現在(2024/11)、ネットを検索する限りで最も古い藤岡藤巻のインタビューは、2006年2月の『月間 人事マネジメント』に掲載された藤岡藤巻のインタビュー記事ではないかと思う。
タイトルは、”伝説のサラリーマンバンド「藤岡藤巻」おやじ世代よ、立ち上がれ!”。
企業向け月刊誌に藤岡藤巻が取り上げられるのも面白いけれど、インタビュー内容がまた面白い。
なにしろ、”まりちゃんズ”の活動停止理由まで掲載されている。
バンドが解散(活動停止)を決めたきっかけは,当時人気絶頂だった天地真理 ショーにジョイントし,ツアーに同行したことだった。 天地真理のためのフルバンド, コーラスその他の一大団体と一緒に,東京から北海道まで何週間ものツアー。そんな中で,いつしか同じメンバーで顔を突き合わせていることに耐えられなくなってしまったのだという。時にはホテルの部屋割りを変えるなど,新鮮味を出す工夫もしてみたが……。 「最後にはメシの食い方ひとつまで,気に食わなくなっちゃって」(藤巻)
「この雑誌的に言うと『人事マ ネジメント』がうまくいかなかったってことですね(笑)」(藤岡氏) 最初のシングルをリリースしたのが74年6 月で,翌年の75年7月には解散を決めていたというから,これはすばやい決断だ。活動を停止した後,藤巻氏は大学へ復学,卒業後,大手広告会社に就職してごく普通のサラリーマンとなった。また藤岡氏も,大学を中退,レコード会社の制作担当になる そして30年。お二人は同世代の お父さんたちと同様,満員電車に揺られて出勤し,夜は居酒屋でいっぱい,というどこにでもいるサラリーマンとして月日を送っていた。
ここから、藤岡藤巻結成など興味深い話が続き、初期のホームページの画像まで掲載されている。
ご自身「おじさんの愚痴みたいな歌」と言うそれらが,同世代の男女たちだけではなく若いOLた ちにも受け入れられた。元気を貰った,という声も多いという。
「何がいいか分かんないですけどね。そんなたいしたもんじゃないですね(笑)。でもね,この年にならないと気が付かなかったことってあるでしょ。体の衰えとか, 世の中の諦め方とかね。自分の可 能性だってだいたい見えてきた, そういう観点から歌を作れるようになったし,作ってきたなって感じはしますね」(藤岡氏)
若い歌手や,ある程度の年齢であっても芸能界でバリバリ活躍し続けている歌手が,例えばリストラされたお父さんの 歌を歌っても人の心に響くだろうか。しょせん絵空事と思うのではないだろうか。けれども『藤岡藤巻』は違う。
「僕,実際,職安 行きましたからね」 (藤岡氏)「シャレになって ないって(笑)」(藤巻氏)
「それから30年が過ぎて,僕らの世代はもう今の吉田拓郎さんや 泉谷しげるさんの歌には共感でき なくなっちゃった。そういう,僕らみたいなお父さんはもう彼らの歌では癒されないんだよね。だからって,僕らがそういう歌を作ろうと思ったわけじゃないんだけどね」(藤巻氏)
この月刊誌のインタビューは、人事雑誌だけに真面目にとりあげてるところがいいのです。だから藤岡藤巻というユニットの活動についての考え方がよく伝わってくる。
「これから団塊の世代が引退するでしょ。そしたら今までみたいにやらなきゃいけないことじゃな くて,自分のやりたいことができるようになるよね。そういうこと見つけてやっていけばいいと思うんです。僕らだって同じ。やりたいからやってる。だって20代の時もやりたくてやってたんだから さ」(藤巻氏)
この記事を読むと、藤岡藤巻の活動の芯というのは、今でもブレてないんだなと思いました。
現在,藤岡氏は音楽プロデューサーとして独立しているが,藤巻氏は大手広告代理店のサラリーマ ンのままだ。だからライブは平日の夜,会社がひけてからに限られる。舞台衣装は普通のワイシャツにネクタイ。要は会社帰りそのままの姿なのだ。また,会社の仕事をおろそかにはできないため,リハーサルの時間もなかなか取れないという。 会社員である藤巻氏には,時間 調整の他にも悩みが多い。
ライブの夜はギターを抱えて出勤することになるが,それを会社に持ち込むわけにはいかないため,駅のコインロッカーに預けたり,顔見知りの喫茶店に置かせてもらったりと苦労する。「やりたいからやってる」という言葉がよく分かる。
では休日は? とお訊ねすると,異口同音に「家事」というお答えが返ってきた。
「洗濯とかね。新婚のまだスイ ートな時代に,いいよいいよ俺がやるよって言っちゃったのが失敗 だったねえ」(藤岡氏)
「僕らの仲間の奥さんはたいてい燃えないゴミの日がいつか知らないですよ」(藤巻氏)
「僕らがある程度盛り上がってきたら,他の人も何だこんなんでいいのかって,どんどん出てきて くれれば嬉しいなと。そしてそういう人たちをプロデュースして世に出して,おやじエンターティナー専門のレコードレーベル作ったりしてね。だって死ぬまでできますからね」(藤岡氏)
「自分で楽しむのがいちばん。今までやったことない人でもいいんですよ。スタイルなんてどうで もいいんだから」(藤巻氏)
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