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出張保健室 キネセラ

このブログでは、主に姿勢に関する内容を国家資格保有者でありキネスティックセラピストでもある筆者が個人の経験と解剖学・運動学的知見からわかりやすく発信しています。

 

骨盤が歪んでいることは悪いことですか?

骨盤が歪んでいると言われたので治したい。
骨盤の歪みを矯正すると、身体によいと聞いたことがある。
 
 
このような経験のある方に今回の内容はぜひ読んで欲しいと思っています。
 
 
 
それは「骨盤の歪み」とは、実際なんなのか?そもそも骨盤の歪んでいる状態というのは身体にとって悪いことなのか?という点について、解剖学・運動学の視点から考察していきます。
 
 
 
先にお伝えしておくと、今回の記事では「骨盤の歪みは悪である」「骨盤は歪んでいてもいい」などと極端な意見を出すわけではありません。
 
 
 
歪みというものを、もう少し皆さんにもわかりやすい形で伝えること、
さらにそこからどういう状態になることが理想的かをお伝えして、
ご自身の身体の状態と照らし合わせて考えていただけたらと思います。
 

今回の記事では以下のことがわかります

  • 骨盤の歪みをわかりやすい形で紹介
  • なぜ歪みが悪いと言われてしまうのかを考察
  • 身体の状態に合わせたセルフケア・トレーニングの考え方を紹介
 

骨盤の歪みも、関節の動きの1つでしかない

骨盤の歪みとは、骨盤の前後左右の傾きで表すことができます。
 
 
 
骨盤が前に倒れていれば「前傾」
後ろに倒れていれば「後傾」
 
と表し
 
 
 
左右の傾きはそれぞれ「右傾斜」「左傾斜」と言ったり、
「挙上」「下制」と言う場合もあります。
 
 
 
骨盤は前方の恥骨結合と後方の仙腸関節で左右の骨盤が連結しており、
この連結部分には僅かながら可動性があります。
 
 
 
そのため左右の骨盤はある程度独立して動くことが可能です。
 
 
 
例えば、
腰を捻るような動きをする場合、右に捻ることで、右側の骨盤は後傾と挙上、
左側の骨盤は前傾と下制が起こっています。
 
 
 
このように骨盤は前後左右の傾きの組み合わせで様々な動きを作っています。
 
 
 
一見すると骨盤は不規則にいろいろな動きをしているように思えますし、
ある程度の運動の規則性はあるものの、身体の使い方の癖や、
身体の柔軟性などによって骨盤の組み合わせは一定ではありません。
 
 
 
つまり人によって、骨盤の動きをよく見て、動き方や生活スタイル(布団で寝ているのか、ベッドなのか。椅子に座ることが多いのか、立ち仕事なのかなど)などの背景などから考えないといけないのです。
 
 
 
実際にここまで詳細に評価を行うことは容易ではありません。そして説明されてもすぐに理解することが難しい場合もあります。
 
 
 
そのため細かい部分を省略して「骨盤が歪んでいる」と表現してしまった方が簡単ですし、
クライアントもなんとなく骨盤に問題があることはわかります。
 
 
 
そういった背景から骨盤の歪みという表現が増えてきているのではないでしょうか?
 
 

歪みが悪いと言われる理由を考察

よく「歪みは身体にとって良くないから矯正したほうがよい」という意見や
「身体はもともと歪んでいるものだから無理に矯正する必要はない」など極端な
2つの意見を聞くことがあります。
 
 
 
この2つの意見はどちらが正しいのでしょうか?
このことについても運動学の観点で考えることで、少しわかりやすくなると思います。
 
 
 
先ほど骨盤の歪みは、骨盤の運動方向の組み合わせのことで、
細かい動きを省略して伝えているだけとお伝えしました。
 
 
 
骨盤の動きを表しているだけなので、他の場所で言うと、
「膝が曲がっている」や「肘が曲がっている」ということと基本的には変わらないです。
 
 
 
そのため、よくよく考えると「歪んでいる」ことが一概に悪いことかと
疑問に感じることもあります。
実際は運動方向の表現であるため、
ここでいう「歪み」が直接身体にとって悪ではないと私も思います。
 
 
 
ですが、身体にとって全く問題がないわけではありません。
それを今から解説します。
 
 
 
関節を動かしているのは、多くはその周りについている筋肉が行います。
そして関節は単体で動くこともありますが、動作のなかでは他の関節と連動して動いています。
 
 
 
骨盤でいうと、動きのほとんどは脚の付け根である「股関節」と背骨、
特に腰の動きと連動しています。
 
 
 
例えば
骨盤が前傾する場合、同時に股関節は曲がり、腰は後ろに反るように動きます。
この動きの連動がないと骨盤は大きく動くことができません。
 
 
 
例えば骨盤が前傾していることで「歪んでいる」と言われている人の場合、
股関節は曲がり、腰は反っている状態が続いているということです。
その状態のままでいると、股関節や腰の周りの筋肉は過剰に使用している状態になります。
 
 
 
この状態が長期化することで、周囲の血流が阻害され、
筋肉の柔軟性が低下することで、「だるさ」や「痛み」などの症状を引き起こす
可能性があります。
 
 
 
関節の動きの偏りは、多くはその動かし方の偏りであることが多いです。
 
 
そのため、
「骨盤が歪んでいる人=身体の一部分に過剰な負担がかかっている可能性がある人」
であり
 
 
このことから、安易に「歪み→矯正」ではありませんが、
動きの偏りや負担の集中しやすい場所に対するケアの必要性は高いのではにかと思います。
 
 

その人に合わせた身体のケアの考え方

今回は骨盤の歪みは一概に悪いわけでなく、
人によって異なる身体の使い方や身体の硬さを見ていく必要があることを説明しました。
 
 
 
最後に実際骨盤のケアをする場合、どういう人にどのようなアプローチを行うのが
好ましいのかを簡単に解説して終わりたいと思います。
 
 
 
今回はアプローチを大きく、ストレッチやリラクゼーションなどの
「セルフケア」と筋力トレーニングなどの「セルフエクササイズ」にわけて紹介します。
 
 
 
いわゆる「骨盤矯正」があわない理由の1つに、
あなたが「セルフケア」が必要な人なのか、それとも「セルフエクササイズ」が必要な人なのかがわからないことが挙げられます。
 
 
 
2つには共通する効果もありますが、基本的な目的が異なるので、
あなたの身体の状態に合わせて行うことをオススメします。
 
 
 
骨盤が歪んでいると言われた人で、股関節や背骨が硬い人はまず
「セルフケア」から始めることをオススメします。
 
 
 
先ほども説明しましたが、骨盤の動きは股関節と腰の動きに関連しているため、
上記の関節が硬い状態のままだと、トレーニングを行うことで、
余計に一部分の筋肉や関節に負担が集中してしまい、
逆効果になってしまうことがあります。
 
 
 
反対に、股関節や背骨がそこまで固くない人は
「セルフエクササイズ」を始めることで、
より効果的なアプローチができるようになります。
 
 
 
身体の関節は柔らかすぎると、逆に不安定になるので身体の負担は強くなります。
すでに上記の関節にそこまで固さを感じない人は、
ストレッチなどよりもエクササイズを行い、運動の偏りを修正したり、
足りない筋力を補強していく方が、早く効果を感じられると思いますよ。
 

最後に

今回は骨盤の歪みは悪なのか?について解説しました。
 
 
 
本末転倒になりますが、骨盤の歪みは結局のところ運動の偏りなので、
「良い悪い」ではなく身体の特徴です。
 
 
 
その特徴が生活スタイルや食生活、仕事やその他のストレスと合わさることで、
症状として表れるのだと思います。
 
 
 
私たち人様の身体を扱う仕事をしている以上
安易な言葉を使わずに真摯に向き合っていきたいと思います。