「さらば愛しき女よ」 | 『Go ahead,Make my day ! 』

『Go ahead,Make my day ! 』

【オリジナルのハードボイルド小説(?)と創作に関する無駄口。ときどき音楽についても】


『Go ahead,Make my day ! 』-フィリップ・マーロウレイモンド・チャンドラーの7長編の中でも実は最高傑作の呼び声が高いこの作品が、何とNINTENDO-DS用のゲームになるのだそうで。
形式はいわゆるAVG(アドヴェンチャー・ゲーム)と呼ばれる形式で(今、このカテゴリ分けが有効なのか、いまいち分かりませんが)プレイヤーはマーロウ視点で事件現場や登場人物に接しながら謎を追っていくのだそうです。

……えー、何故に今、この作品なのかというのはハードボイルダーとしてはかなり疑問でして。というのも、村上春樹訳による「ロング・グッドバイ」からそれなりに時間が経過し、一時期のハヤカワのハードボイルド復刻活動も何となく空振りに終わった今、時代の要請としてのチャンドラーではないのではないかと思うからなのですね。

もちろん、いかなる形であれチャンドラー作品に光が当たることは1人のファンとして喜ばしく、たとえそれがゲームという表現形式ゆえに原作からの多少の乖離を含んでいたとしても、ゲームとしての面白さを追求した上でのものなら許されるのではないかと思います。

ただ、この国におけるハードボイルドの扱いの悪さを鑑みたとき――そうでないことを切に祈りますが――製作者サイドが「あー、そろそろ原作モノがネタ切れだよな……って、まだこんなのあったんだ?」という安易な気持ちで手を出したのではないか、という歪んだ被害妄想を捨てきれないのですよね……。

まあ、そんなことを言いつつ、発売公式サイトによれば5/28)されれば間違いなく買うのですが、せめて、最後までやり遂げられるレベルのものであることを願っております。

上↑の画像は公式サイトよりお借りしました。
小説の映像化はどんな形式でも賛否両論あるものですが、これはまあ、世間様のハードボイルドに対するイメージの最大公約数というか、大きな反論を招かないところに落ち着いてるような気がします。
ちなみにマーロウの声をあてるのはこの方だそうです。

わたしはこの人の声は好きなので意外といけるような気がしますけど、チャンドラリアンの方々には好意的に捉えられないでしょうね……。まぁ、それ以前にゲーム化自体が受け入れられないと思いますが。
 
『Go ahead,Make my day ! 』-ハンフリー・ボガードわたしにとってフィリップ・マーロウといえば、映画「さらば愛しき女よ(原題:Ferewell,My Lovely)」のロバート・ミッチャムか、「ロング・グッドバイ(原題:The Long Goodbye)」のエリオット・グールドなんですが、本作のイラスト版マーロウはどっちかと言えばボギー(右画像→)寄りなんですかねぇ。
いや、そんなに似てないか……。
個人的には誰が演じる(あるいはどんな絵柄にする)にせよ、マーロウにサスペンダーはなかろうと思います。ハイ。

『Go ahead,Make my day ! 』-ロバート・ミッチャム『Go ahead,Make my day ! 』-エリオット・グールド
そうそう、エリオット・グールド(右)の写真を見て連想される方も多いと思いますが、彼が演じたマーロウは松田優作演じる「探偵物語」の主人公、工藤俊作のモデルなのだそうです。ちなみにグールド氏は近作だと「オーシャンズ11」シリーズにルーベン(オーシャンズのスポンサー役のホテル経営者。「13」の物語のきっかけになった人)役で出ておられますね。
以上、例によって微妙なトリビアでした。(笑)