「妖怪の子、育てます⑥妖怪奉行のとんでもない一日」 廣嶋玲子さん作、Minoruさん絵、妖怪の子預かり屋の弥吉と育て親の千弥の生まれ変わり、千吉を中心にした妖怪と人間の物語シリーズ、第6弾です。いつもと違い、文庫サイズを借りました。前回、妖怪奉行所の月夜公が、妖力を分けるために犬猿の仲の朔ノ宮に口づけしたことから一騒動起こります。
口づけをしたことが妖の間に一気に広まってしまい、朔ノ宮に一方的に好意を抱いているヤモリの妖、白守が怒って果たし状を送り付けてきます。無視を決め込んでいた月夜公でしたが、さらに怒った白守はついに呪いをかけてきます。女に帰られてしまった月夜公は、部下の烏天狗、飛黒の家に隠れて犯人白守を捕まえるのを待つことにしますが、そこに最愛の甥、津弓が来てしまいます。情けない姿を見られたくなかった月夜公でしたが…。とんだとばっちりから不思議な出来事に発展する事件は一体どおうなるのでしょう。
同じころ、妖怪の子預かり屋の弥吉のところには猫の大妖、王蜜の君がやってきて、千吉をしばらく借りたいと言います。嫌がっていた千吉でしたが、褒美がある聞いてついて行くことにします。人間界で遊ぶのに付き合うことになりますが、王蜜の君がすることは、悪人たちの魂を集めることでした。様々な悪さをする人間を苦しめた上で魂を抜くのが好きな王蜜の君について回り、千吉は王蜜の君がじつはただ楽しんでいるわけではないことを知ります。
他にも西光寺の住職、玄楽がカエルの妖怪、青兵衛と知り合う話と、千吉を欲しがる困った女がやってくる話、そして妖怪になりたがる山姥の拾われ子の話が載っています。妖怪たちの織り成す物語は時に切なく、クスリと笑えるものばかりです。一見、とんでもない行動の王蜜の君も、話を聞くと信念があり、かっこよくもあります。千吉たち、子どもの妖怪たちはそんな他の妖怪たちと関わりながら成長しているのが微笑ましいです。毎回とんでもない事件に巻き込まれる弥吉たちですが、妖怪と一緒の暮らしもいいものかもしれません。