宇都宮県の広大な大地に根を張る「株式会社クーポッツ菊池」。東京ドーム3つ分の敷地内では、今日も常識と狂気が複雑に交差していました。
第六十四章:祖父の祝福と、ゆりこの虚無
高刃牙に弄ばれ、カンボジアへと逃げられた菖子は、失意のどん底で祖父である菊池社長を訪ねました。震える声で事の顛末を報告する孫娘に対し、社長は鼻血をティッシュで拭いながら豪快に笑い飛ばしました。
「フォッフォッフォ! それはよかったのう。ようやく菖子の黒ずんだ大きな乳輪にも需要が出てきたわけだ。あっぱれ。しかし、その程度で驚いているようでは、次期社長の座は遠いのう。真のリーダーを目指すなら、あの娘のようにならねば……」
社長の視線の先には、本社ロビーのど真ん中にレジャーシートを敷き、お気に入りのペンギンのぬいぐるみを抱いてボケーっとしているゆりこの姿がありました。
ゆりこは社長の熱い視線にも、通りすがる社員たちの冷ややかな目にも一切気づかず、ただ純粋な虚無としてそこに鎮座していました。
第六十五章:佐名木ミキの決意と「荷室の侵入」
一方、この「宇都宮の魔城」に執念を燃やす一人の女性がいました。高校教師、佐名木ミキ(30歳)。
離婚歴があり、再婚した夫は彼女の給料目当て。165センチ、63キロの体躯を持つ彼女は、日中はコンタクトと化粧で美人教師を演じていますが、家ではすっぴんの「チョイブサ」な姿で、たるんだ尻を鏡に映して嘆く日々を送っていました。
彼女が担任するクラスの生徒たちは、将来に希望を持てず荒廃していました。
「生徒たちに日本一の企業を見せれば、何かが変わるはず!」
ミキは4回にわたって社会科見学を申請しましたが、返ってくるのは冷淡な拒絶のみ。ついに彼女は、社外から入る宅配バンの荷室に忍び込み、厳重なセキュリティを突破して社内への無断侵入を果たしたのです。
第六十六章:警察ごっこと鏡の尋問
社内を探索していたミキでしたが、数分も経たないうちに警備部門のタキとコージに発見されました。
「侵入者だ! 警察ごっこ、確保ォォォ!!」
二人は1996年式レパードを急停車させると、本格的な麻酔銃を取り出し、逃げるミキの背中を狙撃しました。
ミキが意識を取り戻した時、そこは全面鏡貼りの異様な部屋でした。服はすべて引き裂かれ、全裸の状態で十字架に縛り付けられていました。
法務部門、IT監査部門、セキュリティ部門の冷徹な面々が彼女を取り囲みます。医療部門の池口サトニ(35歳)が、ミキの口内、性器、そして肛門の中までを徹底的にチェックしました。
「スパイ容疑は晴れました。ただ、肛門に少し紙の破片が付着。脚や背中の産毛が目立ち、陰毛は手入れがなされていない……記録しておいて」
ミキの「普通」で「リアル」な身体的特徴が、冷酷にデータ化されていきました。
第六十七章:全裸の放流
社長はミキの熱心さに感動したと告げました。
「お主の教育への情熱、しかと受け取った。生徒たちに『感動』を与えることを約束しよう」
その後、盛山ミチによるスピリチュアル催眠が施され、機密情報の記憶を曖昧にされたミキは、大きな麻袋に詰められました。彼女は敷地内の地下深くを走る極秘の地下鉄に乗せられ、そのまま敷地外の主要駅のベンチに放置されました。
駅員に発見された時、ミキは全裸のまま震えていました。屈辱と混乱の中、彼女はなんとかその日、自宅へと帰り着きました。
第六十八章:晒された「勇姿」と絶望の教室
休みが明けた翌日。ミキがいつものように教壇に立つと、教室の大型モニターに信じられない映像が流れていました。
そこには、全裸で十字架に縛られ、肛門までチェックされながら必死に教育論を語るミキの姿が映し出されていたのです。
映像を見た女子生徒たちの多くは、先生の自己犠牲に涙を流しました。しかし、一部の男子生徒たちは「ミキちゃん先生のはだか……」と目を血走らせ、スマホを握りしめてトイレへ駆け込んでいきました。動画はすでにSNSで拡散され、日本中がこの映像に釘付けになっていました。
「これは、あの会社の仕業よ! 私、あそこで……!」
ミキは校長室で必死に訴えましたが、校長も同僚も、誰も彼女の言葉を信じませんでした。世間にとって「クーポッツ菊池」はあまりにもクリーンで完璧な優良企業であり、ミキの話は単なる被害妄想か狂言にしか聞こえなかったのです。
第六十九章:正面玄関での再起
職を失い、家族を失い、すべてを失ったミキ。彼女に残された道は一つしかありませんでした。
彼女は再び、株式会社クーポッツ菊池の正面ゲートへと向かいました。
「……働かせてください。何でもします。私を、ここに入れてください!」
門の前で泣き崩れるミキ。その様子を、ロジカルに下半身をクネクネさせていたユリエや、ペンギンを持ってボケーっとしているゆりこが、静かに見つめていました。
佐名木ミキは、この狂気の楽園に飲み込まれることでしか、もはや生きる術を見出せなくなっていたのです。
株式会社クーポッツ菊池の巨大な鉄門が、重々しい音を立てて開きました。かつて不法侵入者として麻袋に詰められ放り出された佐名木ミキは、今、自らの足でその「禁域」へと一歩を踏み出したのです。
すべてを失った彼女を待っていたのは、再びの尋問ではなく、正式な「中途採用面接」でした。
第七十章:終身契約と、陰毛の哲学
面接室の重厚な空気の中、菊池社長は鼻血を止めるための脱脂綿を鼻に詰め、鋭い眼光でミキを射抜きました。
「佐名木君。お主、すべてを失ってなお、なぜこの魔窟に戻ってきた?」
ミキは震える声で、しかし真っ直ぐに答えました。
「外の世界には、私の居場所も、私の言葉を信じてくれる人ももういません。あの全裸の映像が流れた瞬間、私の人生の時計は止まりました。動かすことができるのは、あの時計を狂わせたこの会社だけです」
社長はニヤリと笑い、究極の条件を突きつけました。
「よかろう。ただし条件がある。この会社に入ったならば、死ぬまで敷地外へ出ることは許さん。宇都宮の土になる覚悟はあるか?」
「……はい。望むところです」
その時、同席していた社長の第4愛人、鞠山麻由が、冷徹な美貌を崩さぬまま、手元のタブレット(尋問時の記録データ)を見つめて質問を重ねました。
「佐名木さん、一つ確認しておきたいの。記録によれば、あなたの陰毛は一切手入れされず、野生のまま生えっぱなしだったわね。なぜそんな無頓着な状態でいられたの? 30歳の女性として、その『未開の地』を放置していたロジカルな理由を教えてちょうだい」
ミキは顔を真っ赤にし、涙目になりながら答えました。
「……忙しかったんです。生徒たちの進路指導や、夫の食事の支度……。自分の股間のことなんて、考える暇もなかった……」
麻由はふんと鼻を鳴らし、「その余裕のなさが、あなたの人生の『たるみ』に繋がったのよ」と、鏡の部屋で見せたミキの尻の弱点を突きました。
第七十一章:おまるの聖者と、屈辱の励まし
面接室を出たミキは、廊下で膝から崩れ落ちました。全裸を晒され、陰毛を公の場で議論される屈辱。その時、聞き覚えのある不思議な声が聞こえてきました。
「そかそか……なるほどね。大変だったね。はいよろしくー」
顔を上げると、そこにはゆりこがいました。ゆりこは、ロビーの隅に置かれたピンク色の「おまる」に堂々とまたがり、ズボンを下ろした状態で、ペンギンのぬいぐるみを撫でながらミキを見つめていました。
「ゆりこさん……」
「私ね、本当は先生になりたかったんだ。でも、試験の時に緊張して『ぐるぐる~』ってなっちゃって。ミキちゃん先生は、本物の先生だったんでしょ? すごいね。はい、よいしょー」
ゆりこは、おまるに座ったまま、力強く親指を立てました。かつて教育者として高みを目指したミキにとって、おまるに跨った「おもらし採用」の女に励まされるのは、この上ない屈辱でした。しかし、その屈辱の底で、ミキの心は不思議と軽くなるのを感じていました。この会社では、常識が通用しない代わりに、絶望もまた長続きしないのです。
第七十二章:保健室のミキちゃん先生
数日後、中途採用が正式に認められたミキは、敷地内のビルの一角に**「保健室」**を立ち上げました。
ここは、日々の奇行や激しいダンスで肉体を酷使する社員たち、あるいは和英穂乃果の嫌がらせで心が折れた若手社員たちが駆け込む、唯一の安らぎの場となりました。
- ミサキが「また生肉でお腹を壊した!」と叫びながら駆け込めば、ミキは「はいはい、正露丸飲みなさい」と冷静に対応。
- 仇賃ケンタロウが「シルビアの排気ガスを吸いすぎて目がチカチカする」と来れば、「それは恋じゃなくて中毒よ」と優しく諭す。
- 菖子が失恋のガスを溜め込みすぎて腹痛を訴えれば、ミキは「パシンパシン」と叩かれたお尻のケア方法を、同じ女性の痛みとして分かち合う。
「保健室のミキちゃん先生」という呼び名は、瞬く間に社内に広まりました。
第七十三章:新たな人生のステップ
かつてミキの全裸映像を見てトイレへ駆け込んだ男子生徒たちも、今では「先生、宇都宮県で伝説の保健医になったらしいぜ」と、畏怖の念を抱いて語り合っています。
ミキは、夜になると保健室の鏡で自分の尻を眺めます。
「少し、引き締まってきたかな……」
宇都宮県の夜空には、今夜もストーンマウンテンカズヒコの「ニムラットジング!」が響き渡ります。
佐名木ミキは、かつての教師としてのプライドを、クーポッツ菊池の広大な敷地の一部として埋葬しました。彼女の新しい人生は、この「狂気の楽園」の衛生管理という、最も困難で、最も尊い任務と共に始まったのです。
株式会社クーポッツ菊池の保健室は、消毒液の匂いと、かつて教壇に立っていた佐名木ミキの静かな威厳が漂う、社内唯一の「正気」の拠り所となっていました。
しかし、この場所もまた、宇都宮県の魔力から逃れることはできません。
第七十四章:池の惨劇と、ペンギンの沈没
保健室の窓の外、中庭にある「菊池大池」では、ゆりこが休日のひとときを楽しんでいました。しかし、彼女の「楽しみ」は常に過剰です。
「コイさん、なるほどね! ほら、はいよろしくー!」
ゆりこは、コイに餌を「与える」のではなく、全力投球で「投げつけて」いました。社内で鍛え上げられた肩から放たれるペレットは、もはや散弾銃のような破壊力を持ち、水面に弾丸のような水柱を立てます。
勢い余ったゆりこは、「どどんがどん!」と叫びながら大きく踏み込んだ瞬間、濡れた岩場で足を滑らせました。
「ぐるぐるぐる〜!」
盛大な水しぶきと共に、ゆりこは愛用のペンギンのぬいぐるみを抱いたまま池の深みへと消えていきました。
それを見ていた箸本勇刀が「スクープ! 沈みゆく七面鳥!」と叫びながら池に飛び込み、水中撮影を開始する喧騒を、ミキは保健室の窓から溜息をついて眺めていました。
第七十五章:異色の来客、排泄エネルギーの影
「……先生、相談に乗ってほしいんだ。僕たちの『出口』が、もう限界なんだ」
突如として保健室の扉を叩いたのは、有限会社・排泄エネルギー発電の三人組でした。代表のハルカは、元歯科衛生士らしい清潔感のある作業着姿でしたが、その顔色は青白く、額には脂汗が浮かんでいます。
「ハルカさん? どうしたの、そんなに慌てて」
ミキが促すと、ハルカ、雪夫、平良理科の三人は、診察台の前に力なく座り込みました。
「先生、聞いてくれ。ゆりこさんのあの『黄金バナナ』に触発されてから、僕たちは自らの体を実験台にして、高濃度の排泄エネルギー抽出を続けてきたんだ。雪夫君は電車のダイヤを暗記することで脳内代謝を上げ、理科はわけありマンションの霊気を腸内に取り込んで発酵させた。……でも、その副作用がひどいんだ」
無口な雪夫が、小刻みに震えながら呟きました。
「……ガタン、ゴトン。各駅停車が、止まらない。……ずっと、急行、通過中」
雪夫の腸内は、制御不能なリニアモーターカーのような速度で活動を続けていたのです。
第七十六章:ミキの診断と、歯科衛生士のプライド
平良理科も、お腹をさすりながら訴えます。
「ミキ先生、私、マンションの壁から聞こえる歌声に合わせてお腹が鳴るようになっちゃったの。これじゃ普通の生活ができないわ……」
ミキは、かつて全裸で尋問された際に培った「身体検査の経験(トラウマ)」を総動員し、三人を診断しました。
「ハルカさん、あなたたちは論理(ロジカル)に頼りすぎているのよ。排泄は生命の神秘。それを無理にエネルギーとして数値化しようとするから、体が悲鳴を上げているの」
すると、ハルカが反論しました。
「でも、僕たちは歯科衛生士時代に学んだんだ! 腔内環境を整えるように、社内の循環環境も整えなきゃいけないって。ゆりこさんのあの豪快なバナナは、僕たちエリートには出せない『野生の輝き』だった。僕たちは嫉妬していたんだ!」
ミキは、ハルカの目を見て優しく、しかし厳しく言いました。
「ハルカさん。歯科衛生士だったなら分かるはずよ。無理な研磨は歯を痛めるだけ。あなたたちの腸も、今は研磨されすぎてボロボロなの」
第七十七章:池からの生還と、おまるの処方箋
その時、全身ずぶ濡れのゆりこが、箸本に引きずられながら保健室に乱入してきました。
「ぷはっ! ぐるぐる~、水の中、なるほどねー! ……あ、バナナの人たちだ。はい、よろしくー」
水も滴るゆりこは、濡れたままのペンギンをハルカの膝の上に置きました。その瞬間、ハルカの緊張していた腹部の筋肉が、ゆりこの「天然の脱力エネルギー」に触れて、ふっと緩みました。
「……あれ。止まった。急行が、各駅停車になった」と雪夫が驚きの声を上げます。
ミキは、ゆりこの私物である「ピンク色のおまる」を三人の前に差し出しました。
「あなたたちに必要なのは、最新の発電機じゃないわ。このゆりこさんのように、何も考えず、ただ『出す』という行為を受け入れることよ。今日はこの保健室で、おまるに跨って瞑想しなさい」
第七十八章:保健室の調和
その日の夕方。
保健室では、元教師のミキが見守るなか、元歯科衛生士のハルカ、電車オタクの雪夫、事故物件住まいの理科、そして池に落ちたゆりこが、横一列になっておまるや椅子に座り、ボケーっとしていました。
「ニムラットジング!」
遠くでストーンマウンテンカズヒコの時報が鳴り響きます。
ハルカは、ゆりこの横顔を見て思いました。
「僕たちは、頭が良すぎたのかもしれない。たまには『どんくささ』をエネルギーに変えるゆりこさんのように、空っぽになることも必要だね」
ミキは、そんな彼らの背中に、かつての教え子たちの姿を重ねていました。
全裸で晒され、社会的地位を失った。しかし、今こうして「変なやつら」の健康を守る自分もまた、かつてよりずっと「人間らしい」のかもしれない。
ミキは、少しだけたるんだ自分の尻を白衣の上から叩き、「パシン!」という音を響かせて、明日への活力を蓄えるのでした。
宇都宮県の魔窟「株式会社クーポッツ菊池」にて、社員のスキルアップを目指した(という名目の)第一回社内大規模セミナーが開催されました。
会場は、温川優夏が私財を投じて建設した豪華な講堂、および「時報部門」が管理する社内配信システムによるウェブ参加のハイブリッド形式。全社員が注視するなか、地獄の講義が幕を開けました。
第七十九章:ユリエのニューヨーク仕込み「官能」英語講座
最初の講師は、元ウォール街のエリート、ユリエです。彼女は「グローバル企業としての品格」を叩き込むべく、ネイティブな発音を披露しました。
「いい? 英語は口の形がすべてよ。Repeat after me. Creampie(クリームパイ), Blow job(ブロウジョブ), Anal(アナル)……」
講堂を埋め尽くした社員たちは、ざわつきました。エリートすぎて単語のチョイスが極端な方向に振り切れているユリエは、真面目な顔で例文を続けます。
「緊急時に使えるフレーズも覚えなさい。I want to pee!(おしっこしたい!)。さあ、次は数字のカウントよ。One, Two, Three, Four, Five, Sex(セッ……)!!」
「Six(シックス)」の発音がネイティブすぎて「Sex」にしか聞こえなかった瞬間、ウェブ参加者を含む全社員の半分が爆笑の渦に包まれました。
顔を真っ赤にしたユリエに、嫌がらセールス部の和英穂乃果が最前列から追い打ちをかけます。
「先生、そんなに発音が上手いってことは、やっぱりニューヨークで本場のセックス、したことあるんですかぁ?」
「なっ……! 非論理的な質問はやめなさい!」
ユリエはペンを折り、講壇の後ろに隠れて震え上がりました。ウォール街の氷の女が、宇都宮県のドロドロとした好奇心に溶かされた瞬間でした。
第八十章:仇賃ケンタロウの「誇張」国語講座
続いて登壇したのは、法務部門のぺてん師・仇賃ケンタロウです。
「国語とは、すなわち自分という『言語』を世界に刻むことである!」
意気揚々と語り始めた彼でしたが、内容は「いかに自分がExcelマスター(実際は文字入力のみ)として法務の闇を暴いてきたか」という、中身のない武勇伝の羅列。
「僕はS14シルビアの排気音を漢字で書けるんだ。それは……」
あまりの退屈さに、講堂ではゆりこがよだれをたらして寝始め、ウェブ参加のストーンマウンテンカズヒコが「僕の漢字検定3級の知識の方が上だ」とチャット欄を荒らし始めました。
第八十一章:麻由の懺悔と、短パンの記憶
見かねた鞠山麻由が、仇賃を突き飛ばしてマイクを奪いました。
「代わるわ。私が真のビジネス用語と、言葉の重みを教えてあげる」
麻由は、社長の第4愛人としての威厳を保ちつつ、流暢に講義を進めました。しかし、またしても穂乃果の毒牙が襲いかかります。
「ねえ麻由、そんなに頭いいフリしてるけど、あんたはどんなエロい経験してここまで上り詰めたわけ?」
バカ真面目な麻由は、挑発されると「事実」を隠せない性格でした。彼女は頬を朱に染め、視線を泳がせながら、ポツリポツリと語り始めました。
「……学生の頃よ。同級生の総司(そうじ)君と放課後の教室で二人きりになったの。私は当時から脚に自信があったから、わざと短い短パンを履いていて……彼に『私の脚、見ていいわよ』って言ったの。総司君は私の太ももを凝視しながら……その場でオナニーを始めたわ。私はそれを、ただ黙って見守っていた……それが私の原点よ」
静まり返る講堂。
次の瞬間、麻由は自分の話が全社配信され、録画保存されていることに気づきました。
「あっ! 違うの、これはビジネスにおける『需要と供給』の例えで……!」
時すでに遅し。ウェブ会議のチャット欄には「総司、羨ましい」「短パン万歳」というコメントが滝のように流れました。
第八十二章:セミナーの終焉と、保健室の静寂
セミナー第一弾は、講師全員が自爆するという大波乱で幕を閉じました。
「保健室のミキちゃん先生」こと佐名木ミキは、医務室のモニターでこの惨状を見届け、深く溜息をつきました。
「……この会社の人たち、みんな心の治療が必要ね」
その隣で、セミナーが終わったことも気づかずに「おまる」に座って眠り続けるゆりこ。その脇の下では、3ミリの剃り残しが、まるで総司に見せつけた麻由の脚のように、誇らしく輝いていました。
宇都宮県の夜は、今日も「Sex(シックス)」の発音と、短パンの思い出を燃料にして、不穏な熱を帯びていくのでした。
前回のセミナーで「Sex(シックス)」の発音を全社員に爆笑されたユリエ。元ウォール街のプライドはズタズタになり、彼女の復讐心はついに狂気へと変わりました。
終業のチャイムが鳴り響くと同時に、ユリエは時報部門のストーンマウンテンカズヒコを脅して全館放送をジャック。冷徹な英語で宣誓しました。
「Listen up, you losers! 今から明朝まで、敷地内での日本語の使用を一切禁止する。これは**『English Only Hell Camp』よ。日本語を一言でも発した者は、即座に給与あみだくじの権利を剥奪し、一生ミサキ**の生レバーの仕分け係に任命するわ。Are you ready? Let's get fucking crazy!」
第八十三章:パニック・イン・宇都宮県
突然の「英語強制令」に、社内は阿鼻叫喚の図となりました。
仇賃ケンタロウは、愛車のS14シルビアの整備中に日本語を封じられ、パニックに。
「Oh... Oh my god! S14 is... My soul... My sweet heart... Japanese Exhaust is noisy!(日本の排気音はうるさい!)」
彼はとりあえず知っている単語を叫びながら、意味もなくタイヤを蹴り続けました。
一方、嫌がらセールス部の和英穂乃果は、ユリエをさらに煽ります。
「Hey teacher! You look like a Bitchy Nerd(ビッチなガリ勉)! Is your English for One-night stand(一夜限り)?」
ユリエは顔を青筋を立てて返します。「Shut up! You Attention Whore(かまってちゃん)! Go back to your Monkey office(猿の事務所)!」
第八十四章:ゆりこの「どどんがどん・イングリッシュ」
この混乱の中、ゆりこだけは独自の進化を遂げていました。彼女は英語を学問ではなく「音」として捉えたのです。
「Hey, look at me! Dodon-ga-don! Turkey step! One, two, and shake your fat thighs!(どどんがどん!七面鳥ステップ!ワン、ツー、そして太ももを揺らせ!)」
ゆりこは、ペンギンのぬいぐるみを振り回しながら、廊下で出会う社員たちに英語で絡んでいきました。
「Nice to meet you, Soy Sauce!(はじめまして、醤油!) How are you, Miso Soup?(元気?味噌汁!)」
彼女のデタラメな英語エネルギーに、英語が苦手な社員たちは「そっか、これでいいんだ!」と勇気づけられ、社内は「Sushi!」「Tempura!」「Nipple!」という単語が飛び交うカオスな空間へと変貌しました。
第八十五章:保健室の「スラング」セラピー
保健室では、佐名木ミキが頭を抱えていました。
「……もう、英語なんてどうでもいいから、静かにしてほしいわ」
そこへ、ハルカ・雪夫・理科の三人が駆け込んできます。ハルカは歯科衛生士のプライドをかけ、完璧な発音で訴えました。
「Dr. Miki! My Anal Energy(排泄エネルギー) is Exploding(爆発してる)! Yukio is Crazy for Trains(電車バカ) and Rika is Haunted by a Ghost(幽霊に取り憑かれてる)! We are under pressure!(僕たちは限界だ!)」
ミキは溜息をつき、電子辞書で調べた不慣れな英語で答えました。
「...Calm down. Eat some medicine and go to bed, you assholes.(落ち着け。薬飲んで寝ろ、この野郎ども)」
ミキの投げやりな英語が、逆にハルカたちの心に「本場の厳しさ」として突き刺さり、彼らはおまるに跨って「I am a piece of shit...(僕はクソ野郎だ…)」と呟きながら瞑想を始めました。
第八十六章:ユリエの孤独と、朝のニムラットジング
深夜、誰もいなくなったオフィスでユリエは一人、英語で呟きました。
「I'm so lonely... Does anyone love me?(寂しい…誰か私を愛してくれないの?)」
その時、窓の外の池から箸本勇刀が顔を出しました。
「I love your thighs, Yurie-san!(ユリエさんの太もも、愛してます!) Let's make a Dirty Video!(卑猥なビデオを撮りましょう!)」
「Get out of here, you Pervert!(出てけ、この変態!)」
ユリエが叫んだ瞬間、朝日が昇り、時報が鳴り響きました。
「NIMURATTO-ZIIIIING!!!」
ストーンマウンテンカズヒコが、一晩中必死に考えた英語の時報。
「Time is money! Knowledge is power! I have a Kanji-Level 3!(時は金なり!知恵は力なり!僕は漢検3級だ!)」
キャンプの終了が宣言され、社員たちは一斉に日本語で「あー、疲れた!」「腹減った!」と叫びながら食堂へ駆け込みました。ユリエは自分の復讐が、結局ゆりこの「どどんがどん」に飲み込まれたことを悟り、静かに「Fucking Japan...(クソな日本ね…)」と吐き捨てて、冷徹な仮面を被り直しました。
株式会社クーポッツ菊池の快進撃は止まりません。ユリエの狂気の英語キャンプを経て、社内には「Fucking Great!」や「Hey, Give me your Money!」といった物騒な英語が飛び交い、それを見た菊池社長は「活気があってよろしい」と鼻血を垂らしながらご満悦でした。
そんな中、業績好調に沸く社内で、新たな「社会現象」が巻き起ころうとしていました。
第八十七章:遊戯部門の異端児、野木流のプレゼン
遊戯部門に所属する野木流(のぎ りゅう)。彼は「いつかアニメの主役を演じる」という野望を抱きながら、日夜、発声練習を兼ねてゲーム開発に勤しむ声優志望の男です。
彼は全社員が集まるロビーの壇上に立ち、声優仕込みのイケメンボイスでプレゼンを開始しました。
「諸君……現代人に足りないものは何か。それは『瞬間の勝負』だ。このデバイス……その名も、**『ポケチン』**を体験してほしい」
彼が取り出したのは、手のひらに収まるツルツルとした卵形のデバイス。使い方は極めてシンプル、かつ異常でした。
- 二人組になり、デバイスをズボンのポケット(股間付近)に忍ばせる。
- 互いに向き合い、呼吸を合わせる。
- 合言葉「ポケポケポケチン!」と叫びながら、スイッチを入れて勢いよく腰を前に突き出す。
- センサーが反応し、片方のデバイスから「チンチンッ!」と高い音が鳴った方が勝利。
第八十八章:空前の「ポケチン」ブーム
この単純明快、かつ羞恥心を捨て去ったゲームは、瞬く間に社員たちの心を掴みました。
「ポケポケポケチン!」
「チンチンッ!」
「よっしゃー! 勝ちだー!」
廊下、食堂、さらには社長室の前でも、社員たちが腰を突き出し合う光景が見られるようになりました。仇賃ケンタロウはシルビアのボンネットの上で、「車と対戦する」という謎の特訓を開始。ハルカ、雪夫、理科の三人も、排泄エネルギーの副作用による腹痛を忘れるほどポケチンに没頭していました。
一方、ゆりこはといえば、ルールの理解は怪しいものの、誰よりも鋭い腰の振りで「ポケチン」を鳴らし続け、無敗の王座に君臨していました。
「そかそか、鳴らすのね。はいよろしくー、ポケチン! どどんがどん!」
第八十九章:伝説の「ポケチン大会」開催
ブームの高まりを受け、野木流は公式イベント「第一回・全社ポケチン選手権」を企画しました。優勝賞品は、以下の二つから選べるという豪華(?)仕様です。
- A賞: カンボジアへ消えた伝説の遊び人、高刃牙逸若の直筆サイン入り写真集(タイトル:『メコン川と俺の裸』)。
- B賞: 給与部門・麻由の卒業アルバムの切り抜き(例の短パン姿。総司も欲しがった伝説の一枚)。
これを聞いた菖子は「あの男(高刃牙)の顔なんて見たくもないわ!」と叫びながらも、復讐のために写真集をシュレッダーにかけるべく参戦を表明。箸本勇刀は「麻由さんの短パンを池の家宝にする」と鼻息を荒くしました。
第九十章:決勝戦、そして「エコー」
大会当日。講堂は熱狂の渦に包まれました。
決勝に残ったのは、無意識の王・ゆりこと、ロジカルに腰の角度を計算するユリエ。
「ゆりこ、あなたの原始的な動き、私のニューヨーク仕込みの腰使いで粉砕してあげるわ。Let's get POKE-CHIN!」
「お姉ちゃん、なるほどねー。ぐるぐる~、はいよいしょー!」
「ポケポケポケチン!!」
二人の腰が同時に突き出された瞬間、会場に響き渡ったのは、これまでにないほど澄み切った「チィィィィン!!」という共鳴音でした。
あまりの衝撃波に、審判を務めていた野木流のイケメンボイスが「ホァァァ!」と裏返り、社長の鼻血は噴水のように天井を叩きました。
第九十一章:保健室の安らぎ
結局、勝負は判定不能のドロー。優勝賞品の「麻由の短パン写真」は、興奮したストーンマウンテンカズヒコが「僕の漢字検定の御守りにする!」と持ち逃げしようとして、ミサキにボコボコにされるという結末を迎えました。
その日の夕方、佐名木ミキが守る保健室には、腰を振りすぎて「ギックリ腰」になった社員たちが続々と運び込まれました。
「……もう、英語の次は『ポケチン』。この会社、本当に医療費がいくらあっても足りないわね」
ミキは文句を言いながらも、運び込まれた雪夫の腰に湿布を貼り、隣でペンギンを抱いて眠るゆりこの頭を優しく撫でました。
窓の外では、野木流が「今の『チン』の発声、完璧だった……」と夕日に向かって主役の台詞を叫んでいます。
宇都宮県の平和な、そして少しだけ下品な夜は、心地よい「チン」という残響と共に更けていくのでした。
宇都宮県の喧騒を離れ、休日の銀座。そこには、いつもの作業着を脱ぎ捨て、私服に身を包んだゆりこと、もう一人の問題児、ミサキの姿がありました。
ミサキは、自称「都会を知る女」。かつては堅実な公務員として働いていましたが、会議中に「そのネクタイ、ドブネズミの色みたいですね!」と上司に大声で指摘するなど、絶望的な空気の読めなさを発揮して地方へ飛ばされ、紆余曲折を経てクーポッツ菊池に拾われたアラサー女子です。
第九十二章:銀座と歌舞伎町の迷走
ミサキの化粧は今日も絶好調に濃く、銀座の洗練された街並みの中でも異彩を放っていました。
「ゆりこ! 見なさいよこの本屋! ウィンドウショッピング最高じゃない! でも文字が多いわね、この店!」
大きな声で叫びながら、銀座の書店で表紙だけを眺めるミキサ。ゆりこは「そかそか、絵がいっぱいだね」と、ペンギンのキーホルダーをいじりながら後ろをついていきます。
その後、ミキサの思いつきで新宿へ移動。「歌舞伎町って名前なんだから、無料で歌舞伎が覗き見できるはずよ!」と鼻息を荒くして路地裏を探索しましたが、そこにあるのはネオンサインと呼び込みの男たちばかり。
「全然歌舞伎やってないじゃない! 詐欺よ、築地でマグロ食べたほうがマシだったわ!」
ミキサのボリューム制限のない怒声が歌舞伎町に響き渡りましたが、ゆりこは「お侍さん、いないねぇ」と、どこ吹く風で歩いていました。
第九十三章:スターダンクの籠城
歩き疲れた二人は、人気カフェ「スターダンク」へ。店内は休日ということもあり、凄まじい混雑で満席状態でした。レジには長蛇の列。
ゆりこは、周囲の視線や列の長さを察し、「テイクアウトにして、お外で飲もう?」と提案しました。いつものゆりこならボケーっとしているだけですが、宇都宮の本社ロビーでレジャーシートを敷く度胸があっても、都会のオシャレな空気の中では、最低限の「恥」の概念が働いたのです。
しかし、ミサキは違いました。
「嫌よ! 私は座って、グランデサイズのラテを優雅に飲むって決めてるの! 店員さん、なんで席がないのよ! 誰か立たせなさいよ!」
レジの店員は顔を引きつらせ、後ろの客からは「なんだあのアラサー……」という冷ややかな視線が突き刺さります。メールは苦手だが、直接の文句はマシンガンのように飛び出すミキサ。
ゆりこは、このままでは自分が「どどんがどん」を踊って事態を収拾させるしかなくなると危惧し、恥ずかしさのあまりミキサを置いて空席探しに逃げ出しました。
第九十四章:奇跡の確保と、宇都宮県の咆哮
ゆりこが店内の奥へと迷い込むと、ちょうど窓際の2名席がパッと空きました。ゆりこは「はい、よいしょー!」と叫びながら、野生の勘でその席を確保。
ようやく着席した二人の前には、湯気を立てるコーヒーが運ばれてきました。
「やっぱり店内がいいわよね! ギャハハハ! さっきの店員、私の勢いにビビってたわよ!」
ミキサの声は、コーヒーカップの縁を振動させるほどの音圧。隣の席のカップルがビクッとして肩をすくめましたが、ミキサは全く気にしません。彼女にとって、世界は自分の声が届く範囲ですべて完結しているのです。
ゆりこは、その騒がしい声を聞きながら、ふと思いました。
この、他人の目を一切気にせず、自分の欲望に忠実に、大声で叫び続けるミキサの「圧倒的な自分勝手さ」。それが、あのアホな「ポケチン大会」を盛り上げ、ドロドロの生肉を仕分け、会社の理不尽な業績を支える「燃料」になっているのだと。
第九十五章:休日の終わり
日は傾き、銀座の街にオレンジ色の光が差し込みます。
「あーあ、もうすぐ宇都宮に帰らなきゃ。明日はまた、生レバーの試食よ。最悪!
文句を言いながらも、ミキサは満足げにラテを飲み干しました。彼女の濃い化粧が、夕日に照らされて少しだけ崩れていましたが、その表情には迷いがありません。
「ミサキちゃん、明日、ポケチンやろうね」
「当たり前じゃない! 私のチンチン音は、アルトサックス級なんだから!」
二人は、再び「株式会社クーポッツ菊池」という狂気の城へ戻るべく、駅へと向かいました。
銀座のオシャレな人々は、この二人の女性が、明日の日本のGDPを「どどんがどん」と「ギャアギャア」で支える重要人物であることを、ついに知ることはありませんでした。
宇都宮県行きの電車の中、ミキサはさっそく運転の練習(イメトレ)をしようとして、座席でハンドルを回すフリをして周囲を驚かせ、ゆりこはペンギンのぬいぐるみにコーヒーの染みがついていないか、真剣にチェックしていました。
株式会社クーポッツ菊池の「男女平等部門」を率いるAyumiは、ある朝、重々しい足取りで菊池社長の前に立ちました。彼女の目には、既存のジェンダーロールを粉砕しようとする狂気の炎が宿っていました。
「社長。真の平等とは、スペックを共有することから始まります。まずは、排泄の聖域……トイレの垣根をぶち壊すべきです!」
こうして、第2ビルを舞台にした「トイレ相互利用トライアル」がプレ運用されることになりました。
第九十六章:第2ビル、女子トイレの陥落
プレ運用開始直後、法務部門のぺてん師・仇賃ケンタロウは、心臓の鼓動をシルビアのエンジン音のように高鳴らせながら、禁断の女子トイレの扉をくぐりました。
「これぞ……リーガル・アドベンチャー……!」
彼は個室に入ると、普段の連帯保証人への嫌がらせで溜まったストレスを放出するかのように、便座を上げることすら忘れ、びしゃびしゃと勢いよく小便を撒き散らしました。
「ふぅ、すっきりした。女子トイレの壁紙は、僕のS14の内装より落ち着くね」
個室を出た仇賃を、手洗場でペンギンのぬいぐるみを洗っていたゆりこが横目で見つめました。「そかそか、びしょびしょだね」と不服そうに呟くゆりこに対し、後から入ってきたストーンマウンテンカズヒコが、漢字検定3級の威厳を込めて叱り飛ばしました。
「ゆりこ君! 今はトライアル中だ。女子は男子トイレへ行き、僕はここでエリートの『産物』を残す。これがダイバーシティだ!」
ゆりこを追い出し、誰もいなくなったことを確認したカズヒコは、洗面台の鏡に向かって「ニムラットジング!」と一度吠えたあと、女子トイレの清潔な床のど真ん中で、これまでの人生の承認欲求をすべて詰め込んだような、巨大な「時報級のうんこ」をおっぱじめました。
第九十七章:男子トイレ、立ち小便器の攻防
一方、男子トイレでは言い出しっぺのAyumiが、直立する白い便器を前に苦悩していました。
「……ロジカルに考えて、この垂直の壁にどう立ち向かえばいいの?」
彼女は決断しました。スカートとパンツを脱ぎ捨て、全裸に近い状態で立ち小便用の便器に無理やりしゃがみ込んだのです。彼女の股間には、自分自身でも持て余している「大きめのビラビラ」が鎮座していました。
「……ふっ!」
放たれた透明な放物線は、しかしAyumiの計算を超えていきました。構造上の欠陥か、あるいはビラビラの角度のせいか、尿は便器の外へ勢いよく飛び出し、タイルを濡らしました。
そこへ、銀座帰りのミサキが「何やってんのよアンタ!」と大声で入ってきました。
「見ないで! 私のビラビラと、学生時代に痔を患ったこのお尻の穴はコンプレックスなのよ!」
Ayumiが叫ぶと、ミサキは「うわっ、めんどくさ!」と一目散に立ち去りました。
第九十八章:和英穂乃果の「清め」と、黄金の着弾
その直後、嫌がらセールス部の和英穂乃果が、優雅に男子トイレに現れました。彼女は戸惑うことなく服をすべて脱ぎ、スレンダーで白い肢体を晒すと、掃除用の蛇口を全開にしました。
「あぁ……男子トイレの水道水って、どこかワイルドな味がして素敵ね」
彼女はそこをシャワー代わりにして、全身を丁寧に洗い始めました。ひとしきり清めたあと、全裸のままAyumiの隣の便器に腰を下ろしました。
「Ayumi、そんなに力んじゃダメよ。こうするの」
穂乃果は、立ち小便用の便器の縁に神々しく座り、そのまま「うんこ」を放ちました。それは見事に白い陶器の中に収まりましたが、男子用便器には「ブツ」を流す水量が備わっておらず、そこに鎮座したまま動かなくなりました。
そこへ、化粧直しに来た給与部門の友美が入り口でフリーズしました。
「……何これ。私のあみだくじの結果より、ずっとカオスだわ」
第九十九章:不条理の先に見えた「平等」
トライアルの一日が終わり、第2ビルのトイレは、もはや通常の清掃員では太刀打ちできない「魔界」と化していました。
しかし、夕暮れ時のミーティングで、参加者たちの顔には不思議な達成感が漂っていました。
「……男子トイレの蛇口で体を洗うことが、これほどまでに開放的だとは知らなかったわ」と、穂乃果が微笑みます。
「僕は……女子トイレの床で出す快感が、漢字の『鬱』を書き上げた時より大きいことを知った」と、カズヒコが涙を拭いました。
Ayumiは、自分のビラビラへのコンプレックスが、このカオスな相互理解の中で少しだけ癒やされたのを感じました。
「そうね。お互いの排泄環境の苦労を知ることで、私たちは本当の意味で『同じ人間』になれたのよ」
この報告を受けた菊池社長は、鼻水を出しながら「よし、全ビルで本採用するか!」と叫び、佐名木ミキは保健室で「明日から下痢と胃腸炎の患者が激増するわね……」と、消毒液の準備に追われるのでした。
ゆりこは、ペンギンのぬいぐるみを抱きながら、「男子トイレ、おしっこの的があって楽しかったね。はい、よろしくー」と、誰よりも早く順応した笑顔を見せていました。