政治や社会への発言も多かった文学者の中野好夫に「悪人礼讃」という

随想がある。「由来ぼくのもっとも嫌いなものは、善意と純情の二つにつきる」

と冒頭から刺激的だ。

「彼らはただその動機が善意であるというだけの理由で、一切の責任は解除

されるものとでも考えているらしい」

「(詰問すると)切々、訥々として、その善意を語り、純情を披歴する」

さらに、五十歳を超えてもその純情を売り物にしている不思議な人物もいる。

と続く。