打ち切り後も「心配無用」


<オダギリジョー(俳優)>

 主演のホームドラマ「家族のうた」(フジテレビ)が打ち切り決定。視聴率3.1%(5月6日、ビデオリサーチ調べ、関東地区)という目も当てられない低視聴率をたたき出したというから、何ともカッコ悪い。

 この人は韓国でも根強い人気がある。主演作品「ゆれる」(06年)も公開わずか2週目で3万人を動員する異例の大ヒット。真木よう子との濃厚なラブシーンで、「舌出せ」とつぶやく熱っぽいキスが韓国の女性たちの間で話題となった。

 2月にはベルリン国際映画祭に、出演した韓国映画の大作「マイウェイ 12000キロの真実」(カン・ジェギュ監督)が出品されたばかり。今や世界が注目する俳優のひとりが、なぜテレビドラマで大惨敗したのか。

 岡山県津山市生まれ。坂本龍馬に憧れ、龍馬の故郷にある高知大学理学部を受験し合格。だが、レールを敷かれた人生がイヤになってしまい、米国留学を決断。96年、カリフォルニア州立大学フレズノ校演劇学科に入学。映画監督になるつもりだったが、勘違いしてシアターアーツコースに入り、2年で休学して帰国した。00年、「仮面ライダークウガ」のオーディションに合格後、OLや主婦に絶大な人気を得たが、実は徹底的に自分の流儀にこだわる硬派。自分流スタイルは、留学がきっかけだった。

 オダギリはクラスでたったひとりの留学生で、友人もできなかった。そこで、映画を月に100本見まくり、大学の劇団の裏方を経験。帰国後、バイトをしながら俳優養成所に通った。創作家と自称して作詞・作曲・編曲・プロデュースのCDをリリース、トークライブで全国を巡業、針金でアクセサリーを作る。自作アートやエッセー満載の本「オダギリズム」を出版した。

 こだわりは、海外作品にも。「マイウェイ」の韓国プロジェクトを一時は断ろうとした。専門誌でのインタビューでは「商業的な映画の参加を避けていたし、メジャーなものに対する嫌悪感みたいなものは昔から変わらなくある」と語ったこともある。だが、監督の熱意や誠意、さらに人柄に打たれて受けた。

 二枚目なのにアッケラカンとしたボケで、テレビドラマでも数々のヒットを飛ばした。麻生久美子と共演の「時効警察」(06年テレビ朝日)は深夜にもかかわらず、平均10.1%の好視聴率をマーク。深夜ドラマ初のATP賞テレビグランプリ2006ドラマ部門最優秀賞を受賞。「帰ってきた時効警察」(07年)も、平均視聴率12.0%を記録、最終回は13.5%の最高視聴率。コミカルながら、不思議な浮遊感を醸し出していた。

 ではなぜ「家族のうた」はコケたのか。フジテレビの豊田社長自らが「主人公のキャラクター設定がまずかった」と言っているが、別の関係者からは「フジサンケイグループ内のお家の事情が絡んでいた」などの声も上がっている。

 オダギリの才能はまだまだ。これからも予想外の活躍を期待する。

(日刊ゲンダイ2012年5月31日掲載)