6月8日のブログネタ、リストラ関連の話題で書きましたよね。
アップしてからすぐに思い出しました。かつて人員整理関連の書籍を読んだことを。
とはいうものの、ボクは人事や総務担当になった事はありませんので、仕事の参考や同調でその本を買い求めたのではありません。その本の内容が(今ではそれもアリかな?とは思いますが)当時としては「あり得んやろ、そんな事!」と思えるようなコンテンツだったのです。
クビ切り担当役員の独白だったんです。
具体的に言いますならば、GMARCHを卒業して一般企業に就職したものの「役員で遇する」という求人に釣られて(確かそうだったはず…)転職したら「クビ切り担当(人員整理該当者引導渡し専門)役員だった~」という悲惨なストーリーなんです。
整理対象リストに基づいて、肩の叩き方、「今度食事でもしながらゆっくりと話でも…」式の切り出し方、早期退職するための金銭的なケアのしかた等々の話が盛り込まれてありました。
クビを告げられて泣き出した女子職員がいて、その人のためにティッシュの箱を持ちながら話を進めたという記述もありました。
そういった経緯の中、その役員は粛々と自らの職責を遂行していって。
そして、その企業はそのクビ切り役員に課した整理人員数(クビ切り人員数)が達成された時点で、その役員のクビを切りました。クビ切りのためだけに採用したんですからそういう流れももっともでしょう。その人は納得してその会社を後にしました。
そういったオチで終わったこの本のストーリー。
さぞや著者の恨みつらみや、周囲からの自業自得の声に苛まれてるとか、クビを切った人々を思い出し自責の念に捕らわれてるとか、そういうエンディングなのでは?と思う方もいらっしゃるかと思います。
ボクもそういった予定調和説的な終わり方かな?って思いながら読んでました。
しかし、そういった予定調和はいかにも日本的なのではと考えさせられる著者の主張がそこにありました。
前のブログでも書いたように日本ではクビ切り=リストラ(restructuring)とされています。
本来のリストラ(restructuring)の意味とは(企業の)再構築でして、その再構築の一環として人員整理(クビ切り)が行われるのならば、労働者側もネガティブに考えることなく新たな活路を見出すチャンスと捉えて、現在勤めている会社に未練を残すのはよくないのでは?
…が著者の考え方なんです。
「何を無責任なことを、コイツは!」と思いましたが、かと言ってこの人の思いを全面的に否定するって気持ちにもなれませんでした。
人員整理を余儀なくされて、早期希望退職と併せ持って「今までご苦労さん」を労働者に勧めてくる会社なんて経営状況だっていいものではありません。労働者さんも見切りの付けどころも必要になってきます。
そんな「このまま居座る事の危険」を事前に知りながら、条件のいい見返りを提示されているのにも関わらず居続ける方を選択しがち、ってのは日本式経営の終身雇用制度にあるのかと思います。
ボクは日本式経営の終身雇用制度を否定するつもりはありません。それは日本人に馴染んだ素敵な制度だと思います。
しかし、状況次第でそれに対して決別しなければならない選択を余儀なくされた時、終身雇用制度への過度の執着ゆえに有利な選択ができる思考がマヒしてしまうのも問題です。
そのような事を考えるならば、このクビ切り担当役員さんの書いた本はボクに何らかの問題提議をしてくれたのではと思います。