キンダースペース演劇ワークショップ2024参加者募集
1995年からつづいている好評のワークショップです
「演劇」の大きな役割の一つは「人」を知るということです。「人」にはもちろん、世界中の人、他人、そして自分自身も含まれます。
「人」はいまだかつて「人」を知ったことなどあったのだろうか? これは確かに大きな疑問です。
たとえばここに「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」という有名なせりふがあります。このせりふは、当たり前の話ですが、ただ「ことば」として存在しているわけではありません。中世ヨーロッパのある国の王子が、突然、王位継承、殺害されたらしい父王の死の真相究明、母への不信、そして犯人へのかたき討ちという渦に巻き込まれ、一人になって吐いた言葉です。
最近は女性によって演じられることも多いこの役の、このせりふの背後にはつまり、抜き差しならない事情があり、これを口にする俳優はいやでもその事情に降りて行かざるを得ません。このせりふをただの虚ろな「ことば」にしないために。
一方、ここに、俳優の想像の、そして創造の喜びがあります。
もしこの言葉が、現代の戦場で同僚を失ったばかりの兵士によって語られたら。もしこの言葉が、クラスで孤立しいじめに苦しむ女生徒の頭に渦巻いたら。もしこの言葉が、DVを受け続けるある主婦の口からこぼれたら……。もちろんこんなのは「実感」をつかむためのいくつかの方法にすぎません。しかし「言葉を発する」「せりふを発する」(台本を見ずに)ということは、その視線、立ち位置、身振り、こうべは垂れているのか空を仰いでいるのか、等々がいやでも試され、その「根拠」が必要とされることです。
そして当然「正解」はありません。俳優の数だけ「やり方」が存在するだけです。その「やり方」を通して、俳優は永遠に未知である「人」の中に切り込んでいくのです。
今年度もモノドラマワークショップを二回開催します。ここで扱うのは近代文学の「言語」です。近代になり「人」はますますその混迷を深めているようです。近代文学の多くは、時代あるいは社会への、作家個人の抱く違和感を根拠に言葉をつむいできました。いま私たちが、それを声に出すことで、なにがもたらされるのか、一緒に探っていきたいと思います。
連続ワークショップは、コロナ明けで久々の対話のスタイルに戻ります。分断、格差、悪意、差別、不寛容、戦争、そして希望といった、ギリシャ演劇以来の普遍的な「人」の「問題」を、対話の中にさぐり、ドラマが生まれる瞬間を創りたいと思います。
(演出家 原田一樹)
モノドラマワークショップ2024 I II
Ⅰ 5/28(火)・29(水)・31(金)・6/1(土)・4(火)・5(水)・7(金)・8(土)※終了しました。
Ⅱ 10/8(火)・9(水)・11(金)・12(土)・15(火)・16(水)・18(金)・19(土)⭐️募集中‼️
「モノドラマ」は「一人芝居」ではありません。「一人芝居」では俳優は、戯曲の設定の中で一つの「役」を演じます。「モノドラマ」の場合、設定じたいを俳優が空間に立ち上げ、登場する何人かの「役」を演じ分けます。また「朗読」とも異なるものです。「朗読」は活字が前提で、文字の意味の解釈によって文学を立ち上げるものですが、「モノドラマ」では、俳優はその全身を使って文学世界を「生きる」ことが前提です。「解釈」ではなく「存在」が求められます。
連続ワークショップVol.64「壁の向こう」※定員となりました。
7/16(火)・17(水)・19(金)・20(土)・23(火)・24(水)・26(金)・27(土)
連続ワークショップでは、毎回のテーマに沿ったいくつかのテキストから、初日の本読みの後、登場人物を選択、劇団の担当メンバーとチームを組んでさまざまな実験と発表を重ねるものです。テキストはギリシャ劇から現代演劇まで。今回は「壁の向こう」をテーマとして、人と人の間の壁、また、集団や社会の壁の向こうに行こうとしてきた行為を見つめ、小さな演劇作品を創りたいと思います。
各回、キンダースペースが行なっているワークショップやエクササイズなども紹介し進行します。
募集は各回ごと。一年以上、あるいは複数回の舞台経験者が対象です。
時間/19:00〜22:00費用/24,000円定員/モノドラマワークショップ8名連続ワークショップ12名
申し込み方法
●氏名 ●年齢 ●職業・所属 ●住所 ●電話 ●FAX ●メールアドレスをお伝えください。
※定員になり次第締め切りますのでお早めにお申し込みください。
※劇団の事情により日程や条件が変更になる場合、応募者には早めにご連絡いたします。ご了承ください。
★ワークショップ2023までのアーカイブはこちらをご覧ください。