コンゴ料理の主食フーフー。
とうもろこしの粉(スムール:セモリナのこと)とキャッサバの粉(マニョックと呼ばれている)を合わせ、水で溶いたお餅のような柔らかい食べ物です。日本ではマニョックが手に入りにくいらしく、在日のコンゴ人はセモリナ粉のみを使います。食感はマニョックが入ると弾力が出るので、強いて言えばコンゴで作るフーフーの方が好きですが、お米に慣れた日本人の私にはまだまだ時間がかかりそうです![]()
作り方は大鍋に3~4分の1くらいの水とスムールをマグカップすり切れ1杯を入れて大ベラで混ぜます。蓋をし沸騰するのを待っている間にさらにスムール2杯+マニョック3杯をふるいにかけて合わせておき、沸騰したら2回ほどに分けて入れます。ヘラで混ぜるときは体力勝負。特に腰に力が要ります。ドロドロになったフーフー(泥と同じ意味の「ポトポト」と呼ばれる状態)の蒸気のせいで顔は汗だく。粉っぽさが残ると良くないので、熱いうちに一気に混ぜなければなりません。混ざりきったら「エカテリ」という樹脂製の浅いお椀のような形状の道具で丸く形作ります。このエカテリはコンゴ独特の料理道具ですが、フーフーを作るときだけでなくテレビのアンテナにも利用されています。ちなみに日本では見たことがありません。
アフリカの他国事情をあまり知らないのですが、日本にいたとき夫はカメルーン人と親しかったのでよく家に招待されました。カメルーンでもフーフーは食べられていますが、コンゴのと異なり、もっと水分が多くて柔らかかったです。埼玉県草加市にあるガーナ人のお店には、箱にFUFUと書かれた粉が売られているので、ガーナでも食べられているのでしょう。コンゴにはお米もパンもありますが、パンは朝食やおやつ時に食べるようです。お米はインディカ種の細長い形をしたとても硬いものです。親類の結婚式のために家族総出で料理をこしらえた際、ポンドゥという野菜の煮込み料理を作った後の鍋を洗わずにそのまま米をグツグツ長時間炊いていましたが、そのご飯は程よい柔らかさ(それでも硬い)で美味しく食べられました。正直、香りも色も日本のお米とは異なり乏しいので、かなりの水量、しかもスープとかお出汁の効いた水で根気よく炊かないと味気ないかもしれません。
さてフーフーですが、大ベラを用いてなんとか作れるようになるまで私は5回くらいかかりました。それでもせいぜい8人分くらいが限界。粉の量の塩梅は今も奮闘中です。最近は毎日作るので翌朝まで手がこわばり痛みを伴います。料理するのも楽ではありません
でも日本人の私がフーフーを作れると知って、みんなとても驚きます。どの国でもそうですが、独自の料理や伝統的なことを外国人が嗜むのは意外に思うのでしょう。心から好きになれるかは別として、現地の人と同じものを食べたり作ったりすることはコミュニケーションがスムーズに行くし、「同じ釜の飯を食う」ではないけれど、当たり前の生活に共有できる部分があることはとても好意的に受け止められるのだと思います。私は少し前までフーフーを食べることに抵抗を感じていましたが、自分で作ってみると案外面白くて毎回の出来栄えを評価しています。ヘラでかき混ぜるときはいつもいっとき流行った「ネルネルねるね」というお菓子を思い起こさせます
(このお菓子、私にはゲキまずでしたが弟が大好きで毎日買っていたことがあるくらいでした)。
それにしても主食というのはなぜこうも独特なのでしょう?
元力士で現親方の琴欧洲関は米食に慣れるのにとても時間がかかったと言っていました。稽古が辛いとき、佐渡ケ嶽親方がパンをよく買ってくれていたそうです。主食は毎日のように食すものですからその土地で生息するものを原料としています。その土地そのもの、つまりその土地に住む人の基盤となるものといえると思います。主食を1日1回は食べないと気が済まなくなりだしたら、本当の意味でS’adapter(受け入れる)ことができたと言えるのかもしれません。



