ユービック/フィリップ・K・ディック | 夙の三郎 オフィシャルブログ powered by 俺様

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風を知れ!
そして地の薫りを嗅ぐのだ!
さすれば血は炎のたぎりを失う事なく運命の鐘を鳴らすだろう…

もはや枷は外れた



同じアメリカ人ながら, 似たような経歴で違う過程を経て, 最終的には同様に高い評価を得たスティーブン・キングとフィリップ・K・ディック… ディックさんは本当の評価と栄誉を手にする前にアンドロメダの彼方へ旅立ちやしたがっ
ε- (´ー`*)
俺はキングの自分を慰めるような作品より妄想世界の創造に血道を上げ続けたディックの方が好きだわ
てかキングは隙が無さ過ぎ!
ディックみたいに尻の穴を晒すかの作品を発表する(本人はどうだったか知らんが☆)魂の在り方に心惹かれるね






スプレーを吹き掛けた後の人間, 物, 世界… ディック得意の時空や立場の逆転や混濁が招く不確かな未来, 或いは過去
その全てが実体を持ちながら, しかし何の実感も持ち得ないという摩訶不思議な現実… 幻想?


   Ubik

   1969年


ジョー・チップは同僚のアシュウッドが連れてきた少女パットの反能力(全ての超能力を無効にする能力)に驚嘆しながら自分の立場を明確化させる事を模索する
"半死(肉体は冷凍保存され意識とだけ接触できる状態)" の妻エラを持つ『社長グレン・ランシターに紹介すれば俺の落ち目な人生にも…』
どんな予知能力者(プリコグ)だろうと何だろうと敵うまい! しかしパットには未だ隠された能力があったが, ソレが何かが掴めない
そんな時, ライヴァル会社を一網打尽に出来る仕事が舞い込み, 依頼人秘書とランシター社長, ジョー, パットら14人を乗せた《尻もち2号》で月へと目指すが其処で…












捻転するストーリーを除けば比較的に読み易い本だと思う(ストーリーが捻転しとるのに… か?)
ただ, いきなり本書を手にすると能力者の在り方に『』かもね☆ 映画【マイノリティ・リポート】や【トータル・リコール】とかを先に観とれば入り易いかな… まぁ捻転ったって核を捉えとりゃ, 寧ろストーリーが二転三転で面白い!!! になるからな
二流な俳優や二流な漫才師が片手間で書いたような作文とは宇宙が違うわいっな話でね☆
まぁ, ここまでストーリーを捏ねくり廻せるのは単純に凄いというか, 阿保というか, 馬鹿というか, アレだ!
( ̄▽ ̄ *)
こういう展開の仕方はハリウッド映画へモロに引き継がれた感はあるが, ジェットコースターってより勘だけで目的地へ往こうとしてる, ブレーキが甘くて何のエンジンを搭載しとるのか判らんフェラーリかも知れない車… 今日の例えは いつもに増して訳ワカメ☆








ただね…
ディックの作品はSFの形式を借りた現実世界の人間の苦悩を扱っているのが殆どだ
この作品もだが, 登場人物は普通の会社員だったり その上司だったりと, 能力がパソコン操作や機械工作といった代物じゃないから大概の人は引っ掛かるんだが, 其処が面白さの極点な気がするな
(-。-)y-~
その群像劇を纏め切れば読者は
面白い!
しくじれば
なんじゃい!


ディックは少しも奇を衒っていない(と思う…)んだが扱う素材がブッ飛んどるから世間が誤解しちゃうんだわ












何が本物で, 何が偽物か

俺やアナタが本当に存在していると証明する事は, 実は誰にも出来ない事実の一つ
この非実存性の連続な日常の中で, 何を以て実存を説くというのか? 俺やアナタの肉体や魂は自覚でしか認識していない無限のパラドックスから飛び出す事は出来ない
"ある事象" を除いては…





チップはパットに疑惑の目を向けるが一つも尻尾を掴めないまま事件が起きてしまう
なんとか仲間全員を宥めすかして地球へと戻ったが『何か変だ』と理解しつつ, 『何が変なのか』解読できないまま過ごすが, ある懐かしい品物を目にする事で糸口を…

肉体を失った妻エラの混濁した魂と会見するごとにランシターは悦びと違和感を味わい続ける
しかしエラの魂が《隣の悪戯者》の事で相談した話が意外な方向へストーリーや世界観を根こそぎ放り投げ急加速する…







やはりディックは容赦ない☆
( ̄▽ ̄ *)
勘が鋭ければ小説半ば辺りで大概の察しは付くんだが, ソレにも増してストーリーが転げ捲るから 厭きるどころか
どないするねん ?
最後まで一気に読ませる事 間違いなし!

登場人物達は自己の存在を懸けて不可思議な世界の解明に向けて行動するが, ソレは同時に破滅の強い匂いが漂う ある意味, 最も知りたくない可能性の一つでもある事象への…










歯を喰いしばりホテルの階段を昇るチップはディックそのもの

今にも停止しそうな自らの鼓動を聞きながら, それでも諦めず昇りきり部屋へと逃げ込むが運命は更なる過酷な現実を突き付ける
しかしチップは逆転可能なアイテムを手にしてた為, やり方一つでは…









人間の魂は不滅なのか?