溝口健二の山椒大夫を見た
溝口健二は女性を描くのがうまいって言われていたと思う。それを間にうけ、女性を描いたもの、「残菊物語」「滝の白糸」は見ていた。
20歳くらいのころから、溝口健二はオールナイトとかで見ていたのだが、
山椒大夫は、なんとなく堅苦しそうなのと、平安時代という私の知識が暗い時代を描いているということでなんとなく避けていた。
(私自身、荘園とか関白と言われただけでも、ちょっとムリ、、、って思ってしまう。)
もちろん山椒大夫は、そんなのを知らなくても大丈夫。
普遍的な人間ドラマ・・・。もっと言えば、人が人を使うということ、差を生んでしまう社会とか格差なんかも盛り込まれているのではないかなと思うのだ。
映画自体は、いやはや、素晴らしい。
映画が総合芸術と呼ばれる理由がわかるのです。
「完璧」なのではないでしょうか??
ため息が出てしまうとはこの事である。
溝口はロケでは逆光にしてあえて撮ったらしく、人物が鮮明でないところがある。
また長回しやクレーンによる撮影により、かなりおおきくパンしているシーンもあったりして、たとえば屋外での撮影時などは、木々が人の顔を隠してしまうところもあったりするのだが、これがまた芸術的。
さすが、溝口健二、、、またカメラマン宮川一夫というところなのかしら。
画面自体もボヤっとした墨画のような部分もあり、ゾクっとするほど芸術的だ。
しかし、ストーリーは骨太で、画面の芸術性だけではなく、確実に観客の感情も揺り動かす。
私、かなり泣きましたよ。
※田中絹代、香川京子の美しさも必見ダヨ

こちらのサイトに詳しく載ってました