$子どもの本専門店 きんだあらんど 店長ブログ



子どもの本専門店 きんだあらんど


20年以上前から続く絵本・童話の専門店です。

店内には鑑賞に浸ることのできる素晴らしい絵と、

それにぴったり寄り添うきれいな日本語の文章を大切にした本を並べております。



<営業日>  月 火 木 金 土 日 (水:定休日)

        10:00~19:00


〒 606-8354 京都市左京区新間之町通り二条下る頭町351

TEL (075)752-9275

FAX (075)741-7690

HP  http://kinderland-jp.com

MAIL kodomonokuni@kinderland-jp.com


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テーマ:

春らしい天気になってきました。

本当に季節は約束通りに訪れてくれます。自然を見ているだけで大切にするべき思いが思い出されていきます。それは、何か大きな存在に感謝をするということでしょうか。たかだか小さな存在にできることはほんの僅かでしょうが、小さな歩みを続けるということを、この暖かい天気を浴びながら考えたいと思います。 

なかなか更新できず申し訳ありませんでした。

 きんだあらんどの棚でひっそりと出会いを待っている絵本をご紹介していきたいと思います。



 



 『ルイのうちゅうりょこう』

   作 エゾラ・ジャック・キーツ   偕成社

   


物語は、古道具や中古品などガラクタに見えるたくさんの古い物の前で、帽子をかぶっているお父さんと息子の会話から始まります。



「どうしたんだルイげんきがないじゃないか」

「ともだちがばかにするんだよ」

「ばかにするって!どうして?」

「それが・・・」

「はなしてごらん。ちゃんときくから」

「あのね、みんなとうさんのことをがらくたおやじってよぶんだ」

「がらくただって!わかっちゃいないな、がらくたなんかじゃないのに。

ごらん、そのきになれば、ここにあるもので宇宙にだっていけるんだぞ。

ルイ、おまえならわかるだろ?いっちょ、やってみるか?」


 お父さんとお母さんまで手伝って、ストーブや煙突、古い車輪を組み立てて宇宙船を作り始めます。ルイは大きな布に深い青色の宇宙と銀河や星を描いています。

ルイの友達は「あんなので、うちゅうにいこうっていうのかい?」「うちゅうじんによろしくね」と言ってからかいますが、馬鹿にしたように笑いながらも、どこか興味津々で見守っています。

そのときスージーが言いました。

「わたしをつれてっておねがいよ」

「いきたけりゃいいよ、でもほんとにほんきで思ってる?」

「うん、ぜったいいきたいの」

 次の朝、二人は完成した宇宙船に乗り込んで、「しゅっぱーつ」と叫んで目を閉じます。

 ドドーンと音をたてて打ちあがり、宇宙に飛び出しました。

 大成功です。地球が小さく見えています。

「わたし、ちょっと怖い」「ぼくもこわいよ」

 二人はきれいな惑星や見たこともないものの中を漂いました。

「たすけて、ルイ、ルーシー」

 その時、遠くからあのからかっていた友達の声が聞こえます。友達は二人を追って宇宙船でやってきたのです。でも、燃料を使い果たして動けません。

 でも、そのロープをつかめば、自分たちも危険になります。二人は自分たちで何とかするように言います。それから、隕石の形をした怪獣の群れの中を突破した2機の宇宙船。

「やった!おもしろかったよな」

「うん、すごくたのしかった!」

徐々に高度を落とし、無事に地球にたどり着きました。そこはもちろんガラクタの倉庫前。

 次の日、4人は近所のみんなに宇宙での冒険を語って聞かせました。みんなは目を輝かせて聞いて、そわそわと旅行の準備を始めました。

 



小さい人にとって、自分に自信を持つということは難しいことかもしれません。だからこそ、持っているものや、親のことを自慢して、存在を肯定しようとするのでしょう。

自分が一番頼っているお父さんのことを馬鹿にされたら…その苦しみは少年の自尊心や家族への愛情を傷つける暗く辛いものだったと思います。

このお話の出発点は、そんなどうしようもない葛藤から始まっています。昔話の一般的な構造は、欠乏→欠乏の解消であると言われますが、この絵本が自然に心に届くのもそんな普遍的な筋を踏襲しているからかもしれません。

「友達がお父さんを馬鹿にしている」。お父さんも傷つけてしまう言葉は口にはだせません。でも、お父さんは子どもの微妙な変化を察知して「ちゃんときくから」と促します。



「わかっちゃいないな。これはがらくたなんかじゃないんだぞ。宇宙船だってつくれるんだぞ。いっちょやってみようか」



 こんな気の利いた台詞が言える父親になりたいなと思います。

小さい子どもは、当たり前のように人を比較し、思うままにそれを口にします。そんな心をわきまえた上で、言われた子どもの自信も保つ言葉をこの方は持っていました。

「どこのどいつだ、そんなことを言ったのは!」

心の痛みを本当に理解していない人ほど、安易に問題の解決を捜すのかもしれません。何より子どもを愛し、自分の仕事に自信を持って、それを、どんな周りの評価にも左右されず伝えようとする、お父さんの姿。それは、キーツ自身が体験した下町で気高く生きる移民の魂を汲み取った結果であると感じます。

 

「子どもが自信を取り戻すのには、親の力が重要である」


この物語はさらりと語っています。親の力とは、存在そのものを肯定してくれる言葉。そして重要なのは、子どもの心にぴったり寄り添う遊び心です。


 ガラクタをつなぎ合わせてつくる宇宙船もいい!見ているだけでワクワクします。それを大人が作ってくれている。それだけでルイの心は満たされるのは想像できます。船体もなかなかの出来栄え。

「ルイ一号」という名前と表面にはキーツ家の源流であるオランダの国旗がデザインされています。この一家の精神的な団結力が空想の宇宙船をつくるという行為にも存分に表れているようです。


 ここで重要な役割を果たすのが、ちいさなスージー。空想はいよいよ現実の色を帯びてきます。「ほんとうにほんきで思っている?」という質問に「ぜったい行きたいの」。それはスージーが見たルイ一家の楽しそうな姿が、他の子どもの心を豊かにすることを教えてくれます。

 宇宙でのやり取りは、スージーだけでなく他の子どもも混じることでより鮮明になります。そこでも空想は、真剣になればなるほど面白くなっていく。遊びの原点があります。

 何よりも大人が作ってくれた宇宙船が、空想に立体感を与えてくれました。


 絵本を読んであげること自体が、自発的なごっこ遊びの延長であると言えます。その楽しさは、どこまでも限りがなく、それ自体が喜びと感じられた、幼児期の遊びの中で培われ、次第に言葉を頼りに文学的な目覚めに引き継がれていきます。

 物語に流れる空気までもが感じ取れるような絵本こそ、本当に愛されるべき絵本。

 

 お父さんに是非活用していただきたい絵本です。


                                  船長 















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