17歳の君へ
1999年の10月に初めてこの場所に訪れて以来、18年の月日が流れました。
当時17歳であった少年も、幸運にも35歳の青年になることができました。
今日が土曜日、明日は日曜日ということもあり、園内には、アメリカ人、フランス人、中国人、韓国人など外国人の家族ばかりでなく、多くの学生、若者が訪れています。
同じ場所にいても、見える景色が変わっていることを実感し、自分の成長と時の流れの速さを感じています。
私はこの場所についたら必ず向かうところがあります。それが平和記念資料館の地下資料室です。毎年、ここ一年で被爆者の遺族から提供のあった遺品が展示されています。去年は写真でしたが、今年は1つの絵が飾られています。
軍服を来た男性が藁に包まれた子供をおぶっている絵です。こう添えられています。
どんなに熱かっただろう。
どんなに痛かっただろう。
どんなに苦しかっただろう。
お父さんと帰ろう。
家に帰ろう。
非常に短い文章です。
これは18年前に、私が見たと記憶している絵ー女性が子供をおぶっているがその子供は既に亡くなっているーと非常に似たもので当時の記憶が蘇ってきました。
当時その絵を見た瞬間、自分の母親のことを考えましたが、今年は、自分が父親になったらどう感じるが瞬時によぎりました。
多くの学生がその絵の前で立ち止まりじっと見ています。彼らの目にはこの絵はどう映っているのだろうか。しばらくそこで眺めてました。幾人かの彼らのまなざしを見て、18年前に、あの絵の前で呆然と立ち尽くした自分を思い出しました。
明日8月6日は日曜日。学校は休みです。以前から広島や長崎では休日であっても「登校日」と指定されているようですが、それがなくなると地元のメディアでは報じています。
私はそれはいいそれでいいと考えています。
いつか君が「行かないとダメだから行く」から「誰に言われなくても自分の意思で行く」という日がきっと来るでしょう。
そんな日に出会うきっかけが8月6日や8月9日でないとしても。
その日がその日こそが、君の君という人生がスタートする日です。
17歳の僕がまさにそうでした。
スタートしたなら、いけるところまでどこまでもいこう!