弱さからの出発 | 主体性こそ集大成-Beyond the Borders-

弱さからの出発

初めてこの地を訪れてから21年の月日が経とうとしています。

今年も38歳の誕生日を迎えることができたことに心から感謝し、ここ広島で手を合わせます。

今年は、人間は、誰も一人では生きてゆけず根本的に弱いものだということを痛感されられる1年であった。

ほぼすべての人がマスクをしている。連日、感染者数が報道され、店にものがなくなり、イベント自粛のニュースが流れた。平和記念式典も例外ではなく、去年とは全く違うものとなった。

しかし、ふと耳をすませば、セミは相変わらず賑やかに鳴いていて、見渡せば、木々は鮮やかな緑色をし生い茂っている。去年と変わらず時を刻んでいる。

75年前の姿が想像できないぐらい自然はその強さを見せている。

今年も多くの被爆者の体験を新たに知る機会を得た。

壮絶な体験は誰もできれば思い出したくないし語りたくもない。差別されるかもしれない。でも、残そうと思わないと消えてしまう。その生き抜くことができた人、生かされた人が次の世代に語りつぐ使命として勇気を奮い起こしている。

今を生きる私としては、過去の壮絶な体験を自分の事として受け止め、考え行動する。その過程こそが、過去を未来に伝え原爆の惨禍を2度と繰り返さない方法だと信じて疑わない。

「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませぬから」

この慰霊碑のメッセージ。意味がはじめてわかったような気がする。

コロナウィルスで認識した人間の弱さであるが、人々の75年間の勇気や想いが、人間の強さの象徴として、広島から日本、世界中に広がることを祈る。


2020年8月6日広島にて