last
という英単語がありまして
ボク等日本人にも割となじみのある単語です。日常会話の中でもよく使われています。単語の意味も誰もが知ってると思います。「最後の」を表す英単語だろうと。
でも、それだけでしょうか?
この単語ほどしっかり辞書を引いて対処しなければならない単語もないと思います。最初に出てくる意味だけ覚えていては(それでほとんど対処できるだろうと思っていては)構文自体の訳もしっくりこないこともあるからです。
上記英和辞書サイトの " last " に関する日本語意味の 3番目が「最後の」に続いてよく使われる意味合いです。
〔時間的に〕現在に一番近い過去の、この前の、すぐ前の
このふたつの和訳時の意味「最後の」と「直近の」の使い分けをボクの大好き科目(得意科目ではない)の英語歌の歌詞で検証していきましょう。
・The Monkees の "Last Train To Clarksville"(邦題は「恋の終列車」)のこれも冒頭部分。
>Take the last train to Clarksville,
>>クラークスビル行きの最終列車に乗ろうよ。
この場合の訳語は「最後の」ですよね。last train は「最終列車」ですから。
・Engelbert Humperdinck の The Last Waltz も「最後の」系ですよね。
>I had the last waltz with you,
>>あなたと踊った最後のワルツ
・でも、The Beatles の Please Please Me は違います。
>Last night I said these words to my girl.
>>昨夜、彼女にこう言ったんだ。
この場合の訳語は「直近の」ですよね。last night は「直近の夜」で昨夜ですから。
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この last に Christmas を結合して " last Christmas " とした場合、「最後の」と「直近の」がゴッチャニなってしまう場合もあるんです。
Wham の曲に " Last Christmas " ってのがあります。
>Last Christmas I gave you my heart.
>But very next day you gave it away.
>>去年のクリスマス、ボクはキミに心を捧げたのに
>>ホント、次の日にキミはそれを踏みにじったね。
この場合は「直近の」ですよね。クリスマスは年一回ですから、一年前でも「直近」になります。
でも、その後、わが国日本において世に出たクリスマスソング、杉山清貴が歌う「最後のHoly Night」における歌詞の英語部分
>Last Christmas eve for you
>(前後の歌詞との兼ね合いから)キミと過ごす最後のクリスマス、とした方がいいですよね。「最後の」の意味で last を使ってます。曲題の「最後のHoly Night」からもそれが分かります。
しかし、その次に来るフレーズで
>Last Sweet Summer Memories
>(その後に続く歌詞との兼ね合いから)あの夏の日の切ない思い出(夏はクリスマスの前にありますから「去年の」はいらないでしょう)「直近の」の意味で last を使ってます。
フレーズ毎に last の意味合いを分けています。
英語の授業を離れた今でも、このような疑問はたびたびボクの元に訪れて、わずかな語学的興味と(英単語小テストの追試に苦しんだ)高校時代を回想させてくれます。
まぁ、こんな感じで流行り歌にチャチャ入れるくらいの英語力はまだまだ持ち合わせてるんだなーってホッとしてはおりますけどねw
最後にこのブログのオチを
前述「最後のHoly Night」の
>Last Christmas eve for you
>キミと過ごす最後のクリスマス
最初にこの歌を聴いたときは「キミと過ごした去年のクリスマス」って訳しちゃって、「今まさに、彼女と別れる寸前なのに、なんでコイツは去年のクリスマスの思い出に浸ってシミジミしとるんや?何考えとるんや、こいつは。」とか思ってました。
いま考えると、「何考えとるんや、こいつは」なのはボクだったかもしれませんねw
