つながりの輪 | 主体性こそ集大成-Beyond the Borders-

つながりの輪

4年ぶりに長崎を訪れました。

今年は人々の「つながり」について深く考えさせられる1年となりました。

楽しみにしていた大小様々なイベントがことごとくなくなり、楽しみにしていた学校授業がなくなり、ふとした時にくる会合の誘いも、楽しみに待っていたお盆の帰省もなくなろうしています。今までつながっていた多くのものが断ち切られるような思いをしました。

オンラインで置き換えられた部分、ビジネスを中心にそれがプラスに転じた側面もあると思いますが、逆に私は人間の営みというものは「オンラインには置き換えられない」ことが多いと実感しました。人間というものは、衣食住を物理的に完璧に満たせたとしてもやはり1人では生きてゆけないのです。

長崎でも多くの場所を周り、多くの体験を知りました。

広島と同様、原爆で生き残った人々の多くは「私だけなぜ生き残ったのか」「私はなぜ見殺しにしてしまったのか」と己を責めます。後悔の念を口にします。それは、被爆者の多くが失ったものは、家を失ったことでも食べ物がないことでも衣服が焼けたことでもお金が燃えたことでも、火傷を負ったことでもなく病気になったことでもありません。家族を失った、友人を失った、愛すべき人々を失ったこと、つながりを失ったことによる喪失。そして何よりそういったことを引き起こしてしまったのは自分であるという呵責の念に苛まれることにあると感じました。75年で長崎の街は復興を遂げましたが被爆者の「心の傷」が癒えることはありません。

今年は広島、長崎共に行くべきか非常にためらいましたが、多くの話を伺い、自分の問題と捉え直す機会を得られたことに感謝します。

過去の記憶を未来の人につなげる。世界中の多くの人にこの"つながりの輪"がここ長崎から広がることを祈ります。

2020年8月9日長崎にて