本物は通勤向けの高速バス

『【4/1】阪急電車「宝塚大阪ライナー」運行開始!』※最後の注意書きをお読みください。 4月1日の朝目新聞が伝えたところによると、阪急電鉄が通勤ライナー「宝塚大阪ライナー」の運行を決定した。 デビューは来年3月…リンクameblo.jp

 

 

 

「宝塚大阪ライナー」は阪急電車の通勤ライナーではなく、通勤ライナー代わりの高速バスだった。阪急系の「大阪空港交通」がリムジンバス以外で初のバス路線として今年1月に進出したが、早くも331日で運行休止となった幻の路線だ。

 

 

難波駅では阪神高速高架下、大阪梅田駅では新阪急ホテル1階(到着は御堂筋でJR西日本の高架下)に発着していた。

 

 

 

新阪急ホテル1階に1815分発宝塚行きを見に行ったが、リムジンバスの案内しかほとんどない。1番隅のヨドバシカメラ寄りにようやく案内を見つけた。

 

係員さんがいたので尋ねたところ、梅田はおそらく5分遅れという。普段から全く乗客はいないそうだ。この日も1名が難波から乗り通して行っただけだった。

 

宝塚周辺に住んでいないと乗りにくいのか、お名残乗車も殆どなかったようだ。係員の方が初便、最終人とも見送ると言っていたのが数少ない救いだ。

 

 

 

 何故この路線ができたのか

 

昨今の航空客減少を踏まえ、リムジンバスも減便。また混雑する鉄道を避けて定員制のバスを利用する客のニーズがあるかと思われ、今回のバス路線が開設されたがうまくいかなかった。

 

関西だけでも近隣の三田〜大阪線(神姫バス、阪神バス)、難波〜松井山手〜京都駅線(京阪バス)などの通勤向けの高速バスがあるのに何故当路線だけが失敗だったのだろう?

 

 

 

 なぜ失敗したか

1.料金

宝塚駅から梅田まで乗っても難波まで乗っても1000円。

 

一方、JR330円、阪急に至っては280円。阪急は8000系の4編成の宝塚方だけがクロスシートだが、宝塚も大阪梅田も始発駅。

JRは快速がすべて大阪始発(宝塚始発も一部にあり)で多くがクロスシート、特急も追加520円(チケットレス特急券・指定席)で乗れる。

 

2.所要時間

阪急の急行は遅いが朝ラッシュ時の大阪梅田行きで42分、日中の宝塚行きは33分。今津線経由の朝の準急は35分。JRはラッシュ時28分、日中25分、特急の最速は23分。

 

これに対し、高速バスは梅田まで片道40分(梅田発は45分)、難波へは1時間。梅田〜宝塚間では朝の宝塚線急行にしか勝ち目がない。

 

3.本数

朝は650分発、720分発。夜は難波18時・19時発(梅田は15分後)。12往復では行きはともかく、帰りは時間がわからない用事では利用しづらい。定期券などないので尚更だ。

 

これに対し、一番本数の少ないJR特急「こうのとり」ですらほぼ終日1時間に1往復走っている。さらに一部は西宮名塩との間でも利用できる。利用しやすさの違いは明白だ。

 

 

 結論

面白いアイデアではあったのだが、このような理由で失敗に終わってしまった。宝塚市・西宮市・神戸市北区在住者にwebアンケートを取ったが、生かされなかったのは残念だ。

 

せめて、宝塚側で住宅地を通るなり、高速を出入りする手間を考えれば、梅田からは下道経由で難波へ向かい、船場エリアのオフィスに寄ればよかったのだ。阪急宝塚線エリアから中央区ヘダイレクトに行ける交通機関はこれだけだったのだから、それを生かすべきだった。

 

なんなら、梅田での乗降はほとんどなかったのだから、本町あたりへ直行してから難波へ向かうのもアリだったかもしれない。

 

嘆いても仕方ないし、取り組み自信が良かったのだが、もっとバスの特性を活かして欲しかった。

 

 余談

なお、阪急系ならば千里地区の西側や彩都西駅と大阪梅田駅、難波を結ぶ高速バスを走らせてはどうかと思う。新御堂筋は混むが、実は高速道路を迂回したら所要時間は変わらない上に、そこまで渋滞に巻き込まれない。彩都エリアの人口増加、モノレールの運賃の高さと乗り換えの不便さを考えるとニーズはありそうなのだが。