藤岡藤巻には活動を休止していた時期があって、以前に、活動再開から一年後のインタビュー記事をとりあげた。

 

今回は活動再開後の初のワンマンライブが行われた2018年2月に掲載されたMusic Voiceの記事の記事です。

 

 

こういう記事を読むと、藤岡藤巻というバンドは自分たちに正直に活動してるんだなぁと思います。この時、藤岡藤巻、65歳。

 

藤巻直哉

サラリーマンをやっている時から僕らは音楽をやっているんですよ。でもその時は、皆が麻雀やゴルフをやっているのと同じような感覚もありました。

 若くして出世した僕らの同期はたくさんいたんですけど、そういう連中に限って早くにへたってしまってダメになっちゃっているんですよ。僕は同期で最後に部長になったんですけど、当時、藤岡君は秋元康さんと仲良くしていてね。その時に「そういうのを『海の杭』って言うんだよね」と言われて、「どういう意味?」と聞いたら、海が満ちている時は目立たないんだけど、引き潮で海が引いたら杭が一本だけ立っているから、そういう事を指しているって。俺が部長になっちゃったときも「え? 俺…」みたいな。

 満ちている時は目立たなくて、全然どこにいるか分からないんだけど、引いたら1本だけ立っている。「そういうのを『海の杭』って言うんだよね」と。「うまいことを言うな~」と思って。さらに「本当、藤巻さんは不戦勝の人生だよね」とも言われて。

 

 

藤巻さんのこの話は、ライブのMCで披露されたりするけど、ほんと面白い。もはや落語の味わいになってる。

 

――楽曲は社会風刺というか、人間の本質の所を見抜いているようにも感じます。

 

藤岡孝章 そうね、本質ね。難しいのは、やり過ぎちゃうと怒られちゃうからね。適度にエンターテインメントしてね。

 

――歌詞作りはその辺の塩梅が難しそうですね。

 

藤岡孝章 その辺はね、長年社会にもまれてきた経験がね。長いものには巻かれつつ、でも言いたいことを言うみたいなね。微妙なところだね。

 

藤巻直哉 我々の曲に「よろけた拍子に立ち上がれ!」という曲があるんですけど、<誰も見てないところで 牙をむけ!>という歌詞にもあるように、見ているところに牙はむけないんですよ!(笑)

 

藤岡孝章 むいちゃうとね、軋轢を生んじゃうから(笑)

 

 

 

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現在(2024/11)、ネットを検索する限りで最も古い藤岡藤巻のインタビューは、2006年2月の『月間 人事マネジメント』に掲載された藤岡藤巻のインタビュー記事ではないかと思う。

 

タイトルは、”伝説のサラリーマンバンド「藤岡藤巻」おやじ世代よ、立ち上がれ!”。

 

企業向け月刊誌に藤岡藤巻が取り上げられるのも面白いけれど、インタビュー内容がまた面白い。

 

なにしろ、”まりちゃんズ”の活動停止理由まで掲載されている。

バンドが解散(活動停止)を決めたきっかけは,当時人気絶頂だった天地真理 ショーにジョイントし,ツアーに同行したことだった。 天地真理のためのフルバンド, コーラスその他の一大団体と一緒に,東京から北海道まで何週間ものツアー。そんな中で,いつしか同じメンバーで顔を突き合わせていることに耐えられなくなってしまったのだという。時にはホテルの部屋割りを変えるなど,新鮮味を出す工夫もしてみたが……。 「最後にはメシの食い方ひとつまで,気に食わなくなっちゃって」(藤巻)

 

「この雑誌的に言うと『人事マ ネジメント』がうまくいかなかったってことですね(笑)」(藤岡氏) 最初のシングルをリリースしたのが74年6 月で,翌年の75年7月には解散を決めていたというから,これはすばやい決断だ。活動を停止した後,藤巻氏は大学へ復学,卒業後,大手広告会社に就職してごく普通のサラリーマンとなった。また藤岡氏も,大学を中退,レコード会社の制作担当になる そして30年。お二人は同世代の お父さんたちと同様,満員電車に揺られて出勤し,夜は居酒屋でいっぱい,というどこにでもいるサラリーマンとして月日を送っていた。

 

ここから、藤岡藤巻結成など興味深い話が続き、初期のホームページの画像まで掲載されている。

 

 

ご自身「おじさんの愚痴みたいな歌」と言うそれらが,同世代の男女たちだけではなく若いOLた ちにも受け入れられた。元気を貰った,という声も多いという。 

 

「何がいいか分かんないですけどね。そんなたいしたもんじゃないですね(笑)。でもね,この年にならないと気が付かなかったことってあるでしょ。体の衰えとか, 世の中の諦め方とかね。自分の可 能性だってだいたい見えてきた, そういう観点から歌を作れるようになったし,作ってきたなって感じはしますね」(藤岡氏)

 

 若い歌手や,ある程度の年齢であっても芸能界でバリバリ活躍し続けている歌手が,例えばリストラされたお父さんの 歌を歌っても人の心に響くだろうか。しょせん絵空事と思うのではないだろうか。けれども『藤岡藤巻』は違う。

 「僕,実際,職安 行きましたからね」 (藤岡氏)「シャレになって ないって(笑)」(藤巻氏) 

 

「それから30年が過ぎて,僕らの世代はもう今の吉田拓郎さんや 泉谷しげるさんの歌には共感でき なくなっちゃった。そういう,僕らみたいなお父さんはもう彼らの歌では癒されないんだよね。だからって,僕らがそういう歌を作ろうと思ったわけじゃないんだけどね」(藤巻氏)

この月刊誌のインタビューは、人事雑誌だけに真面目にとりあげてるところがいいのです。だから藤岡藤巻というユニットの活動についての考え方がよく伝わってくる。

「これから団塊の世代が引退するでしょ。そしたら今までみたいにやらなきゃいけないことじゃな くて,自分のやりたいことができるようになるよね。そういうこと見つけてやっていけばいいと思うんです。僕らだって同じ。やりたいからやってる。だって20代の時もやりたくてやってたんだから さ」(藤巻氏)

この記事を読むと、藤岡藤巻の活動の芯というのは、今でもブレてないんだなと思いました。
現在,藤岡氏は音楽プロデューサーとして独立しているが,藤巻氏は大手広告代理店のサラリーマ ンのままだ。だからライブは平日の夜,会社がひけてからに限られる。舞台衣装は普通のワイシャツにネクタイ。要は会社帰りそのままの姿なのだ。また,会社の仕事をおろそかにはできないため,リハーサルの時間もなかなか取れないという。 会社員である藤巻氏には,時間 調整の他にも悩みが多い。
ライブの夜はギターを抱えて出勤することになるが,それを会社に持ち込むわけにはいかないため,駅のコインロッカーに預けたり,顔見知りの喫茶店に置かせてもらったりと苦労する。「やりたいからやってる」という言葉がよく分かる。
 では休日は? とお訊ねすると,異口同音に「家事」というお答えが返ってきた。
 
「洗濯とかね。新婚のまだスイ ートな時代に,いいよいいよ俺がやるよって言っちゃったのが失敗 だったねえ」(藤岡氏)
「僕らの仲間の奥さんはたいてい燃えないゴミの日がいつか知らないですよ」(藤巻氏)
 
「僕らがある程度盛り上がってきたら,他の人も何だこんなんでいいのかって,どんどん出てきて くれれば嬉しいなと。そしてそういう人たちをプロデュースして世に出して,おやじエンターティナー専門のレコードレーベル作ったりしてね。だって死ぬまでできますからね」(藤岡氏) 
「自分で楽しむのがいちばん。今までやったことない人でもいいんですよ。スタイルなんてどうで もいいんだから」(藤巻氏)

 

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遂に届いた『まりちゃんズ結成50周年 尾崎家の祖母最終章 CD制作企画with赤坂泰彦』のリターンを楽しんでいる。

 

未聴な方のために内容については触れないけれど、いい意味で予想を超えた作品。作り手が楽しんでいる自由な空気感が詰まっていて、それがさらに楽しい。

 

小冊子は、ミリオンナイツで「尾崎家の祖母」がブレイクした頃の話(対談)なんだけど、知らなかったことばかりで、これもまた面白かった!

ネット上に散らばっている藤岡藤巻に関する記事や情報を見つけるのは面白い。

 

本日とりあげるのは、彼らがアルバム『藤岡藤巻Ⅰ』をリリースした2007年のこと。

 

当時、所属していたソニーミュージックに、情報のカケラが残っていて、そこには”前代未聞! 日本経済新聞の1面に藤岡藤巻が!”というキャプションがついている。

 

 

 

ここに書かれていた日本経済新聞の記事が読みたかったのだけど、ずっとそのままになっていた。

 

先日、図書館を訪れた際にこのことを思い出して、新聞記事を検索したら出てきましたよ! 一部を抜き取るとこんな内容でした。

"会社帰りの携帯に 女房からのメールが入った…と歌うオヤジ二人組が話題だ。藤岡藤巻と名乗り、ともに五十四歳。歌はこう嘆いている。メールの文面は「牛乳 トイレットペーパー 海苔」。なんと三つの単語だけだった。
「買ってきても」も「よろしく」もない伝言の寂しさを、無味乾燥な夫婦の風景を、中年デュオは切々とつづる。かつてはオヤジの方が「風呂 メシ 寝る」と三語しか口にしないといわれたものだが、今や立場は逆転したのか。夜も更けたコンビニで買い物かごをぶら下げたお父さんの心中は穏やかではない。そもそも(以下、略)"

記事の視点が、2007年という時代を感じさせる。

 

ともあれ日本経済新聞に”オヤジ二人組が話題だ”と書かれているのだから、当時もそれなりに知名度があったんでしょうね。

 

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更新が止まっていた藤岡藤巻の公式サイトが、いつの間にかリニューアルされていた。

 

リニューアルといっても、ドメインも変わっているから、引っ越しのイメージか。以前は静のイメージのブログだったけど、なんだかはっちゃけている。

 

サブタイトルは、”藤岡藤巻~いろいろあるんです”。いろんな意味でいろいろあったんだろうな。突然に公式サイトや公式ブログが消えてたりしたし。

 

サイト案内人は、”萩原ペン太”さんという方になってるけど、音楽評論家の”萩原健太”さんを勝手にモジっているような…。謎のヒトだ。

 

閉鎖されてた公式ブログに掲載されていた藤岡さんや藤巻さんの投稿も移行されていくようなので、楽しみ。また読み返したかったんです。二人の新たな投稿にも期待しています。

 

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