という記事が真名さん書庫のおまけブログ（？）でアップされていて、「水上奇譚」の主人公・大賀氏のクルマ選びの方向性の一端が垣間見れて笑ってしまったのですが。
登場人物がどんなクルマに乗っているか。
これは詳細に描写する作家とそうでない作家がいて、読み手としては書いてあれば「ははぁ、なるほど」と思いますし、書いてなければないでそういう作風なのかなと思うだけですが、真名さんがおっしゃるように、
どうしてそのクルマなのか？
というのは、どんな服を着ているかとか、どんなお酒を飲んでいるかとか以上にその人を表すファクターのような気がします。クルマ選びってそれくらいにその人の背景を反映するものですし、「選んだわけじゃなくて仕事の都合」だとか「貰ったクルマを何となく惰性で」とかいう世間ではよくある理由ですら、登場人物の設定情報の一部なのですよね～。
ちなみにウチの創作物は異常に登場人物が多いもので、クルマに乗るシーンが出てくる度に「こいつ、何に乗せようかな……」と非常に迷うのです。
世間には知り合いでも同じクルマに乗ってる人は意外と多いので、かぶっても別におかしくはないのですけど、そこはそれ、やっぱり同じクルマは理由もなく出したくないですし。
ちなみに「Left Alone」の主要登場人物のクルマはというと、
榊原真奈 ユーノス・ロードスター／NA8C（97年型）／ブリティッシュ・グリーン
徳永由真 ＢＭＷ・328iツーリング／GF-AM28（00年型）／オリエント・ブルー
村上恭吾 ニッサン・フェアレディＺ／Z33（05年型）／ホワイトパール
藤田知哉 スバル・インプレッサWRX STi／GD・GG型（04年型）／ブルー・マイカ ※1
千原留美 トヨタ・ハイラックス・サーフ／N130系（91年型）／シルバーメタリック
武松 俊 ジープ・ラングラー／LK（90年式）／ガンメタリック
上社龍二 メルデセス・ベンツCLK55／AMG仕様（04年型）／ブリリアントシルバー
権藤康臣 ニッサン・スカイライン／R33（98年型）／ソニックシルバー ※2
桑原孝市 トヨタ・キャバリエ／2.4Z（98年型）／レッドマイカ
立花正志 トヨタ・エスティマ／3.0アエラス（03年型）／ライトブルーマイカ ※3
新庄圭祐 トヨタ・セルシオ／30系（02年型）／ブラック
馬渡敬三 トヨタ・プロボックス・ワゴン／CBA-NCP58G（07年式）／シャンパンメタリック ※5
※1 劇中未登場。「Dreaming Girl」に登場
※2 但し、盗難車。個人所有はニッサン・セドリック
※3 会社所有。個人所有はトヨタ・ウィンダム
※4 03年事故当時。現在はレクサスLS600
※5 劇中未登場。私物のクルマかどうかも不明
悪人が揃ってトヨタ車に乗ってるのは何故？（← いや、桑原は悪人ちゃうやろ。笑）
「砕ける月」のときは異常に外車率が高かった（梅野はシヴォレー・カマロ、真奈の師匠はポルシェ911カレラRS、村上の元愛車はランチア・デルタHF、真奈の祖父母はメルセデスとアウディ、徳永麻子はVWゴルフGTI、徳永祐輔はBMW（現・由真の愛車）。国産は高橋のCR-Xと久住のハチロク、埠頭のシーンで出てくるキャラバンとサファリ、あとは警察車両くらい……）のですが、こうやって見ると最近は国産率が上がってきてますね。理由は「そんなに誰も彼も外車に乗ってるわけないだろ」という心の中のツッコミです。（笑）
全員のクルマ選びの理由を挙げると長くなるので真奈だけにしますが、彼女をユーノスに乗せたのはハッキリ言って
100パーセントわたしの趣味
です。大賀氏のレガシィB4と同じですね。
とはいえ、他の候補がなかったわけでもなく。
関東からこっちに来ている友人によると、九州の女性はどうやらごく普通に大型のSUV、例えばパジェロなどに乗っている（逆を言うと他所の土地――ここでは関東――では女性はあまりそういうクルマには乗ってない）のだそうで、だったら真奈のクルマを大型SUVにしても面白いかなと思ったのです。
どちらにするか迷った結果、バイク乗りであった真奈ならオープン・2シーターのほうがイメージに合うかなというのと、語感がイメージにぴったりくるSUVがないという理由でロードスターに決まりました。で、その代わりに留美をハイラックスに乗せてるわけです。
クルマ選びも結局は他のアイテムと同じようにそのクルマのイメージを登場人物のイメージにうまく重ねられるかとどうかという話になるわけですが、外し技を含めて書き手の頭の使いどころかなと思うところでもありますね～。
（ちなみに大賀氏のアリスト説はかなり納得ですね。その理由も含めて……笑）