季節外れの海水浴場の駐車場に
車を停めて
やみくもに海沿いを走ったら
遠くに娘らしい姿が見えて
ホッとしつつも
早くつかまえなくては。
私は走った。
いつもは服装にも化粧にも
気を配る娘が
部屋着のままサンダルで
片手にペットボトルを持って
フラフラ歩いている
細い腕を掴んだ。
「はやく!車に乗って帰ろう」
「いや!絶対イヤ!」
「どうしてスマホの電源切って
突然いなくなったりするの!?
心配するでしょっ」
「急に歩きたくなっただけ!
すぐ帰るから!
自分で歩いて帰れるから!
お願いだからほっておいて」
というやりとりを何回もしたが
とりあえず1人で絶対歩いて帰ってくると
約束をして私は先に車で帰ったが
1時間しても帰ってこず
スマホもまた出ずからの
電源を切ったので
今度は自転車で近所を
走りまくって神社や山を
探したが見つからず
泣きそうになりながら
1度家に帰ると娘が玄関で
座っていたのだ。。
大袈裟かもしれないが
この数時間で私の寿命が
10年縮まったと思うくらい
娘がどこかで
命を投げ出す気がして仕方なかった。。
この後嘘みたいな
信じられないことが起こるなんて
夢にも思わなかった。