奈津美と翔太は奈津美の叔母小百合夫婦に連れられて海に到着した。
小百合の夫武志は、沖の方へと潜りに行ってしまった。
淡いピンクと白のストライプのチューリップハットを被った小百合は海には入らず、ビーチパラソルの陰でうちわ片手に奈津美と翔太の様子を見守っていた。
浮き輪を持った奈津美と翔太は海へと入って行った。
「ねぇ奈っちゃん気持ちえ~ぇねぇ…」
「ほんとに気持ちえ~わぁ~」
そんな事言いながら、浮き輪を使って海にプカプカと浮かんでいた。
「ねぇ奈っちゃん、おばちゃんは泳がないの?」
「う~ん、わかんないわね…おばちゃんに聞いてみようかぁ」
「うん」
「もう上がって来たの?あめ玉あげるから、二人ともあ~んして…」
「あめ玉がおいしい」
「あっほんとだ…」
「ねぇおばちゃん、どうして海であめ玉をなめるの?」
「そうね…おばちゃんもよくは知らないけど、海で泳いだりとか、プールで泳いだりすると、体が疲れて来るらしいのね…それでね、あなた達はまだ小さいからあまりわからないと思うけど、疲れたって思う時って甘いもの欲しく事があると思うの、そんな時にあめ玉舐めたりするのがいいらしいの」
「へぇ~そうなんだぁ…」
「ねぇおばちゃん、なんで泳がないの?おっちゃんと泳ぎに来たんじゃないの?」
「最初はそのつもりだったんだけど、せっかく海に行くんなら、奈津美達を誘ったらどぉってねぇ…」
「武志のおっちゃんって優しいんだね…」
「そうよ、とっても優しい人よ武志さんは…翔太くんも女の子には優しくしないとモテないわよ」
「へぇ~そうなんだ…奈っちゃん、ボクってやさしいよね?」
「さあ、どうだか…」「いつも奈っちゃんにはやさしくしてるよ、ほんとに…」
「よく言うわ、いつも甘えん坊の翔太くん…」
「もぉ~…」
「うふふ…あなた達まるで姉弟みたいね…」
「翔ちゃんがいつも甘えて来て、知らない振りすんのもかわいそうだから、相手をしてあげてるだけよ」
「ふん、甘えてばかりじゃありませんよ~だ」
「まあ、二人ともムキになって…ほんとにかわいいね、うふふ…」
「もう、おばちゃんったら……ねぇおばちゃん、なんで泳がないの?」
「ねぇおばちゃん、一緒に泳ごうよ…海すごく気持ちええよ」
「そうね、あんた達の言う通りね…」
「そうだよおばちゃん…」
「うんうん…」
「じゃあ、おばさん、日焼け止めを塗るから、ちょっと待ってくれる?背中は手が届かないんで奈津美ちゃん塗ってくれる?…日焼け止めが塗り終わるまで翔太くん、おばさんの見える所で遊んでくれないかな?」
「うんいいよ、あっち行っておばちゃんの見えるとこで遊んでるから…」
「悪いわね…」
「おばちゃん待ってるからね…」
その後、小百合、奈津美、翔太の3人は浅瀬ではしゃいでいた。
沖で潜りをしていた小百合の夫武志は、4人でお昼を取り、波打ち際で砂遊びなどをして、楽しい海での時間を過ごした。
シャワー浴びて着替えを済ませた4人は、農繁期で多忙な奈津美の母の事を思いやり、海の近くにある民宿にすでに予約済みの民宿へ向かった。
民宿へ着き、武志は先に入浴した。
待ってる間、奈津美と翔太は余程疲れたのか、居眠りを始めていた。
入浴を終えた武志が浴衣姿で部屋に戻り、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、旨そうに飲んでいた。
「小百合、お先に、ビールがうまい……なんだこいつら寝ちまったのか?」
「よほど疲れたのね…」
「小百合、こいつら起こして風呂行って来いや」
「そうするわ……あんた達、お風呂に入るわよ、だから起きなさい」
「うぅ…おっちゃんお風呂上がったの?」
「上がったよ、今うまそうにビール飲んでるわ」
「あっほんとだ…ねぇねぇ翔ちゃん、お風呂入るよ」
「うぅん…」
「しょうがない子ね…あなたお願い、翔ちゃん抱っこしてお風呂まで連れて来てもらえないかな?」
「まったく世話のやけるガキだな…俺んとこも子供が出来たら大変だなぁ、小百合…」
「ほんとね、あなた…」
小百合、奈津美、そして、翔太が入浴を済ませて部屋に戻ると夕飯の用意が出来ていた。小百合の夫武志と共に当時としてはちょっと贅沢な夕飯を済ませた後、民宿近くの浜辺で花火をし、これまた楽しい時を過ごした。
翌朝、4人は朝食を済ませ、海で泳ぐ事なく奈津美の家へと向かっていた。