パナソニック 構造改革費3450億円投入 次見据え、再び「破壊と創造」
(2009/2/5、産経新聞)
電機の“勝ち組”といわれてきたパナソニックが
平成21年3月期連結決算で3800億円の最終赤字に陥る。
ただ、業績不振が主因で赤字となるソニーなどライバル他社とは、
その意味合いは異なる。
本業のもうけを示す営業利益では黒字を確保し、
人員削減や事業拠点の削減に必要な構造改革費用を3450億円計上する。
中村邦夫前社長(現会長)時代に続く「破壊と創造」で、勝ち残りを狙う戦略だ。
ただ、世界的な需要低迷の底は見えず、かつてのV字回復の再現は不透明だ。
松下時代に行なった「破壊と創造」の再現はなるのか。
■パナソニックの戦略とは
最大の難題は、今後も柱と位置づけるテレビ事業の再建だ。
総額3450億円の構造改革費のうち7割はテレビに注ぐ。
ただ、薄型テレビ事業は価格下落で10~12月期に赤字となり、
通期でも赤字の可能性が高い。
切り札となるはずだった兵庫県尼崎市と姫路市のパネル工場の
稼働時期の先送りを強いられた。
プレーヤー過剰のテレビ事業は、
値下げ合戦でどこかの撤退を待つというサバイバルの様相を呈しているが、
こうした中でも利益を出す収益構造を構築できるのか。
テレビ事業再建が、V字回復の試金石となりそうだ。
テレビ事業はどの企業も厳しい状況にありそうだ。
この状況を打破するには、テレビ事業に参入している企業による
事業の売却・合併も視野に入れた大再編が必要になるのではないか。
テレビ事業を持つのは、電機メーカーにとって、重要なことだったのかもしれない。
しかし、そのテレビ事業で収益を失っては意味がない。
テレビ事業を持ち続けることで将来の収益を生むであろうという新たなビジョンがなければ、
その企業にとっては、経営の改善・企業の成長の足かせとなりかねない。
サバイバル状態であり、企業の収益を失うようであれば、
どこかが事業を手放すという案を出して、交渉してもよさそうだが、どうだろうか。