【song by:メロディー・チューバック】


世間はクリスマス。仕事も早く終わってメンバーでご飯食べに行こうか。とか、遊びに行こうか。てはしゃいでいたのに突然ニカがこう言い出す。
「イルミネーション見に行こうよ」
そう言って俺の片手を取ってニカのポケットに入れられ外に出ていく。俺は慌てて片手で荷物を取ってニカに引きずられながら廊下に出てそのまま走った。俺は驚いたまま言葉を無くしてニカの顔を見つめると照れ気味の横顔が視界に入った。
「ニカ、照れてる」
「うるせー。黙って俺について来い」
「はい、はい」
クスッ、と笑ってしまう。だってニカがこういう事してくれないから新鮮だし信じられない展開。いつもより男っぽいニカにキュンとし胸の高鳴りが止まらない。現場を出てイルミネーションがある場所へと向かった。現場から近くてよかった。海辺に近いため冷たい風が頬に当たり寒さを感じるが手の温もりだけは暖かった。目的地に着くとイルミネーションが輝いていて思わず声を出してしまった。
「綺麗・・・」
「千賀と一緒に見たかったんだ。ここのイルミネーション」
「いつも室内から見てたから間近で見たかったんだ。ありがとう」
微笑みながらニカの方を向くとニカは「おぅ・・・」と視線を反らして返事をした。あ、ひょっとして照れてるんだ。また照れてるなんて、ニカらしくないよ。でも可愛い。付き合ってはじめてのクリスマス。お互い嬉し恥ずかしくなってるけどイルミネーションを見て見ぬふりしてお互いの顔を見つめ時間-とき-を過ごした。
「千賀、観覧車乗らないか?」
「え、どうしたの急に」
「いいから」
「ちょ、っとまってよ」
繋いだ手のまま観覧車がある方向へと走り出した。運転最終で観覧車に乗り込んだ俺達はゆっくり動く観覧車に身を預け登っていくのを感じながら話しようとしてもお互い高所恐怖症もあって上手く話せない。
「あ、あの・・・」
「千賀・・・」
突然、ニカが立ち上がって俺の前に立って片手で俺の後ろにある窓ガラスに手をついて至近距離で顔を近付き見つめ合った後、ふいにされたキス。
「ちょっと・・・!何すんの」
「キスだけど」
「そ、そんなのわかってるよ・・・」
今気付けば観覧車が頂上-てっぺん-を迎えていた、観覧車デートのジンクス。頂上-てっぺん-でキスすると幸せになれるって・・・。ニカはそれを知って俺にキスをしたんだ。今日のニカはいつもより男っぽくてドキドキして心が落ち着かない。
「どうしてそんなに積極的なの?」
「クリスマスぐらいそうさせてくれよ」
今度は頬にキスを落とす。だから落ち着かないってば、もう。ニカが隣に座って肩がくっつくぐらい座っていて再び手を繋いで観覧車が下るのを待った。いつも見慣れた景色なのに何故だか一段と綺麗に見える。イルミネーションのせいかな。それともニカが俺の為に魔法をかけてくれてるのかな。
「このまま時が止まればいいのに・・・」
「千賀・・・」
「もう一度キスして」
そう言うとさっきより落ち着いた感じでキスをしてくれた。優しくて蕩けるキス・・・。今夜起こった事はメンバーには秘密にしよう。観覧車から出るとやっぱり冷たい風が頬に当たり寒い。そんな中、ニカが抱きしめてくれた。
「ニカ・・・?」
「大好きだよ」
その言葉を聞いた途端、涙が浮かび視界がゆがんだ。嬉しくてその言葉が聞きたかった。本当は何言われるのか少し不安だったけどその言葉に感動して涙を流した。
「何、泣いてるんだよ」
「だって・・・嬉しいんだもん」
「本当、千賀って可愛いよな」
「う、るさい・・・!ねえ、ニカ」
「何?」
「ニカ、大好きだよ」
「ありがとう。メリークリスマス」
「メリークリスマス」
キスを交わしてその場を去ってニカがクリスマスプレゼントを買ってくれるのでその後をついていった。正直プレゼントなんていらない。これで十分。イルミネーションとキスで十分。だけどニカには言わない。ニカがきっとプランを考えてくれてるから何も言わない。何くれるんだろう・・・。少し期待していいのかな。いいよね?もうすぐ0時になる。お姫様になった気分。ニカ、最高のクリスマスをありがとう。