります。
睡眠不足は、ホルモンバランスや自律神経を乱し、腸のバリア機能や腸内環境(腸内フローラ)を悪化させます。
・毎日7〜8時間は寝る
・寝る時間と起きる時間をなるべく固定する
・寝る1時間前からはスマホやPCを見ない
・朝起きたら、まず太陽の光を浴びる(体内時計がリセットされます)
当たり前のことですが、これが一番の薬になることも多いのです。
🏃♀️ 3)動:ムリなく「低強度」の運動を習慣に
運動不足はもちろん良くありませんが、激しすぎる運動(フルマラソンや高強度の筋トレ)も、一時的に腸に負担をかけることがあります。
おすすめは、「低強度の運動」を。
・少し早足のウォーキング
・軽いジョギングやサイクリング
・ゆっくりめの筋トレ
「気持ちいいな」「続けられそうだな」と感じる強度でOKです。
習慣的な運動は、腸の機能や腸内環境の安定につながります。
専門的な検査や治療は?
上記の「3つの土台」を整えることが、腸カンジダ対策の主戦場です。
これが整って初めて、サプリやお薬が安全に、そして効果的に働いてくれます。
検査で何がわかる?
よく「SIBO(細菌)呼気試験」がありますが、これはあくまで「細菌」由来のガスを見るもの。カビ(真菌)の増殖を直接見ることはできません。
便検査も、主に大腸の様子を見るものなので、小腸でカビが増えているかの確定診断にはなりません。
抗真菌薬(カビの薬)は?
お薬を使う場合も、「短期集中」が基本です。
だらだらと長く飲むことは推奨できません。
また、抗真菌薬は肝臓に負担がかかったり、他のお薬との飲み合わせ(相互作用)が非常に多い薬でもあります。
東京原宿クリニックでは、お薬を処方する際は、必ず肝機能のチェックや、今飲んでいる他のお薬との相互作用を厳密に確認した上で、安全に治療計画を立てます。
≪保存版≫受診前セルフチェック
ご自身の生活を振り返ってみましょう。
□ この3ヶ月以内に、抗菌薬(抗生物質)を飲んだ
□ 胃酸を抑える薬(PPIなど)を長期間飲んでいる
□ 自己流の極端な食事制限をして、やめるとぶり返す
□ 睡眠不足や、強いストレスが続いている
□ 運動は全くしないか、逆にやりすぎている
□ SIBO(細菌)向けの対策をしても、お腹の張りだけが残る
ひとつでも当てはまる方は、まずは「食・眠・動」の3つの土台を見直してみましょう。
その上で、専門家のチェック(検査や薬の判断)を組み合わせるのが、根本改善への一番の近道です。
よくある質問(Q&A)
Q1. “カンジダ・クレンズ”は、やっぱりやるべき?
A. 一時的に甘いものを控えるのは良いですが、極端な食事制限を長く続けるのはお勧めしません。まずは生活の土台を整え、腸のバリア機能を立て直すことが優先です。
Q2. 検査をすれば、カンジダがいるか白黒ハッキリわかりますか?
A. 残念ながら、呼気試験ではカビ(真菌)は直接評価できません。最も確実なのは小腸の液を採取する検査(内視鏡)ですが、体への負担も大きいため、まずはSIBO(細菌)の評価や、生活改善の反応を見ながら総合的に判断します。
Q3. 腸活のためにプロバイオティクス(善玉菌サプリ)を飲んでも良い?
A. ケースバイケースです。試す価値がある場合もありますが、特定の菌(S. boulardiiなど)は、体の抵抗力が極端に落ちている方には注意が必要な場合も。自己判断で大量に摂ることは避けましょう。
まとめ
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腸カンジダを疑ったら、まずは「食・眠・動」の3つの土台から。
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お腹の不調は、カビ(SIFO)・細菌(SIBO)・腸の動き(IBS)など、原因が重なりやすい。
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検査や薬(抗真菌薬)は、土台を整えた上で、必要最小限を正確に使うのが安全です。
お腹の不調が長く続いてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
▼もっと詳しく知りたい方は、当院の専門解説ブログもご覧ください。
・腸カンジダの全体像について(東京原宿クリニックのカンジダブログ)
この記事を書いたクリニック
東京原宿クリニック
・所在地: 東京都渋谷区(原宿・表参道エリア)
・診療科: 内科・呼吸器内科、栄養療法(自由診療)、点滴療法、キネシオロジー 他
・公式Webサイト: https://th-clinic.com/