『<はだしのゲン>松江市教委、貸し出し禁止要請「描写過激」』によせて
<はだしのゲン>松江市教委、貸し出し禁止要請「描写過激」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130816-00000054-mai-soci&1376667450
もし中学生の時に『はだしのゲン』に出会わなかったら、今の私はいないだろう。
小学生、中学生の時、誰もいない図書館で読んだ「はだしのゲン」「かんからさんしん」「火垂るの墓 」...。
学年が上がって、新しい教科書をもらう初日に真っ先に国語の教科書(後ろの方にある)戦争に関する物語を読んだ。
「戦争」「原爆」は、「死」について、「平和」について、「絆」について、そして「共同体」について考えるきっかけを私に与えた。
今年の広島平和記念資料館の地下の大展示スペースは、「はだしのゲン」である。去年の小展示スペースから移動した。そこでは数々のゲンが周りを励まし、必死に生き抜く姿が展示されている。
このニュースを見てゲンは、作者中沢啓治さんは何を思うだろう。
描写が過激なのか。そうではなく、それはゲン、中沢さんの目の前に突如降りかかった生身の現実、日本の悲惨でおぞましい過去の瞬間瞬間なのではないか。
去年亡くなった中沢啓治さんの冥福をお祈りするとともに、より多くの人に『はだしのゲン』が読まれ、そして読み継がれ、この世から戦争紛争がなくなることを心より願う。
高野勇斗