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 ゆらゆら帝国の『空洞です。』がリリースされた時、「次のゆらゆらのアルバムはアカペラだと予言する」と言った知人がいて、凄くハッとさせられたのを今でも覚えている。『空洞です。』は、可能な限り感情の発生を抑えたサウンドプロダクションで俗世の虚しさを見事に音として表現した傑作だった。そしてその先にあるものが、声だけのアカペラであったとしても何も不思議はないなと妙に合点がいったのだ。結局、アカペラのゆらゆら帝国は、聞けないままに終わってしまったが、坂本慎太郎の自身名義として初作となった『幻とのつきあい方』は、そんな『空洞です。』の空気感を更に熟成させた傑作だ。
『空洞です。』より更に抑え目の音達は微熱にうなされるように身体にまとわりついてくる。これが実に気持ち良くて仕方がない。坂本が音楽を再開するきっかけとなったというコンガの音(演奏はエゴ・ラッピンの菅沼雄太)が軽い音色で鳴り続け、坂本自身の手で弾き鳴らされるベース・ギターの音はメロディアスなリフを鳴らし続けている。演奏は決してタイトにはならず、作品全体が隙間だらけに仕上げられていて、聞き手も全く肩ひじ張らずにそのサウンドにのめり込んでいく。全体的な雰囲気は非常にポップでキャッチーだ。一言で言ってしまえば、実に聞き易いアルバムなのである。ただ、そこから深みにはまってしまいそうな危険な匂いの香らせ具合が実は今作の肝なのではと思っている。真っ青で素晴らしく美しい海面の下には実は何が潜んでいるのかわからないといった感じだろうか。ある種の危険な香りが鼻腔をくすぐってくる。そんな見た目以上の何かを敏感に感じさせる作品だ。
妙に明るく鳴らされた音の数々は決して振り切られることなく盛り上がらず、盛り下がらずの地点を気球船の如く彷徨い続ける。そんな振り切らない音は諦めも似た無力感を作り上げ、幻や幽霊みたいな言葉に込められた虚無感がその上を錯綜する。インタビューでは「震災がなかったかのように触れないのも違うと思った」との発言もあったが、震災以降は我々がどれだけの幻を食らってきたのかを思い知らされた時間でもあった。そういう意味で、この作品は実にリアルな感情を呼び覚ます作品だ。表現が直接的ではない分だけ余計に身の丈にあったリアルさを感じてしまう。そこには、ヒーローに憧れるようなトキメキなど存在しない。消え去ってしまう幻をこの手で掴んだしまった自分自身に湧き起る感情の数々があるだけだ。この作品が鳴らしているのは、幻が消え去った後に残るリアルと向き合わなければいけない我々自身の音に違いない。そう、これが現実なのだと。もしかしたら、作り手自身はそんなこと全く考えていないのかもしれない。だけど、意識したにせよ、しなかったにせよ、今作が今の世の中の一面を確実に射抜いてしまった傑作であることだけは間違いない。

ほぼ休足してしまった。夕飯終わった後、適当に1キロぐらいを適当に走って終了。やはり仕事で帰りが遅くなるとついさぼってしまう。明日は何がなんでも10キロは走る。
本日のBGMはケイジャン・ダンス・パーティー。はかなくも散ってしまった早熟バンドに今感じる生きることの難しさと自分の不甲斐なさを重ねております。
明日は良い日だといいな。
本日、仕事始めでしたがお屠蘇気分が抜けきらずでした。早めに帰宅してビールをチビリ。
という訳で、本日は休足と致しました。正月休みに走った分の休みということで。3連休の走り込みもあるので、しっかり疲労を脱いときます。

本日のBGMはソウル・フラワー・ユニオンで『死ぬまで生きろ!』。死亡率100%のこの人生を悔いのないようにと心新たにする一曲です。
激動だった一年の最後です。色々とお世話になりました。そんなわけで、今年の10枚です。


1.坂本慎太郎 /幻とのつき合い方
ゆらゆら帝国の『空洞です。』がリリースされた時、「次のゆらゆらのアルバムはアカペラだと予言する」と言った知人がいて、凄くハッとさせられたのを今でも覚えている。結局、アカペラのゆら帝は、聞けないままに終わってしまったけど、坂本慎太郎のこの作品は『空洞です。』の空気感を更に熟成させた傑作だ。
『空洞です。』より更に抑え目の音達は微熱にうなされるように身体にまとわりついてくるが、これが気持ち良くて仕方がない。意外にポップでキャッチーに作り上げられていて、聞き易いのだが、そこから深みにはまってしまいそうな危険な匂いの香らせ具合が最高に痺れる。
非日常な出来事が多すぎたこの一年、自分がどれだけ幻を食らっていたかもわかった一年だった。そんな空虚感を見事に音で射抜いた作品。みんな思ったことかもしれないけど、いつもの日常を歌った8曲目のタイトルが「何かが違う」。ホントビリビリデス。

2.Jonathan Richman /O Moon, Queen Of Night On Earth
音楽から伝わってくる滋養が半端ない。噛めば噛むほど味が出てくる。スルメイカみたいな音の数々は聴く者の心を離して止まない。その音達から脳天に浮かんでくる景色の数の半端の無さには呆れるばかりだ。最小の音数から最大の想像力を生んでしまう素晴らしい音楽だ。

3.neco眠る /LIVE20101229
活動休止前の最後のリキッドルームでのパフォーマンスを収めた一枚。配信サイト「DIY STARS」内の震災義援プロジェクトからのリリース。何も言わなくても最高なんだけど、全く狙っていないヘタウマ感が作り出すグルーブには汗をかかずにはいられない。盆踊りからクラブのダンスフロアまで全方位対応で踊らせてしまうこの音を聞いて、枯れた日常が随分と潤ったものになった。6畳一間がダンスフロアに変わってしまうのを一体何度体感しただろう。夢心地の中にリアルを手に掴ませてくれる素晴らしいバンドだ。2012年はライブハウスで汗まみれになった自分を呆れた顔で見る嫁に「necoが悪い」という言い訳をいっぱいいっぱいしたいぜ。

4.Sallie Ford & The Sound Outside /Dirty Radio
昨今は、ビビアン・ガールズやらゾーズ・ダーリンズとか最高にあばずれな音楽に出会う機会がたくさんあったのだが、サリー・フォードはもう本当に最高です。ロカビリーとR&Bを足して二つに割ったような音の上をソウルフルに歌いあげる彼女の歌声はパワフルで実に情感に溢れている。音だけ聞いたら黒人かと思うぐらいにパンチ力があって拳が自然と振りあがってしまう。日本だと、うつみようことか、大西ユカリみたいなイメージだろうか。こういうアホみたいにパワフルな音楽を今年はたくさん聞いていた気がします。

5.Doddodo /ど
難波のビョークことドッドドの最新作。これまでの攻めの音色とは一転して、童謡を思わせるようなフレーズを中心にサンプリング、エディットを多用した音作りで、ウタに寄った作品に仕上がっている。ライブでは既に何度も耳にしている曲がほとんどだが、現場の空気感で培われた熟成度が見事にパッキングされていて、実に気持ちが良い。音の粒達が脳ミソの中で跳ねまくって、ドンドン膨らみに溢れてくる。所謂、天然な感じもあるのだけど、それ以上に表現への逼迫した迫り方が音のイメージを超えてアグレッシブな一面を引き出している。だからこその「たぬき」なのだと自分は思っている。素晴らしい。

6.Battles /Gloss Drop
同系統(自分的に)で言うと、にせんねんもんだいのライブ盤も良かったのだけど、よりポップさが増したバトルスのオリジナル版を推します。メンバーの脱退を経てこれだけふっ切れた作品が届けられたのは嬉しい限り。世間的には評価の高い前作よりもこちらの方が好みです。ひたすら楽しくて、ひたすら踊らせられる。それでいて、彼らにしか作り出せない音がそこにはあって。遊び心と実験的な精神のぶつかり合いが実に高い次元で音楽の中で成立している素晴らしい作品だ。

7.鴨田潤 /「一」
イルリメが弾き語りで作り上げた鴨田名義の初作。ラッパーサイドで見せるアゲアゲな感じとは一転して、自分の内側を吐露するようなナイーブさを音にした作品だ。全編自作自演の宅録でお世辞にも音が良い作品とは言えないが、その音触りに親密さがメチャクチャ込められていて、音から耳が離れない。そこに恥じらいも余計な意気込みも感じさせずにひたすらウタと向き合う姿は本当に感動的だ。ラストを飾る16分の大作”プロテストソング”は大名曲。

8.Ponytail /Do Whatever You Want All The Time
ボアダムスとも親交のあるボルチモアの爆音インストバンドの2作目。(アートワークはEYEが担当とのこと)相変わらずのハッチャケ具合が最高なのだが、前作よりもバンドのグルーブ感が増幅されて音像がより塊となって聞こえてくる。手を変え品を変え飛び込んでくるフレーズの一々が変態さに溢れていてグイグイと引き込まれていく。アルバムの最初から最後まで攻めの空気に満ちていてバカみたいな勢い抜群で最高。来日公演切望です。

9.KETTLES /ビー・マイ・ケトル
本年度の邦楽ニューカマーの中では抜群だった。女子ドラマーに男子ギタリストというホワイト・ストライプス形式のバンド。最近の若い音楽ってパッと聞いてカッコ良い音ばかりを目指していてほとんど面白さを感じなかったが、ケトルスの音は最高にもがいていて、正真正銘の若い音で非常に良かった。とは言え青臭さだけではない世界観の広がりも感じさせられる所も他のバンドとは一線を画している。もう一息ふっ切れたら2012年の苗場食堂ぐらいは余裕でいけるはずだ。パワフルなライブパフォーマンスも一聴の価値あり。
蛇足を述べると、東京のバンドはどうも中庸になり過ぎている気がする。もっと表現のレッドゾーンへ振り切り幅が

10.The Black Lips /Arabia Mountain
やっぱり一年に一枚ぐらいはこういう下世話で最高に汚い音の一枚に出会いたい。もはやベテランの域に達した感のあるガレージ・バンドの雄。まるでライブハウスで聞いているかのようなサウンド・プロダクトは彼らの汗やらなんやらが生々しく聞こえてくる。やりたい放題やってきた人達ならではのストレスフリーな音はジャンル云々以前にこれぞ音楽と言う新鮮さが溢れていて何度でも再生可能な音楽を届けてくれている。


で、今年の印象に残ったライブです。

イルリメ@メテオナイト
⇒自然発生的なダイブって最高。それは抑えられない何かを持っているってことで。そういうのってメチャクチャ大切だと思う。
眠眠眠a.k.a.neco眠る@スケーターナイト
⇒何とドラムにnaniと和田晋二、ギターに栗原ペダルを据えるという字づらだけで悶絶しそうなスペシャルナイト。本当にneco最高です。エンガワでみせたあのドラムバトル、そして青天井のアツい盛り上がり。今年というか墓まで持ってく価値ありでした。
キングブラザーズ@下北沢デイジーバー
⇒あれだけ人の上を泳いだのは初めてかもしれん。
wilco@フジロック
⇒このミュージシャンシップの高い演奏をあの場所で聞けたことは夢のようでした。実は夢にまで見たいたことが実現したということだったが。本当に素晴らしいフジの締めだった。
オシリペンペンズ@こんがり音楽会
⇒イベント自体も最高だったけど、この日以降からオシリペンペンズを聞く耳が変わってしまった。というか本当の意味でのオシリペンペンズが自分の前に降臨したのだ。モタコが作り出すヒリヒリとした空気とスカスカな音達が遂にグルーブを作り出し会場を包み込み様は感動的以外何物でもなかった。

今年はというか来年も含めてまだまだ激動の時間を過ごさざるを得ないのかもしれないが、こうして音楽を聞いて楽しめる毎日にやはり感謝をたくさんしたいと例年になく強く思ってます。
今年も大阪界隈と米インディー界隈をディグする日々が続きました。何となくですが、パワーがあってひたすら楽しいという音楽を好んで聞いていたような気がします。
時代の空気とか読まなくたって、何かを伝えられる音楽がたくさんあるのだということを身を持って体感した一年でした。こういう音楽を聞いて自分は名前も知らないたくさんの人達と何か共有し、結果として時代の空気みたいなものを作り出していけばいいんじゃないのかと思ってます。そう言えば、デモに初めて参加したのも今年の事でした。来年は更に主体的に具体的に動いていきます。あと蛇足を一つ言うと、こんな時代だからこそ清志郎がどんな歌を歌ったのかをとても聞いてみたかった。

というわけで、来年もよろしくお願い致します。良いお年を!!!
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 ゾーズ・ダーリンズはテネシー州マーフリーズボロ出身の女の子3人組バンド。(サポートのドラマーのみは男子)オールドスクールなロックを基調として、カントリーにロカビリー、ブルースやらを鳴らすサザン・テイストたっぷりなバンドだ。(メンバーは全員がダーリン姓を名乗るラモーンズスタイル)彼女達が立ち上げたレーベルからバンド名を冠した初作を2009年にリリース。同時にSXSWやボナルー・フェスへの出演をきっかけに世間の注目を集め、2010年には日本デビューも果たしている。その初作はガレージなサザンロックの音が本能の赴くままに鳴っている実に清々しい好盤だった。そんな彼女たちの2年振りに届けられたレコードが”スクリュー・ゲット・ルーズ”だ。
 前作からの音に大きな仕様変更はない。全体的には、相変わらずパンク臭漂うローファイな音で、聞き手を挑発するような雰囲気を醸し出している。冒頭を飾る表題曲から最高だ。チューニングを外したようなギターリフに酒焼けしましたと言わんばかりのハスキーなボーカルが聞こえてくる。それでいて、甘めのコーラスワークが実にスパイスとして効いていて、ポップさを失わずに聞いてる側は心地よくなってしまうのだから素晴らしい。楽曲の持つ勢いもたっぷりで、11曲35分間があっという間に過ぎ去ってしまう。
もちろん2作目ということもあって、ギターの音色やら、コーラスの使い方とかミュージシャン・シップの成長が随所に見受けられたりもする。英語さっぱりな自分が単語を聞き取れるぐらいのはっきりとした言葉使いにも好感を持てる。ただ、このバンドのシンプルかつ破天荒な音が非常に気持ち良いのは、勢いがもたらす爽快さのだけではなく、アメリカのトラディッショナルな音楽を実にシンプルに自分たちの価値観でフィルターしているところだ。そこには余計な成分は一切入っていない。テクニックであったり、音楽的な知識なんてものはどこ吹く風なのである。正直、ここ数年のブルックリン・フィーバーのごった煮感にいささかお疲れ気味であった自分にとっては、そのシンプルさとローファイ具合は実に気持ち良い風ように聞こえてくる。
今作のPVを見る限り女っぷりも倍増でギラギラ感まで滲み出てきている。ぜひとも初来日を果たして、大量のビールを飲みながら踊りたいものである。もうこれだけは切に願って止みません。
実にカッコいいライブだった。ヒーローを見つめるような憧れと、感情が弾け飛んでしまったような爽快感が終演後の自分を包み込んでいた。ザ・ゴー・チームの3年5ヶ月振りとなる日本公演は、期待に見事に応えてくれたライブだったのである。
新作”ローリング・ブラックアウツ”を引っ提げてのジャパンツアー。本年1月にリリースされた本作は、相変わらずの雑食魂とフィジカル溢れる演奏が最高に極まったお祭り騒ぎの素晴らしい作品だった。そんなアルバムからの流れを見事にステージの上で昇華させていた彼等、とにかく終始放電しっぱなしのエネルギッシュなステージだった。
新作のオープニング曲『T.R.O.N.A.D.O.』幕を開けたステージは手を変え品を替えのエンターテイメントショー。メンバー全員が少なくとも2つ以上のパートをこなし、曲が終わる度にステージの上を右に左に動き回って、楽器とポジションをとっかえひっかえする。パートが変わることによって音の個性が変化していく様が実にエキサイティングだった。前回の来日公演では勢いでグルーブを作り出している印象があったが、この日のステージでは技術的な裏打ちもしっかりと魅せてくれた。サンプリングを多用するバンドで、音の構成がどうしてもフラットになってしまう印象があったが、この日はフィジカルな音がグイグイとバンドのグルーブを推し進めて、音の構成力が格段と進化していた。何より、音の印象が変化してもバンドの持つ芯が決してぶれずに音が鳴っている様が実に素晴らしかった。
多国籍であり、ノンジャンルなバンドとして語られるが、決して頭でっかちにはならず、音楽的な要素をひけらかすこともなく、あくまでもフロアの目線に立った音楽を鳴らしていた彼等。そこには、あくまでもポジティブに音楽を噛み砕き、聞く側との相互的な関係を築くことに心を砕いているようだった。この日のライブは正に彼等のそんなバイタリティーが見事にフロアを沸かせた夜だった。途中で「日本元気にするためにやってきました」というMCが見事にフロアに響いたのも彼らのそんな音楽の賜物に違いないと会場を後にしたのだった。
 neco眠るの森雄大、オシリペンペンズの石井モタコ、そしてドッドドという関西を代表すると言ってしまっても過言ではない3人が、2010年秋に結成したレーベル「こんがりおんがく」。レーベル2作目としてドッロプされた作品がドッドドの新作”ど”だ。そのリリースパーティーが「こんがりおんがくかい」と銘打たれて渋谷O-nestで行われた。
 当日の出演者はチッツ、akamar22、DJごはん、オシリペンペンズ、そしてドッドドと関西勢のみの出演陣に彼等の音楽に対する自信が伺えるラインナップだ。迎える側としてもこれだけ面白い音達が揃う場面は東京でもそうはないと、日に日に高まる期待感がインターネットを通じて感じられて非常に面白かった。当日は、非常にアットホームな雰囲気で、ドッドドのリリースを祝福するポジティブな空気が其処らじゅうにふりまかれていて、非常にお酒の進む良いイベントだった。
 肝心のライブではオシリペンペンズのライブが心の琴線をぶち抜くようなパフォーマンスを見せてくれた。これまで、フロアを威嚇するような石井モタコと、超テクのギター・ドラムという棲み分けがこのバンドには少なからず存在していたが、この日はそんな仕分不要のグルーブでフロアを一体感で包み込んでいた。モタコの叫びとコール&レスポンスを繰り返すフロア。全く信じられない気持ちで一杯だった。フロアを突き放すようなモタコのパフォーマンスとフロアを全く頭に入れていないようなバンドのプレイ。そこから生まれてくる緊張感にこそ、このバンドの面白さがあるのだと思っていた。ステージの上で微笑みを浮かべながらプレイを続けるメンバーが鳴らす音からは、彼らの本来持っていたポップさが滲み出ていた。バンドが進む方向は決して変わってはいない。その進化の具合が素晴らしいだけだ。これから見るのが益々楽しみなバンドになった。
 そして、大トリのドッドド。レコ発ということも手伝ってか、いつもよりテンション高めの圧巻のステージ。音と戯れる彼女の姿には初期衝動と音に身も心も捧げてしまうようなドキドキ感と、煌めくような音楽への愛情がはち切れんばかりにステージの上を転げまわっていた。見る側にしてみても、この感情の爆発と音への愛情を聞かせられてしまったらもうどこにも逃げられない。後は、裸になってドッドドの音に飛び込むだけだ。そんなことを思わせてしまうぐらいの音がこの日は鳴っていた。いや、裸になってしまわなければわからないような音なのかもしれない。何かを着飾った仕方がないと思わせるようなフィジカルな感触を存分に味わってしまうような素晴らしい体験だった。
 公式なライブハウスでは初めて行われた「こんがりおんがくかい」@東京は大盛況のうちに渋谷の夜の時計を進めていった。彼らの音楽はあくまでも自由。やりたことをやりたいようにやるというのが、このレーベルの本音の本音なのだと思っている。この日の何とも言えない肩の力の抜けた感じはそんな本音が作り出した空気感なのだと思っている。つまり、何かから解き放たれた空気が確実に存在していたのである。そんなことまで、絶対計算してないであろう彼らの天然さにこそ日本の音楽の未来があるのではと強く思った素晴らしい夜であった。
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 ドッドドに強く惹かれるのは、その関西特有の土着的な雰囲気を電子音の力でパワフルに放電する様が実に素晴らしかったからだ。ステージの上で女子一名がサンプラーをいじり、ノイズの海を作り出す。その中から聞こえてくる情感一杯の歌声。音楽が持っている原初の喜びと関西が持つずっこけ感が、絶妙なバランスで作り出すグルーブ。その熱はステージを見上げる僕達の血を燃えたぎらせるに十分な温度が確実に存在している。そんな彼女から届けられた最新作『ど』。アートワークも含めて実に素晴らしい作品に仕上がっている。

 ドッドドは関西で活動するの女子1名のパフォーマー。2009年リリースのneco眠る『イーブン・キック・ソイソース』で彼女の楽曲”猫がニャーって、犬がワン”がカバーされたあたりから注目が広がり、その後、neco眠るの森雄大、オシリペンペンズの石井モタコとレーベル「こんがりおんがく」を立ち上げている。今作はその「こんがりおんがく」からの2作目のリリースだ。自分達のレーベルでということもあって、実に解き放たれた雰囲気が一杯の、良い意味で、垣根の低と、関西のアングラ・シーンを自力で歩いてきたからこその力強さがしっかりとパッケージされた作品に仕上がっている。

 今作の軸足はあくまでも歌。これまで聞かせてきたハードタッチで挑発的な音は鳴りを潜めている。イントロの次曲が、『たぬきが来たから居留守した』。曲名だけでずっこけちゃいそうだが、チープな打ち込みサウンドに乗せて歌われる歌は、童謡と見まがうような詩が歌われている。歌声もあくまで力みのない抜けた声が作品全体を貫いている。ところどころに音楽的なスパイスは効いているものの、あくまでもシンプルに歌とメロディーがありきの楽曲達が並べられている。そこには、地べたを裸足で走り回っているような爽快感がたっぷりと聞こえてくる。目の前にあることがひたすら楽しくて、まるで世界はおもちゃ箱みたいだった日の爽快さだ。凄いのはそそれがイノセントな気分に全く陥ってないことだろう。音楽を鳴らす事の必然性がしっかりと孕まれている音立ちなのだ。シンプルに手を叩いて、歌を歌ってという行為に含まれている表現の攻撃性にこそ今作の真髄がある。どっちが前なのか後なのかもわからない世の中で「ここに来い」という力強い程の意志をビシビシと感じるし、どんどん流されて無くなってしまいそうなものがしっかりとそこには根を張っている。そんな草の根感がたまらなく心を強く引き付ける。誤解を恐れずに言うならば、今日本が見せている草の根的な力強さとオーバーラップする。そこにこそこの音がなる必然性を感じずにはいられないのだ。目をつぶってみたら、圧倒的にきれいな夕陽が浮かんでくる。ドッドドのレコードが鳴らす音ってそんな音なのだ。

 本作を自分はリリース日の20日も前に高円寺のレコード屋「円盤」で購入したが、そんなところも含めて、自由で闊達な活動に全国流通にはない心意気と草の根感をズバッと感じてしまった事を最後に付け加えたい。
終わるのが恐怖なゴールデンウィーク。怒涛の7連休でした。

4月29日:セシオン杉並で走る。夜は円盤映画祭へ。naniの作品を鑑賞しながら、ホッピーを飲む。円盤でホッピーを飲むなんて思っていなかった。naniの作品は関西ドラマー勢総出演で意味は良くわからなかったが、そこがいい。バカバカしいぐらいがちょうどよろしい。終わった後は天ぷら蕎麦を嫁と食う。
4月30日:5キロ走る。円盤でドッドドの新作を購入。マーボーナスを作る。後は特になし。
5月1日:高円寺大道芸フェスティバルへ。ナポリタンを作る。
5月2日:とんかくゲームをしまくった無駄な一日。
5月3日:西荻窪へ知久さんのライブを見に行く。
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去年のneco眠るのライブで見た後、嫁が気にいったためその付き合い的な感じで行ったのだが、素晴らしい歌声とギターの鳴りだった。完全アコースティックだったのだが、生の歌声ってこんなにも美しいのだ。知久さんの歌詞って、想像力をかきたてる単語がドンドン繋がっていくのだけど、その想像力が何倍にも増していった感じ。最後は完全に惹きこまれてしまった。昔からそうなんだけど、彼の歌詞は自分にとっては怖いものを想像してしまう。それはいびつな何かを見た時の怖さなんだけど、そのいびつさの中にある美しさが実に素晴らしく、そんな整合性を取らせてしまう歌声とメロディーに完敗です。終了後、ぷあんで汁そばを食らう。
5月4日:ビースティーボーイズ、ビーディー・アイ、ポニーテイルがアマゾンより届く。夜はまたまた円盤国際映画祭へ。
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石井モタコの作品を鑑賞。出演者の配置が素晴らしく、バカバカしく笑わして頂く。あれは芸術ではないなという感じがとっても良かった。中途半端な映像テクニックをひけらかすような感じが、野暮ったくて味があった。面白い。今日は家で日本酒飲んだので、ホッピーではなくビール。
はっきり言って何もかもがギリギリ過ぎる今なのだが、
何か言葉を繋ぎたくて仕方がない。言葉が簡単に繋げたあの頃はやっぱりよい時代だったのかもしれない。
今更こんなことを初めて何になるのかという事もあるのかもしれないが、せめてものリハビリと希望を少しぐらい見たいという想いから。
BGMはデタミネーションズで。