CURSE OF CINEMA

CURSE OF CINEMA

メジャー、インディー、洋画、邦画を問わず映画や、アメコミのレビュー、自作のイラストを掲載していくブログです!映画はホラー映画メインになりそうですが(笑)とにかく個人的に好きな作品などを褒めちぎる愛のある映画レビューを書いていきます!

Amebaでブログを始めよう!

流石、ヨシキ高橋大先生、分かってらっしゃる!

本当に自分でも情けないぐらい間の空いた久々の投稿…。

何本もレビューを途中で書き止めたままの作品がたくさんある。
『ヘイトフル・エイト』、『スーパーマンvsバットマン』、『シビル・ウォー』…。どれもこれも書きたい事が多すぎて長くなり終わらなくなって次の作品へと移ってしまった…。
で、久々にレビュー。
これも観たのは結構前なんだけど。
そして例によって長い!(笑)毎回自分で書いて今までで1番長くなったかも、と思うんだが、今回も…。

アメコミ映画では、タイミングを合わせたかのように『スーパーマンVSバットマン』、アイアンマンとキャンプ・アメリカが喧嘩(?)する『シヴィル・ウォー』と2本のVS物が公開された。

それを受けてかどーか知らないが、邦画でもVS物が公開された。
『貞子VS伽倻子』、そう日本が世界に誇るホラー映画、『リング』シリーズと『呪怨』シリーズそれぞれに登場する化け物の夢の対決。

先に挙げたアメコミのVS物のせいでそのパクリ企画だと思われそうだけど、そもそもこう言った制作会社や作品の枠を超えて合体する映画は昔から日本映画のお得意なわけで。

まぁ、今回の『貞子VS伽倻子』を監督した白石晃士監督が【『アベンジャーズ』目指した】って言っちゃってるけど(笑)

でも、そもそも『アベンジャーズ』みたいな企画だって、俺が子供の頃には『ウルトラマン』の映画でウルトラ兄弟が勢ぞろいしたり、『仮面ライダー』だって歴代のライダーが登場したりしてたし、それどころかウルトラマンと仮面ライダーが共演した『ウルトラマンVS仮面ライダー』って最終的にサイズ感の問題を力技で押し切る作品もあった。(どっちがどっちに合わせたかは映画的に考えれば分かるだろう)


こういう事だ。

『戦隊ヒーロー』だって、各チームのレッドばかりが集まる作品もあったし。
それに『アベンジャーズ』は面白いけど、やっぱり『忍者ハットリくん+パーマン 超能力ウォーズ』を映画館で観た時の感激には敵わない。(未だDVDにもならず幻になりつつあるのが残念でならない…。)


本当に興奮したなぁ、これは。

大体、普段単体で活躍してるAV女優が、ファン感謝デーと称して一堂に会する夢見たいなAVこそアベンジャーズだ。

更にVS物で言えばゴジラは毎回タイトルに『ゴジラVS』と入るし、『サンダ対ガイラ』と言う、一応フランケンシュタインの化け物の設定なのに何故か体長が25メートルもある巨大な化け物の兄弟が喧嘩する特撮もあった。


間違いなく高橋ヨシキ先生のイメージはこっからだと思う。

そしてホラー映画のVS物が生まれる、2大ホラーアイコン夢の共演、『フレディVSジェイソン』だ。
1シリーズでの殺害者数トップを誇るジェイソン、かたや映画史に残る悪役ランキング堂々7位のフレディ(実はレザーフェイスはそれより上の5位)、この2人が片手間に人間を殺しながら激突する愉快な映画だった。
更に、その煽りを受けてこれまた2大SFモンスターが激突した『エイリアンVSプレデター』も生まれた。


続編やらねーなぁ。

それから10年以上経って、ようやく日本が世界に誇るホラーアイドル(?)、貞子と伽倻子がキャットファイトを繰り広げる事になった。

ここから本題に入ります(笑)
多少色々な映画のネタバレを含みますのでご注意を。

まずは、それぞれのルーツのおさらいを。
貞子は、鈴木光司のホラー小説『リング』で生まれたキャラクター。強力な超能力を持つ女性(染色体異常で男性性も持つ、映画では省かれたが、ドラマではちゃんと生えてた)。
愛憎の末に古井戸に突き落とされ、這い上がることも出来ず、不遇な人生を呪いつつ絶命。後に井戸の上に建てられた別荘のビデオデッキを使って呪いのビデオを生み出すと言うウルトラCを行う。
そのビデオを見た者は7日後に自分の死ぬ姿を見て心臓発作で死ぬ。(テレビから貞子本人が出てきて睨むのは映画のオリジナル)その後の珍作『貞子3D』にてデカイクモの化け物みたいになってお化けじゃなくなった。
タイプとしてはデリバリー型。

一方の伽倻子は、劇場公開でなく、インディーの低予算ビデオスルーで制作された『呪怨』で登場。最も怖いホラー映画として口コミで広まった。そして、当時大学生の俺は、本編以上の恐怖を夜中1人でビデオを観ていて味わった…。それはまた別の話。

伽倻子は、全く自分に似ていない子供、俊雄君を産んだことで浮気を疑い逆上した旦那に、俊雄君諸共殺され、押入れの天井裏に遺棄された為、毎度天井裏から降りてくる。
貞子と違い生前から特殊な能力を持っていたわけではないが、元来の超絶ストーカー気質で、死んでからは伽倻子の家に上がり込んだ者を死ぬまで追い詰める。
タイプとしては店舗型だけど、一度家に上がり込んだ者はベッドの中まで追いかけると言う熱心なデリバリー営業もする。営業スタイルとしては格段に上だ!

貞子登場の『リング』映画版は、これまた『呪怨』以前に最も怖いホラー映画としてその名を轟かせていた『女優霊』(今でも怖い!)で一躍ホラーファン注目の的となった中田秀夫監督。(『劇場霊』と言う最新作が本当に中田秀夫が撮ったのかと疑うほどに酷くて、何だか悲しい気持ちになった…。観ていてイラついた映画は久しぶりだ。)


当然この映画にもファンはいるのだろうけど、自分には耐えられなかった…。

一方の『呪怨』の監督は、正しく『呪怨』でのし上がった清水崇監督。『呪怨』のハリウッド版まで監督してるんだから凄い。自分と名字が同じなだけでなく、最新作が『雨女』と言うホラー映画。何を隠そう俺が卒業制作で作った自主映画のタイトルが『雨女』!でも内容は『リング』のパクリ!!(笑)

両監督のジメジメとした雰囲気で怖がらせるスタイルは、それまでデカイ音でビックリさせる事、イコール怖がらせる、と勘違いしてた欧米人を恐怖のどん底に叩き落し、ジャパニーズホラーと言う一大ブームを巻き起こした。

そして、今回の『貞子VS伽倻子』の監督は、フェイクドキュメンタリーのスタイルでそれまでのホラー映画とは別の恐怖を生み出した傑作『ノロイ』の白石晃士監督!(白石作品の特徴は、一見リアルに見せる為に用いられているフェイクドキュメンタリーの手法を劇中で無かった事にするトンデモ展開と、お化けより頭がおかしくなってしまった人間の方が数倍怖いところだ。)



特にこの2人の本物臭は凄かった(笑)

中田、清水両監督の生み出したジャパニーズホラーのヒロイン2人をガチンコで戦わせる映画の監督としてこれ以上に相応しい人は居ないだろう。

少し外れるけど、この3人の監督は確かにその才能で日本のホラー映画を一大ブームにのし上げたけど、1番の立役者は1人のプロデューサー。
一瀬隆重、その人だ。
はっきり言って現在も続くジャパニーズホラー史はこの人が生み出したと言っても過言じゃない。
『リング』、『らせん』、『リング2』、ビデオ版から海外版を含む劇場版『呪怨』全シリーズ、『ノロイ』、『カルト』、古くは『孔雀王』に、『帝都物語』、などなど生み出したタイトルは数え切れない。
つまり、中田秀夫、清水崇、白石晃士の3人の才能を見出したのがこの人だ。(その本人は二回も会社を潰しているが)
この人こそが日本のホラー映画を1人で支えて来た物凄いプロデューサーだと知ってもらいたい。
まぁ、今回の『貞子VS伽倻子』には関わってないけど(笑)

さて、順調に脱線もしたし、そろそろ肝心の『貞子VS伽倻子』に話を戻そう。




※ここから公開中の本作の壮絶なネタバレを含みますので、これから観ようと思っている方は絶対に読まないで下さい。




まず、本作が良かったのはその構成だ。
『リング』と『呪怨』の世界観を無理なく繋げるために、それぞれ別のストーリーが交互に展開する。
まずは山本美月演じる主人公の女子大生が、呪いのビデオを観てしまった友人の呪いを解こうと奔走する『貞子』パートからスタート。
『リング』での呪いのビデオは観てから一週間後に死ぬけれど、今回は『呪怨』と言う即効性のある呪いに合わせて2日に短縮(笑)そりゃあそうだ、貞子登場に7日も掛けてたら、出てきた時には伽倻子が全員殺してる。

一方の『呪怨』パートは、もう1人の主人公の女子高生玉城ティナが家族で引っ越して来た所から始まる。引っ越した家の隣が一家心中があった呪われた家で、その家に入ると死んでしまうと言う噂を耳にする。にも関わらず当然入る。

これらそれぞれのパートの描き方がうまかった。【貞子】パートでは呪いのビデオを観た事から、その呪いを解こうと方法を探るサスペンス的要素と、幽霊の様に突如現れる貞子のゾクゾクとした恐怖を、【伽倻子】パートではジワジワと登場を匂わせバーンと出てくると圧倒的な暴力で登場人物を縊り殺し、嵐のごとく去っていく伽倻子のドキドキする恐怖が味わえて、それぞれのオリジナルの雰囲気を大切にした構成は二本観た様で得した気分を味わえる。

とわ言え、オリジナルからの改変も多少はある。
先にも述べた様に呪いのビデオの呪いの発動までが2日に短縮されたり、貞子が井戸じゃなく廃墟から出てきたり、伽倻子の家の間取りが変わってたり。
けれど、時代に合わせて呪いの動画、呪いのユーチューブみたいにしなくて良かった!やっぱり貞子はビデオテープじゃないと!!(まぁ、そこは本筋に絡むんだけど。)

キャストもそれぞれ良かった。
メインの主人公山本美月は、大した絶叫もせずに鼻声で呪われた友人を助ける為に奔走するいい人役。もう1人の主人公玉城ティナも顔の半分くらいを占める大きな目を見開く恐怖顔に、『これはこれでホラーだな』と思わせてくれたし、熱烈な貞子ファンで都市伝説マニアの大学教授を演じてた甲本雅裕と、玉城ティナの母親の田中美里の無駄遣いっぷりも良かった。





でもやっぱり何と言っても、最初に呪いのビデオを見てしまい呪われる友人役の佐津川愛美の熱演!!緊縛、水責め、折檻!笑えるシーンだった。



そして、心の何処かで『何でこんな恥ずかしい事をやらされてるだ』と思いながらも何をやってもカッコイイ安藤政信のツンデレ霊能力者がまぁ、カッコイイ。
(作品のテイストがガラリと変わる)


この2人が出たら急にマンガチックになった(笑)

人に対しても霊に対しても不遜でぶっきら棒なキャラは白石監督のお気に入りなのだろうか。(『怖すぎ』シリーズに出てくる工藤以上のキャラは今回出なかったなぁ。きっと上から止められたんだろうなぁ。何たって工藤は、取り憑かれた人を除霊する時も殴る、霊も殴る、妖怪にはバット持って襲いかかる、ぐらい無茶苦茶頼れる兄貴だからなぁ。貞子と伽倻子くらいは何とかしてしまいそうだ)


個人的に邦画ホラー界最強の男、工藤兄さん。

安藤の相棒は盲目だけど見える子玉緒ちゃんだ。

白石監督作品には、よく2人の霊能力者が出てくる。使えない霊能力者と使える霊能力者だ。
そして、どの作品でも、使えない霊能力者のエキセントリックな感じが、何故か本物臭を漂わせる(笑)
勿論今回も安藤政信の前に使えない方の霊能力者が出てくる。
なかなか面白いキャラのおばさんだったけどこれまでの白石監督作品の霊能力者にしては大人し目の印象だった。(やっぱりそこは劇場作品なので色々制約もあったのだろう。)


マイベスト白石作品の使えない霊能者、雲水。


マイベスト白石作品の使える霊能者、ネオ。

肝心の貞子、伽倻子はまぁよく顔は見えないし、貞子は立ってるだけだし、伽倻子は呻いて這ってくるだけだから、今まで通りと言えば今まで通り。でもクライマックスでは目を見張る動きを見せてくれる(笑)
化け物軍団で良かったのは俊雄くんだ。
白塗り白ブリーフ、一見すると『マッドマックス』のウォーボーイズのコスプレかと思わせるルックスはこれまで通りだけど、多分今までの俊雄くんより少し大きい、年齢が上がってる気もする。
その俊雄が、家に入ってきた人間に飛び掛って襲いまくる。忍者の様な(猫だけど)身のこなしに痺れた!


こっちはウォーボーイズ。


こっちは俊雄ボーイズ。

頂けなかった点もある。
まず、オープニングタイトル。
映画が始まるワクワクを台無しにする出来だった…。ああいう所にもキチンとお金を掛けてくれ…。ビデオスルーじゃなく劇場作品なんだから。

そして逆に劇場作品だから、と日和ったのが襲われた人達の死に様だ。あまり怖くない…。伽倻子パートなんか、本来の『呪怨』はアゴを千切られたり、血みどろになるはずだけど、誰よりも血を流してたのは襲う側の伽倻子だった…。迫力が足りん…。
貞子パートでも、甲本雅裕が頭突きで顔が割れると言う壮絶な死に様だったのに、それを一瞬しか写してない。
まぁ、接写に耐えられるダミーヘッドを作れなかったのかも知れないけど。(そんなのは白石作品では慣れっこだ!)
今や伝説の『映画の中で実は1番怖かったシーン』の竹内結子の『リング』での死に顔を見習え!!


まぁ、怖かったこと。

何れにせよ、予算の掛け方と日和ったシーンにはガッカリさせられた。
とは言えいつもの白石監督作品に比べたら驚く程の予算だったに違いない。一般の映画としては安く、白石監督作品としては潤沢な資金だった本作は、これまでお金がないなりに知恵とアイディアで面白い作品を作ってきた白石監督の良いところを生かし切れなかったと思う。

更に、結果そこそこのヒットしてるからこれはホラーマニアの戯言になるけど、PRの仕方どうにかならんかったか?
始球式出たりとか…。
ホラー映画の宣伝なのにバカバカしくし過ぎだろう。世界観と言う物があるだろうに。
でもまぁ、貞子も伽倻子も旬な人でなくなっていたし、『あー、こんな事やる映画なら怖くないかな』と思って見に来たら思いの外怖い!を味わえた人が居たならまぁ、間違ってないのかもなぁ…。
でもやっぱり俺は好かん。

最後に、オチについて触れちまおう!ええい書いてやる。
観に行くまで、賛否両論のレビューを幾つか見た。『あんな意外なオチ最高!』から『あのクソオチでさめた』まで。
で、自分の感想はと言うと、賛否で言えば賛だけど、意外でも何でもなかった。
ホラー映画がハッピーエンドで終わってどーする、と思ってる自分には当然の結末だったし、いやらしく考えれば貞子と伽倻子が激突する初の作品で、ヒットするかどうかも分からないうちから、みすみすそのフランチャイズを打ち切るエンディングもあり得ない。
せいぜい今回は助かったけど、呪いはまだ続いてたくらいにはなるはず。
そこで監督が白石監督なんだよな、と考えれば意外どころか超必然なエンディングだ。

ネタバレするけど、貞子に呪われた山本美月、伽倻子に呪われた玉城ティナ、それぞれを救うべく霊能力者安藤政信が取った方法は、2人の呪いをぶつけ合う、と言う方法。
貞子にだけ呪われていた山本美月は伽倻子の家に入って伽倻子にも呪われ、伽倻子にだけ呪われていた玉城ティナは伽倻子の家の中で呪いのビデオを見て貞子にも呪われる。
するとお互いの獲物を取り合う為に、貞子と伽倻子が対決する、と言う算段だ。
そう、ここに来るまで2人は出会いもしない!!だからVSと言いつつ本当にキャットファイト見せてくれるのは映画の終盤だ。


2人の初対面には何故かドキドキさせられた。

けど、意外としっかりバトルをしてくれる(笑)貞子の髪がウニョウニョと動き俊雄くんをテレビの中に引きずり込んだり、その髪の毛が伽倻子の体に入り込み内側から爆発したり。貞子強え!!
しかし、伽倻子も負けずに復活しては貞子を引っ掴み離さなかったりと激しいんだかゆるいんだか分からない戦いを繰り広げた。

呪いがぶつかり合って相殺するか、少なくともどっちかは消えると踏んでいた安藤の思惑は見事外れ、貞子と伽倻子の力は互角、正に一進一退の攻防!!
このままじゃラチがあかないと、安藤は最後の手段に出る。
山本、玉城のどちらかが生贄になって、貞子と伽倻子を井戸に誘い込み、一緒に井戸に落ちてそのまま封印すると言い出だす。
ってお前も使えない方の霊能力者だったのかよ!カッコつけてたくせに!!

そして、お姉さんキャラの山本が、私が生贄になるわ、と井戸に向かうと、両脇から貞子と伽倻子が登場。
井戸に飛び込む山本、それを我が物にしようと飛びかかる貞子と伽倻子。
全力でダッシュ、更にジャンプまでする貞子と伽倻子は必見だ!!


急に人間臭くなる(笑)

一足早く井戸に落ちて行く山本。
と空中でぶつかり合う貞子と伽倻子。
その瞬間、
何故か大爆発!!確かにこれは予想してなかった。(笑)
更に呪いの爆風?で、安藤の体が千切れる(笑)これも全く予想してなかった(笑)もう一回言っとこう、お前も使えない方の霊能力者だったのかよ!

爆発したと思いきや、グチャグチャに混ざり合った貞子と伽倻子は巨大な化け物に(なんでだろう…。と思うけど白石監督だと思うと再び当然だと思える。)

『アキラ』で暴走した鉄雄みたいに、グチャグチャの肉塊の中からは目や口が現れる。



しかしそのまま井戸の中へと落ちていく。井戸の底には生贄となった山本美月が。そこに呪いの塊となった貞子と伽倻子が降り注ぐ。
半泣きで見守っていた玉城ティナが必死の思いで井戸に蓋をしてそのまま呪いを閉じ込めて一件落着。

当然そんなわけはない。
ホッとする玉城の後ろには俊雄くん!(死んでなかったのか!貞子に食われたかと思ってた)
そして、何処からともなく貞子登場の時に流れるキーンと言う音と、『ア、ア、ア、ア』と伽倻子の呻きが聞こえてくる。
まだ封印し切れてなかった!?と言うかそもそも封印出来る代物じゃなかった!って事で井戸の蓋が吹き飛び、井戸から何かが上がってくる気配が。

上がってきたのは長い黒髪の白い服の女。貞子?と思ったら動きは伽倻子、そして『ア、ア、ア、ア』と言っているから伽倻子!?
ノンノン、貞子と伽倻子が合体した全く別の物。さやこ?かだこ?
井戸の中でドラゴンボールで言うところのフュージョンをした貞子と伽倻子はより強力な化け物となって蘇る。



そして目の前の玉城に襲い掛かるのだった。

ラスト、呪いのビデオの映像が流れる。
そしてそこに現れたのは貞子でも伽倻子でもなく、合体して生まれた新たな、そしてより強力な呪いそのものだった。

と言うオチ。

ね、白石監督好きならそんなに意外と思わないエンディング(笑)

でも最後も実はちょっと不満で、最後に出てくる合体した化け物の顔はさ、貞子でも伽倻子でもなく、山本美月がやるべきだったと思うんですよ。山本美月の肉体を媒介に2つの呪いが合体して1つになった、みたいな。
自分の身を犠牲にして呪いの連鎖を断ち切ろうとした心優しい主人公が、最強の呪いその物になるって方が切ないし、いいと思うんだけどなぁ!!
まぁ、黒髪で顔隠してて最後の最後に一瞬顔映ったけどよく分からなかったから、もしかしたら山本美月がやってたりして(笑)

登場人物ほぼ全員死亡!物語のスタートより状況が悪化して終わると言う救いのない展開。素晴らしいね!!

けど、もし続編出来るとしたら多分人類は居なくなってると思う。
何故なら途中で、『呪いのYouTube』とか嫌だなぁと書いたけど、実は劇中正にそれが起きるから。
山本美月の友人役で最初に呪いのビデオを見てしまう佐津川は、初めは呪いを解こうと必死になるも霊能者でもどうする事も出来ない事実に絶望し、都市伝説マニアの甲本がデータ化しておいた呪いのビデオを盗み、ネットにアップしてしまう。
『どうしてあたしだけ?1人で死ぬのは嫌…。みんな、死んじゃえばいい。』と身勝手な理由で呪いを拡散した。
えらい事をしてしまったと気づき動画を削除するも時すでに遅し、ドンドンと呪いのビデオはネットに広がっていった。

と、このくだりがあるので、恐らく貞子の呪いは海外にまで広まってるだろう。

ここでちょっと疑問に思った事が。
貞子の呪い発動までは2日掛かる。
そしてインターネットで呪いが拡散されたのは貞子と伽倻子が合体する1日前だ。
って事は合体前の呪いは貞子の呪いなわけで、ネットで呪いの動画を見た人の前に現れるのは貞子?それとも合体した方?

あと、玉城ティナに貞子の呪いを掛ける為にわざわざ伽倻子の家にテレビとデッキ運んでたけど、ネットにアップされてたんだから、携帯だけで良かったんじゃ…。
とりあえず合体しちゃったから貞子対伽倻子が戦う続編はないだろう。せっかくだからもう少し引っ張って『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』みたいに、『貞子・伽倻子・富江 廃墟の大決闘』とか、『怪獣大戦争』みたいに『怨霊大戦争』とか、ドンドン怪獣映画みたいにしてくれれば良かったのに。次は『さやこVSお岩 四ツ谷の決闘』かな。


こんな感じで。


富江はいい勝負すると思う。死なないから。

まぁ、とにかく久々に劇場で邦画のホラーを観て、やっぱりいいもんだなぁと思った。夏なんだからもっとやりゃいいのに。『残穢 住んではいけない部屋』は、結局DVDになっちゃったけど、あれはやっぱり本の方が万倍怖い!
『クリーピー』は大好きな清の作品だから観たいけど、劇場まで行くのもなぁ…。
とにかくなつは怪談!ホラーを見るべし!!