鋼の錬金術師
鋼の錬金術師、このアニメは十代の時わたしが特に影響を受けた作品の一つだ。
自分の果たすべき目的のため…
弟アルの体を取り戻すため…
家を焼き、自ら帰る家をなくし旅立っていった兄弟たち。
軍の犬、権力に魂を打った。…なんと人々にののしられようと自分たちの目的を果たすために、
ただひたすら、ただひたすら前に進もうともがいてきた。
鋼の錬金術師を語るには最初に説明しておきたいことがある。
それは、原作、アニメ第一期、アニメ第二期があること。
私が今回お勧めしたいのは、この中でも私が一番好きな、第一期のアニメ版だ。
原作の途中から始まったアニメは、原作者の
"根っこの部分さえ取り違えなければ思い切りやっちゃってOK"
"原作と全く同じならアニメという別メディアに乗せる必要は無いと思うので"
などの発言から、中盤からはアニメ独自の完全オリジナルストーリーとなっている。
このアニメが放送されたのは2003年、私が中学生のときだった。
当時13歳だったわたしが、部活帰りに何気なくつけたテレビが、
この鋼の錬金術師の第一話だった。
衝撃的な出会いだったと思う、まずこのアニメの第一話に出会えたこと、その偶然にお礼が言いたいと思う。
私がチャンネルを切り替えずにこのアニメを見始めたのは、やっぱりあの素敵なオープニングに引き込まれたからだ。
あのアップテンポな曲調で一気に興味を引く、ポルノの"メリッサ"に合わせた戦闘シーンは
わたしじゃなくても、チャンネルを変えられなかった人は多かっただろう。
でもオープニングから想像した、爽快なファンタジーアニメとは違いすぎる内容に
13歳のわたしは、一部トラウマ的な衝撃とカルチャーショックを受けた。
その暗すぎる設定、父親のいない兄弟たちの大好きな母親その母親が病気で死に、
ただ母が蘇らせることだけを考え二人で成長していく。
そして人体錬成という禁忌を犯した兄弟たちに待っていたのは、あまりに残酷で、大きな絶望。そして大きすぎる代償。その代償を背負って生きていく。
その始まりに、何に希望をみいだしてこの物語と向き合っていけばいいのかわからず、初期にして呆然と考えてしまった。
多分13歳のわたしには、深すぎるアニメだったのかもしれないと、今考えると、そう思えてくる。
この、鋼の錬金術師の特徴として、心の成長が大きなテーマになっているのは欠かせないことだと思う。
兄弟たちの戦闘レベル、頭脳、錬金術は、最初から超人レベル。作者が描きたい成長はそこではない。
それはまだ未熟で不安定な幼い少年たちが旅をし、多くを学びんでいく心の成長を描いているのだ。
その中でもこのアニメ版のキャラクターたちは、原作よりも人間らしさがにじみ出ていると私は思う。
原作よりもより、根っこの部分が弱い。そして弱いからこそ分かってくる悲しみ、にじみ出てくる強さがある。
強さの裏側に持つエドの弱さ、そここそがアニメ版の一番の見どころだ。
アニメ版のエドは何度も何度も壁にぶち当たる、そのたびにくじけて前が見えなくなりながらも前に進んでいく。
そんなエドにだからこそ、言葉や行動に重みが出る。
そんな中たくさんの登場人物、言葉などが今の自分にすごい影響を出している。
立って歩け。前へ進め。あんたには立派な足がついてるじゃないか
ただ待ってくれている人のために
重い運命を背負いながら旅を続けるそれでも待ってくれている人がいる
一緒に家を出たんだ一緒に帰るさ(漫画かも)
人間らしくもがきながらも前に進み続ける兄弟から目が離せなくなる
足だろうが、両腕だろうが、心臓だろうがくれてやる...だから返せよ!!たった一人の弟なんだよ!!
わかった置いて行く、置いて行くから追いついて来い、私は先に行く
痛みを伴わない教訓には意義がない、人は何かの犠牲なしに何も得る事などできないのだから
用意されたレールの上の一生ではあったが、おまえたち人間のおかげで…まぁ、多少やり応えのある良い人生であったよ…
僕達が助けられなかった女の子がいます。その子をずっと忘れる事ができません
私たち 確かに弱いけど、でもだからこそ強くなろうってがんばれる
おまえらホムンクルスよりずっと弱い存在のはずなのに、叩かれてもへこたれても道をはずれても。
倒れそうになっても、綺麗事だとわかってても、何度でも立ち向かう、周りが立ちあがらせてくれる。
そんな人間がお前は羨ましいんだ
うろたえるな!思考を止めるな!生きることを諦めるな!
偽善で結構!やらない善よりやる偽善だ!!
いいかロゼ・・・これが、これが禁忌を、人体練成を、神様とやらの領域を侵した咎人の姿だ。
世界は不完全だ・・・だから美しい・・・
何のも変わらないさ・・・人は生きて 泣いて 笑って死んでゆく・・・
狗だ悪魔だとののしられてもアルと二人、元の身体に戻ってやるさ
でも生きてる」
死者に生を約束する血のごとき紅き石
人はそれを敬意を持って呼ぶ 『賢者の石』と
絶対に戻してやるからオレを信じろよ
あんた達、たった二人の兄弟じゃないの
人はなにかの犠牲なしに何も得ることはできない。
何かを得るためには同等の代価が必要になる。
何かを得るためには同等の代価を支払わなければならない






